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走りながら思想しよう 23.

農水省勉強会は発酵肉研究に活用する助成金テーマで来春めどに実施したが、少し苦い展開が待っていた。発酵肉開発目的に申請する助成金にしても、開発後の出口戦略が必須なのだ。つまり通常の熟成肉を超える超熟成肉の開発から始めての異次元の年単位の発酵肉の開発にも、市場性や食味、機能性、安全性などのエビデンスが最初から必須なのだ。六次産業化の条件としても数年前に確認済みだったが、中四国農政局よりも本省がシビアな指導をしたために、少しブレーキがかかった。試食会や保健所連携が課題となる。山と渓谷社は登山者にとっての発酵肉文化の多大な可能性を強くアピールしてくれたし、鉄分付与水のF社の技術は農水省側にも関心を喚起したが、全体的な後退を余儀なくされる。保健所、料理などの厚生労働省の分野を遅ればせながらクリアしなければならない。少なからずエネルギーダウンした私はメンバーと散開して、いつもの神保町に向かった。千代田線で新御茶ノ水駅に出て地上に上がった。神田明神様にお参りするかとも思ったが、今はおすがりする時ではないと思い、しばらく地下鉄出口の敷石に何人かの会社員にまじって腰掛けた。
すると聖橋のほうからやって来る小さな幼女のような人影が目に入った。盲目らしく白杖を器用に使いこなしながら、なんとか地下鉄入口にたどり着き、コツコツ音をたてながら彼女は階段を降りていった。1m20cmくらい?の明らかに小人症の盲目の女性は幼女ではなく老女だった。疲れきった私には彼女そのものが神田明神様からのメッセージに感じられた。障害に負けずに進め。内なる光を思え。強くあれ。
俺もまだまだだな、と思った。

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