見出し画像

ジョニーウォーカー考1.

ジャックダニエルをジョニーウォーカーと勘違いしたことから始まり、村上春樹氏の『海辺のカフカ』の舞台となった香川県とジョニーウォーカーとの秘密の鍵はあるのかと思ったこと。『海辺のカフカ』の読書感想文ではなく、おぼろげな記憶とイメージが湧くままに考察する。
ジョニーウォーカー氏はブランド創業者であり、おそらく『海辺のカフカ』執筆の何年も前から村上春樹氏の脳裏にあったと思われる。氏が小説家になる前のジャズ喫茶、ジャズバー経営時代からジョニーウォーカーの象徴的画像は村上春樹氏の潜在意識に侵入していたはずだ。執筆時には氏の書斎に置かれたジョニーウォーカーの琥珀色の闇から氏を凝視していたはずだ。颯爽と闊歩するジョニーウォーカーは時と風を操る象徴化していると思う。往々にして産品、製品、芸術作品のシンボルマーク化された人間のフォルムには何者かが宿るからだ。人形にも霊が憑き宿るように何百年ものあいだ、おそらく億単位の人間達がジョニーウォーカーを飲む折に知らぬ間にジョニーウォーカー霊は愛飲者や中毒者を見、評価し、鼓舞し、愛したのだろう。そのときそのときにジョニーウォーカー霊は自分を飲む人間の中に流れ込み、様々な記憶感情感覚の残滓を取り入れて大精霊化していった。人々の記憶は膨大なるエネルギーの異界を形成し、ジョニーウォーカー霊は一つの世界を帯びるようになったと感じる。暗黒の風の中をあるじとして闊歩し、人間を自然、時間、異界に拉致する力を自然に持ってしまったジョニーウォーカー霊が村上春樹氏の潜在意識、家族的無意識、民族的無意識に潜入して、物語を強要したかもしれない。作家は流行りのchatなんとかには不可能な異界、超自然、アーカシックレコードにアクセスすることで、生きた物語時空を言葉霊を駆使して二次元化する力を持つ。問題はジョニーウォーカー霊はなぜ九州や北陸でなく四国、香川県を村上春樹氏に選ばせたかだ。彼は異界という時空を越える力なので、文化風土歴史を跨いで土地の地霊や土着精霊、文化創造神などと自由に会話できると思われる。『羊をめぐる冒険』では邪悪な羊が北海道に十二滝町を出現させ、『騎士団長殺し』ではもはや閉じられた世界に棲む日本画家の無意識が小田原市郊外に晴れと雨の境界の世界を現出させた。霊なる四国とジョニーウォーカー霊との混ざり方を考察してみる。

四国と紀州熊野にも何かが呼応している

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?