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物を買わずに豊かに生きる6

いつから自分はお金がないと生きていけなくなってしまったのだろう?


『新百姓』という素晴らしい雑誌の創刊号(000号)に出会えて幸せだった。私の考えていることの実践が鮮やかに描かれていた。
思えば「買う」ことによって、さまざまなものを作り出す智慧を手放してきた。衣食住すべてにおいて「買う」ことによって生きてきた私は、お金がないと生きていけない人になってしまったのである。「買う」代わりに何も考えずに済んできた。しかしそれには生きる上で大事な「つくる」ことを放棄してきたことに気づいていなかった。
『新百姓』には、生きていくうえでの至上の喜びは「つくる」ことであると書かれていた。「つくる」には智慧がいる。人類学者レヴィ=ストロースはそれを端的に表した言葉を教えてれた。

ブリコラージュ
〘名〙 (bricolage) 日曜大工。器用仕事。転じて、持ち合わせているもので、新しいものを作り出すこと。

精選版 日本国語大辞典

妻との会話の中で我が家でも実体のない貨幣に頼るのではなく、出来るだけ貨幣を使わずに生活をクリエイトしていこう!という話なった。まずはお金について少しずつ変えていかないといけない。ウチでは普通の人だったら時代遅れと揶揄されるかもしれないが、クレジットカード、キャッシュレス決済などを出来る限りやめて、現金主義に立ち返ることにした。以前から妻はクレジット決済に疑問をもっており、その実体のなさに無駄に使いすぎてしまうという弊害も口にするようになっていた。妻はあるエピソードを語りだす。

子どもたちをつれて薬局によって買い物をするときにはじめはクレジット決済ができることもあり何も気にせず買い物カゴにドンドン商品を入れていった。そして山のようなカゴになってレジに向かっていく途中でその店がクレジット決済ができないことに気づく。手元の財布にいくらあるか?と見てみたら千円と少ししかない。どうしようと思ったが頭を切り替えて、商品を吟味して本当に必要なものだけに削っていった。そして本当に必要なものだけを現金で買った。自分がいかに無駄な物をいっぱい買っていたか思い知った。

お金を使わないことには実は智慧がいるのである。そこに必要なフレームワークにブリコラージュが入ってくる。出来合いのもの、限られた資源を組み合わせて必要なものをクリエイトする。それがブリコラージュだ。ブリコラージュには智慧が必要だ。妻がそのブリコラージュを実践している。

子どもの服に穴が空いてしまった。普段ならそれを捨てて買ってしまうのだが、裁縫で穴の空いたところを修繕した。その修繕した服はますます愛着が湧いたという。場合によってはワッペンなどをつけて、オリジナルの服になるのもまた乙なものかもしれない。

私たちは持っているものに不具合が起きるとすぐに買ってしまう。それをすぐに買わずに智慧を使ってみる。家にある出来合いの材料でその不具合を治して使っていく。そんなブリコラージュの智慧を実践することによって、物を買わずに豊かに生きる実践ができているだ。

布団が足らないから買わないと!と夫婦で話し合っていたのだが、すぐに買わずにあれこれ考えていたら、妻が子供用の布団が2枚あるからそれを縫い合わせて代用する!と言い出してくれた。これもブリコラージュの実践だ。

思えば何でもかんでも買って済ませてきた私はお金がないと何もできない木偶の坊と化してしまった。お金を使わずに豊かに生きる実践をしていくことによって、限られたものを組み合わせてクリエイトして唯一無二のオリジナルのものができる。何よりも生きるうえで至上の喜びである「つくる」ことをやっていく。衣食住をブリコラージュしていく!私が中沢新一さんから学んだ智慧を実践していく第一歩にブリコラージュがあったのだ。

お金がいっぱいあるから豊かなのではない。
いろんな物を(限られた資源の中から)つくれるから豊かなのである。
まさにブリコラージュだ!

まずは現金主義に回帰しながら、我が家では衣食住のブリコラージュを少しずつ実践していきたい。

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