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さらば、ハワイ報知

著者:杏ワイルダー

たった今、最後の翻訳原稿を編集部に送った。

1912年12月7日創刊の日本語日刊新聞「ハワイ報知」が明日、12月7日付の発行を以て廃刊する。

1998年2月に編集部員として入社した私は、2013年8月に退職したあとも、在宅で記事を翻訳するなど、今日まで編集業務に携わってきた。

ハワイ報知への採用が決まると、すぐにヤングストリートにあった「岩瀬書店」に飛んで行き、辞書を数冊購入した。

私が使っていた5冊の辞書

アナログ人間の私は、ずいぶんと長い間、調べものは辞書を引いていた。グーグル翻訳や電子辞書を使いはじめたのはかなりあとだった。小型の辞書は取材先でわからない単語を調べるときのために、いつも持ち歩いていた。

大活躍の英和辞典

英和辞典は使い倒してページがどんどん取れ、手垢でひどく汚れてしまった。

不安なときは記者ハンドブックに頼る

記者ハンドブックもかなり活用度は高かった。カタカナ表記、数の数え方、略語、禁止用語など、記事を書く上で気をつけることは多い。編集長に注意されたことはすべてノートに記して、同じミスをしないように努めた。10年近く使っていたこのノートは、編集室の移動時に間違って廃棄されてしまい、立ち直るまでにしばらくかかったっけ。

オフィスをシェアしていた姉妹誌の「ハワイヘラルド」も残念ながら廃刊した

最後の任務をさっき終えたばかりなので、廃刊するという実感はまだない。楽しかったことも、大変だったことも、素晴らしい出会いも、いっぱい、いっぱいあったけど、いまは寂しいという感情すら湧かないほど、ハワイ報知の廃刊に動揺している。

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