トマトの食レポ
新興八百屋でアルバイトし、限界になって辞めた話をした。
思い出話はこちら。
ざっくり言えば
試用期間代わりのアルバイト、本当は正規スタッフになる予定だった。
業務内容は楽しかった。
若い組織で、当時は間々身銭を切る空気があった。それに後悔はない。
社長と反りが合わず辞めた。恨んではいない。恐怖心があるだけ。
該当店は今も営業中である。今もスタッフとお客様の幸せを願っている。
こんな感じ。
そのころ身につけた様々な能力は今もわたしを助けているし、
社長以外の従業員とは仲良くできていたと思っている。(別店舗メインの方など、あまり関わりのない方もいたけどね。)
で、せっかくだし当時あれこれ比べたメモをこっちでも残そうかという話。
トマトは別媒体でネットに公開していたものが見られるから、今回はトマトの比較レポを加筆修正。
イチゴの品種別/季節別おすすめカンペはどっかいっちゃった。見つかれば書きます。
ヒユ科の葉物野菜(ほうれん草とか!ビートとか!)メモも一部ネットに残っているので、こちらは欠損分が出てきたらかな。
トマトの食レポ
※名前で分けているけれど、当然ながら個体差があるのでコレがすべてではないですよ。
今回の比較対象
大雲仙トマト
果皮がしっかりしていて、青くさわやかな香りが立つ。
わたしは結構ガツンと植物らしい、悪く言えば「青臭い」トマトが好きです。当時は(今もかしら?)フルーツトマト系が流行っていたのですが、野菜の風味が強いトマトも美味しいのになぁと思っておりました。
同じ「大雲仙トマト」でも糖度が高いものが「特ちゃん」と称して売られていることもありますが、「特ちゃん」であっても糖度が高いだけでトマトらしい香りやコクが消えるわけではないです。果物みたい♡お菓子みたい♡というタイプではなく、トマトらしさをしっかり残しつつ、同時に甘みもたっぷり、という印象。
赤い恋人
名前の通り真っ赤な姿がキュート。熟していても身はやわやわではなく、みっちり詰まった印象。
ギリッギリまで熟してから収穫・流通させてるのかな?という甘さ、クセの無さは東京で購入したせいかもしれないです。同じ関東だし。本当に「完熟!」という味でした。どこを齧っても青っぽさが無い。
匠トマト
いわゆる「フルーツトマト」の枠ではあるのだけれど、甘ったるいばかりではないのが匠トマト。
別の果物へ近づけました、ではなく、トマトが持っている魅力を引き出しています!的な。伝わるかなこれ……
しっかり甘い、ちゃんと爽やか、たっぷりジューシー。旨味がはっきりしている。みずみずしさと味の濃さが両立してるの謎技術すぎるんだけど何???
光樹とまと
ギュムッと歯を押し返すような果肉も好きだし、ふわふわチュルチュルのなめらか果肉も好き。これは後者です。トマトらしい粒子感というか、ザラッとした舌ざわりが無い。
果皮はピンと張っているのだけれど、中はとろける感じ。
甘さが強すぎず、酸味もしっかりあるタイプ。ひとつ前に書いた匠トマトと味の傾向は近いものの、こちらは水分たっぷりというよりもよ~く煮詰めたジャムみたいな濃厚さ。優劣つけらんないね。好みの問題。
極っ子トマト
濃厚さも素敵だけれど、軽やかさも素敵。これは先に挙げたような濃~い味ではなくサッパリさが魅力のトマトだと思います。比較はすべて生で齧っているのだけれど、加工するとめちゃくちゃ化けそうだな~って思いながら食べました。賽切りにしてベーコンと一緒にパスタ、とか良さげ。
他の食材を脇役に押しやる存在感というよりも、名助演タイプな気がします。
ファーストトマト
その名の通り、昔ながらのトマト。昭和後期まで主流だったそうです。
先端がツンと尖った形、白いラインが透ける薄い皮。ヘタから放射状にくびれるリズミカルな形。かわいい。ビジュが強い。スターマーク(ヘタと反対側から見た時に白っぽく見える線。『推しの子』のアイの瞳みたいなアレです。)が分かり易い。
ただこのビジュの良さはマイナス面もあって、お肌が弱いのよねこの子。果皮が薄いせいか簡単に傷んじゃう。保存性が低いのは青果店としては悩みどころ。自分で育てて収穫・即・食卓!ってできるなら何の問題も無いのだけれども……
あっあと種周辺のジュルジュルしたところが小ぶりです。でろでろ垂れてこないから丸齧り快適度が高い。
塩とまと
ファーストトマトとは別方向に、この子もビジュが強い。
小さめで、真っ赤で、全体的にはまんまるなのにお尻だけ尖っている。
味もファーストトマトとは全く別方向で、甘酸っぱいフルーツ系ですね。
実は「塩とまと」って品種ではないのよ。栽培方法が特別なだけで、苗の種類で呼ぶなら「桃太郎」ってことになるのかな、たぶん。
桃太郎トマトらしからぬ(?)濃い赤色はどういう仕組みなのか知らんけど。
「塩」は塩分濃度が高い土で育てられることからついた呼び方で、味に塩気があるわけではないです。甘くて濃厚。
味良来トマト
塩とまと(桃太郎)のように、味良来トマトも品種で呼ぶなら「サンスウィート」というものになります。こっちはたしか糖度の高さで基準を設けていたはず。
王道のフルーツトマトらしく、甘くて濃い。
上のメモにある通り、酸味が抜けるのが早いです。一方で甘さは残るため、甘さを強調したいときは少し置いておくと吉。(もちろん入手した時点での鮮度にもよるけど!)
反対に酸味も甘みも楽しみたいなら早めに食べてしまおう。わたしはこっち派。
アメーラトマト
メ……メモが雑……! not for meだったんだろなぁ
アメーラトマトも品種で言うと桃太郎ですね。桃太郎は日持ちするし病気に強くて扱いやすいトマトだそうです。なおこれは青果店勤務時代の先輩からの受け売りです。
ジューシーさというよりもガツンと存在感のある風味を楽しむもの、という認識です。ぎゅうううっと詰まった印象。
単体で食べるなら個人的にもっと好きなトマトもあるのですが、アメーラトマトの汎用性はちょっと他で代替しにくいのではないかしら。
生でよし、焼いてよし、煮てよし、漬けてよし、蒸してよし。しっかり味がするのに変なクセがないので使いやすいのよね。≒売りやすい、でもある。お世話になりました。
アメーラルビンズ
トマト界のシャウエッセンって何……?
5年前の自分よ、食べ物を食べ物に例えるんじゃない。
(※「細長い形で噛むと厚い皮がパリッと弾ける」と言いたかった)
アメーラルビンズは「ミニトマト」ってやつです。わたしが八百屋で働いていたころは「最近注目のトマトですよ!」と宣伝していたのだけれど、2024年現在は結構あちこちのスーパーで見かけるようになりましたね。本当にアンテナ感度は凄かったんだなぁ社長。
当時はオーソドックスなアメーラルビンズ(赤)に加えて、ルビンズゴールド(黄)を取り扱っていました。はっきりくっきりした色味がポップでキュート。味はそんなに変わらない気がする。
今調べたらルビンズショコラっていう茶色のものもあるみたいです。茶色というかごくごく濃い赤というか。お洒落。
五島ルビー
五島ルビーは、大人がOKサインを作ったときの輪くらいのサイズ。何かと使いやすいですよねこの大きさ。
甘いタイプのトマトは水をあげすぎないようにして味を濃くすることが多いのですが、その結果みずみずしさを失いがちなんですよ。別に求めてないからいいんだろうけど。
でも五島ルビーは甘いトマトなのにとてもジューシーなんです。そしてその甘さを楽しむときのノイズになりそうな複雑な風味が抑えられている。葉っぱっぽい香りとかツンと走る酸味とか、そういう甘さに対して気を散らせるようなトマトのクセをぐーっと控えて、みずみずしさ甘さを上品に浮かび上がらせているというか。伝わるかなぁ……
で、結局何が一番うまいんよ?
それぞれです。
いや煙に巻いているとかそういうアレではなく。
食べ方にもよるし、その個体がちゃんと熟しているかにもよる。
これはPR案件でも何でもなく、今は全く無関係な事務OLしてる元アルバイターによる手遊び記事ですよ。イチオシのものがあれば忌憚なく書きますって。
というか当時から指示されて食べ比べたのではなく、自分の働く店で扱っている野菜・果物を適切にオススメしたいと思って自発的にやってましたが。結果としてお客様のご相談に乗れる機会もあったのでよかった。
もちろん店として「特に売りたい野菜(旬が短い/利益率が高い/保管に手間がかかる など)」もあるけれど、それよりも利益の少ないものがお客様の要望にマッチするのであればそちらを勧めていました。
ただまぁどれを選ぶとしても、基本的に共通するポイントはある。
同じ種類の中で、期待できる個体を選ぶコツというか。
ここでわたしが記さなくても知る機会は多いと思うけれど、一応いくつか挙げておきますね。
・しっかり色づいていること
品種によっては赤系とピンク系があるとはいえ、白や緑とは違うのでわかると思います。(熟しても白い品種は例外中の例外なので一旦置いておきます。)
局所的に真っ赤でヘタ周りが青いものvs.全体的に薄赤いもの で迷ったら全体的に色づいている方をお勧めします。
・スターマークが確認できること
ファーストトマトのレポで少し触れたアレ。
ヘタと反対側からトマトを見て、星野アイの虹彩みたいになってたら推していい。色的には星野ルビーか。伝わればどっちでもいいや。
スターマークがくっきりしているトマトは味が濃い傾向にあります。
ただ果皮が厚いタイプの品種や、ジューシーさを楽しみたい場合はあまり当てはまらないかも。甘味・旨味が濃厚なものが欲しいときの参考ってことで。
・ヘタが元気であること
へなへなになっていたり、茶色や黄緑色に枯れていたりしないもの。
たまに「ヘタが立っているものが新鮮」という文言も見かけますが、ザルに盛ったり小箱に詰めたりする過程でヘタの向きは変わったりするため
しおれ具合と色でチェックした方がいいかと
・シルエットが(特に桃太郎系は)丸っこいこと
ファーストトマトみたいな尖っている品種は見分けにくいですが
今流通しているトマトは桃太郎系が多いので、とりあえず「丸い方がいい」で覚えてしまって問題ないんじゃないかな。
変にゴツゴツしている実は成長のバランスが狂ってスが入っている可能性が……
・持ったときに見た目より重く感じること
主観なのでアドバイスとしては良くないかも。ごめん。
ただ、なんというか、こう、ずしっとくるやつがイイ。伝われ!
理由は上と同じでスが入っているものを省くためです。
あとスが入っていなくても水っぽいやつを大体弾けます。
・皮がツヤツヤで張っていること
でも確かめるために押したらだめだからね!!!!
店頭の青果をつっつく者、万死に値する。押したなら結果に関わらず買え。
……こんなもんかな。
では皆さまの食卓に、よきトマトがのぼりますように。
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