代表取締役アイドル

読後感

簡単に言うとタイトル通りアイドルが急に取締役になりました、という話。

表紙とタイトルに惹かれてお買い上げ。
前日でTwitterのTLに流れていたので、妙に記憶に残っていたのもあるかもしれない。

5段階評価なら3。もう少しスカッとしたいところだけど、続きが出れば読みたいくらいには気になっている。

簡単な内容

なんだろうか、日本の未来が心配になるような話しか出てこないし、どこの会社もバカばっかりで辛くて仕方なかった。

もちろん、アイドルが取締役になるなんてのは、非現実的なことで、それが通ってしまったのはもちろん、その会社がおかしなことになってしまっているからなんだけれど、
そんな会社の中の不条理や理不尽に心を痛めながら読んでいく作品でした。

作品の売り方

書店員としては企業小説として読むのは少し物足りない作品で、どちらかといえばビジネス入門書として会社の仕組みを知るための本として作った方が、売り上げは上がる気がしました。

主人公のアイドル、河野(こうの)ささらはアイドルではあるものの、冷静で胆力もあるし頭の回転もいい女の子。
しかしアイドルとしての描写はほとんどなく、特にアイドルである必要はこの作品では感じられない。
ただ、言動が理性的な主人公は熱血バカよりは好きだし、ちゃんと仕事に対して真摯に向き合う姿勢は好感が持てました。

彼女の会社でのアドバイザー、牧原菜々美。ささらを助ける有能な人。2人の師弟のような関係性をもっと感じられればなぁ、と思ってました。ビジネス書にするなら、牧原さんが教師役ですね。

会社の研究所の研究員。塩原帆香、もう1人の主人公のはずが、結局その地位にまでなりきれず。研究への思いや現状への葛藤など、やりようによっては牧原さんと並んで、ささらの両輪になれそうだったのに、残念。次回に期待しましょう。

書籍データ

タイトル 代表取締役アイドル
著者   小林泰三
出版社  文藝春秋
本体価格 1,700円
ISBN 9784163912134


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