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【綜學 その6】 ナンバーワンの覇権大国になった向こうに、一体何があるのか

さて、21世紀の現代は、文明そのものが行き詰まっています。大量殺戮兵器の開発が示すように、皮肉にも人類が起こした文明によって、人類全体が亡びてしまうかも知れないほどの危機に陥っています。

これを救うには、文明の原理から創り直す必要があります。それは、西欧中心の文明から、東西融合の共生文明への大転換に他なりません。


現代文明の発展は科学技術に支えられ、科学はシンプルロケイションが基本でした。シンプルロケイションというのは、研究の対象を部分化、単純化、局在化、専門化することで真理を究明しようとするあり方のことです。

医学であれば、人体を骨格系や筋肉系、消化器系や神経系などに分類し、さらに内臓・器官・組織・細胞と細かく分けていき、分子生物学にまで行き着きました。

そうして、あらゆる物が細かく分析されたものの、一方で全体を観る目がくもってしまいました。部分にとっては良いことだが、全体にとっては悪影響が生ずるという問題が起きてきたのです。

「農薬や除草剤は農作業を楽にしたが、人体に悪影響を及ぼした」とか、「腐らないプラスチックは素材革命をもたらしたが、地球環境を汚すゴミ問題を発生させた」といった現象です。

海に漂うビニール袋をクラゲと間違えた海亀が、それを飲み込んで消化管に詰まらせて死んでしまうのも、自然に戻すことを忘れた「部分観による弊害」の例です。


そして、シンプルロケイションは、「部分を肥大化」させました。

国家が肥大化すれば覇権大国となり、大国同士がエゴをぶつけて世界支配を競い合います。その戦いは“棲み分け”という知恵に乏しく、互いに生き残りをかけてナンバーワンを目指します。

ところが、ナンバーワンになったその向こうに、どんな理想があるのかはよく分かりません。

◇経済活動が肥大化し、活動と休息のリズムを失う◇

経済活動も肥大化し、常に成長を余儀なくされる仕組みの中で、世界全体がせわしく息を切らしています。そもそも、活動が起これば必ず循環が発生します。夏と冬の巡り、昼と夜の巡りといった陰陽循環の波動です。

経済活動にも、この波動による循環があるのは周知の事実のはずですが、いつの間にか循環を見ようとせず、どこまでも直線的に加速していく無限成長を求めるようになってしまいました。

そこには、活動と休息のリズムがありません。冬も夜も休まないで、生産と消費に突き進む状態なのですから、人も環境も疲れ切るのは当然です。

また、経済の肥大化は大企業優位を助長し、価格競争に付いていけない小さい会社や個人商店の存続を難しくさせました。個人に対しては、膨張資本主義社会における消費動物として、「お金第一」に目まぐるしく生きることを要求するようになったのです。

元々お金は幸福の一つの要素のはずでしたが、いつの間にか幸せの一番の尺度と化していきました。膨張資本主義による欲望の肥大化がそうさせたのであり、手厚い保護を要求する欲望民主主義とも連動しました。

政治が人々の「無限の要求」を満足させていけば、すっかり財政が行き詰まってしまうのも当然でしょう。

国家エゴ、利益至上主義、自分中心社会、天井知らずの赤字財政などに対して、何とか解決しようという努力は見られます。でも問題の根が深いから、なかなか上手くいきません。

部分に良いと思ってやったことが、全体にとっての問題を生んだということが、重層的に積み重なっているのですから、根は相当深く蔓延(はびこ)っております。この部分観による諸問題を解決させるために、綜學の存在意義があるのです。(続く)


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