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大敗の中で見せた聖光学院のひたむきさ〜やりきったから出た甲子園の涙

縁もゆかりもない福島県の代表、聖光学院の甲子園敗戦を見て、ツーッと涙が出てしまった。18対4という大差なのに泣かせるのは、聖光学院にひたむきさがあったからだ。

相手の仙台育英が2回に11点のビッグイニング。舞台が甲子園とは言え、気持ちが切れてしまってもおかしくない。だが聖光学院のバッターはアウトになってもダッシュでダグアウトに戻ったり、次打者に投手の特徴をアドバイスしたりしていた。やれることをやっている、と解説者が誉めていた。

守っては全力プレーでセンターもライトも打球に食らいつき、ショートもセカンドもユニフォームを泥だらけにしながら失点を防いだ。仙台育英は手を抜かずに攻め続け最終的には18点と、大量失点した聖光学院ではあったが、諦めない姿勢がそこにあった。

最終回、打席に立った赤堀主将がテレビでアップになったが、守備の際に付いた砂が顔から首にまだ付いていた。砂を拭うことすら忘れているのか、砂が付いていることにさえ気付いていないのか。ここまで一心不乱になれるのはすごいとしか言えない。さすがに最後は感情がたかぶったか、出塁後にバッターに声を掛けながら、赤堀主将はもう泣いていた。泣きながら何事かバッターに向かって叫んでいた。それは試合のクライマックスであり、再三テレビは赤堀主将の顔を映していた。そのたびに私はもらい泣きしていた。甲子園で球児が泣くのは、高校野球をやりきったからだ。中途半端な人は多分、泣けない。

18対4で聖光学院は敗れ、決勝進出はならなかった。しかし後輩たちには素晴らしい置き土産をしたと思う。聖光学院が福島県内で続けて甲子園に出続けていた時期は、学校間に力の格差がありすぎなのでは?と素直に賞賛できなかったけれど、このようなひたむきさを見てその力の源を知った気がする。そしてまた入学を希望する人も生まれたことだろう。大差が付くと見る方も集中力が途切れがちだが、いろいろと学ぶことがあった聖光学院戦だった。

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