クロス

読後感

内容は簡単に言うと女装をする男性の話。

時々読んでいるとある、あ、これ最後よくわからなくなるやつ。
不思議な世界を覗く、共感とは違う本への向き合い方。
何かが、解決するわけではない。
問題はこれからも山積み。
ただ、少し、何かが変わった。そういうお話。

もともとLGBTQとファッションの関係性をの本を探していて、見つけた一冊。山下先生の一作目のタイトルがドールだったこともあって、獄本野ばらっぽいのかと思ったけど、そこまで、ではなかったけど、読んできたなかでは比較的近いかも。

自分とは何か? についてひたすらに答えを求め続ける作品としては、異質なまでの性へのこだわりがある。その考えの出発点を性別に求められなくなってしまったがゆえに、人への意見に左右されてしまう主人公。

思春期に読んだら、絶対面白いと思う。
ファッションのやり方なんかはあんまり、関係なかった。用語はちょこちょこ出てくるので、とっかかりにはいいけれど、メイクの仕方なんかは特に詳しく出てくるわけでは無い。

簡単な内容

警備員の主人公には、浮気相手に女装をさせられたのをきっかけに、女装へとのめり込んでいく。
男性である自分のなかにあった女性としての自分が解放されていくにつれ、他人から見た自分と、自分の求める自分が乖離を起こしていく。

そのなかで生まれる自分とは? という疑問を読んでいく本。

本のターゲット

個人的には性描写が多いので、未成年にはオススメしにくいのだけれど、でも思春期の子にこそ読んでほしいと思う。
一般受けはしないだろうけど、どうしても性と向き合わなければいけない職業の方には、刺さりそうなイメージ。
男であること、女であること、そうではないこと、らしさってなんなのか。
そういったものに悩んでいる人が、考える一つの指針になるといいなあ。

書籍データ

タイトル クロス
著者   山下紘加
出版社  河出書房新社
本体価格 1,600円
ISBN  9784309028774


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