お無職さん

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最近の記事

勉強について

退屈だ。最高に退屈だ。退屈な日は、身体の代わりに想像力がよく働く。 人間が狂わせたこの世界は、「正しい」を前提に回っている。 もし目の前の椅子が急にガタガタ震え出したらどうなるだろう。 もし目の前にあるノートから急に文字が消えたらどう思うだろう。 もし目の前にいた大事な人が急に消えたらそこに何が見えるだろう。 あまりにも多くのことを今まで忘れてきた。幼稚園の先生の顔も、中学受験の時に覚えた知識も、初めて好きになった女が作ってくれた菓子の味も。 忘れたことは疑うのに

    • 恋について

      今まで、散々、飽きるほど、愛という言葉を語る人間を見てきた。そして、愛という言葉に唾を吐きかける人もいた。愛の存在を信じることは一つの信仰に過ぎない。信仰とは生きることを楽にすることだ。神の存在を信じる者は、いつだって神に責任を擦りつけ、偽りの罪を背負って生きている。別に誰かを批判しているわけではない。人間はそれだけ弱いということを言いたい。弱いなりに、実在を捏造することによって“正しく”生きる道を築いてきた。どれだけテクノロジーとやらが発展したとしても、この弱さは人類が滅び

      • 背徳について

        漢文とやらをもう少しだけ真剣に勉強すれば良かった。昔はあんなに小さく哀しげ見えた国語教師の背中だったが、今となっては全く頭が上がらない。それにしても、「税金泥棒」とは、何とも悲痛な罵倒だ。 「徳に背く」ということであろう、背徳というのは。これが違っていたらこの文章はここでおしまい。 ノーパンで学校に行ってみる。先生のことを「先公」と呼んでみる。授業があるのは知っているがサボってみる。まだ高校生だがビールを口にしてみる。喫煙所の外で煙草を吸ってみる。「ペットボトル用」と書か

        • 下北沢という奇妙な街について

          坂道に沿って自転車が整列している。持ち主達はどこにいるのだろう。 喫煙所は昨今の情勢に従って閉鎖されている。彼らはどこへ行ったのだろう。 車椅子の婆さんが鳩に餌をやりながら爺さん達と昼間から宴を開いている。 極めて静的に呼吸をするこの街の風景は「飽き」というものを知らない。 下北沢に生きる人たちの住処は、喧噪に包まれた駅前ではなく、商店街の脇に伸びる薄暗い小道にある。 彼らは一日中この狭い空間で日向を探しながら一服する。次の日が来ればまるで誰かと約束していたかのよう

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