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「インフルエンサー」というビジネスモデルと業界の目指すべき未来予想図II

どうも、webコンサルタントのイチハヤです。

先日ツイッターでこんなつぶやきをしたらちょっとした反響がありました。

このあと連続ツイートでざっと書いたことを、このnoteではもう少し丁寧に語っていきたいと思います。
(一連の連続ツイートに関しては上のツイートリンクをクリックしてもらえれば全て見ることができます。)

ここでいう現代人というのは、もちろん全国民という意味ではありません。

現代人の中でも特に"大衆的な人"を指して使っています。

これについての最近のネット界隈のビジネスのあり方について僕の見解をお話ししようと思います。

今、何が起こっていて、自分はどこに身を置くべきなのか。
そしてどう行動していけばいいのか、その一つの指針を示せたらと思っています。

最終的には、「ネットとリアルビジネスの融合」という、
僕なりの一つの解を提示したいと思います。

この記事を読む上でわかっておいてほしいことは、
何が良いか悪いかではない、ということです。

あくまで現状を中立的に観察したときに、何が起きているか、という視点で語っていきます。

もちろん僕なりの指針は示しますが、これを読んだ後に
あなたがどう思うか、どう行動するかは、ぜひご自身で判断してもらえたらと思います。

目次
1.抑圧からの解放という「癒しビジネス」
2.自由の先にある現実
3.「発信力」と「教え導く力」
4.「教育ビジネス」は「癒しビジネス」の先にある
5.とある治療家の苦悩
6.ネットとリアルの融合「全業種教育産業化」

1.抑圧からの解放という「癒しビジネス」

冒頭で述べたように現代人は、世間や会社など大なり小なり何かに
「抑圧されている」と感じながら生きている人が多いかと思います。

そんな中、人々は潜在的に「抑圧からの解放」を求めています。

そんな抑圧された心に対して、

「好きなことだけで生きていく」
「会社を辞めても大丈夫!」
「社会のレールから外れてもいいんだよ」

といった言葉はある種の「解放」を与えてくれます。

自由な生活を謳って人気を博すインフルエンサーやプロブロガー、Youtuberといった人の多くがやっていることはそういった「解放」を与える
「癒しビジネス」です。

最近流行りのオンラインサロンといったものも
「ひとりだと不安だよね。でも同じような仲間がいるから大丈夫!」
という安心感を与える「癒しビジネス」の一つの形態なのです。

すごくざっくりというと、現代人は「いいんだよ」という許しや癒しを求めているんですよね。

「そんなに頑張らなくていいよ」「そのままのあなたでいいんだよ」

そうやって抑圧されて傷ついた心に共感して、寄り添い、癒してくれるので、一定数の人がその癒しを求めてついていくわけです。

図解イラスト提供:ズカイビトさん(@zukaibito)

2.自由の先にある現実

それでは、抑圧から解放された人々はその後どうなっていくのでしょうか。

抑圧から解放された自由な世界は、ある意味、実力がもろに問われる弱肉強食の世界でもあります。自由の裏にはそれ相応の責任が課されます。

「フリーランス」というカタカナ文字がなんだかふわふわとしたまま、
ひとり歩きしている気がしますが、
要は個人事業主として事業を起こす者なので「起業家」です。

そんな現実を知らずに幻想だけ抱いて、何も持たずに自由の大海原へと飛び出す。

そんなお花畑満開の夢見る夢子ちゃんがあまりにも多すぎる、と感じているのはおそらく僕だけではないかと思います。

ただ、残念ながら彼らを扇動したインフルエンサーはそもそも「癒しビジネス」の人です。彼らの痛みを和らげることはあっても根本的に治してくれる治療家ではありません。

体の不調でマッサージ屋にいくら行っても痛みは解消されないのと同じです。

その場である一定の癒しを与え、痛みを和らげることはできても、根本的な解決にはなりません。
根本治療には全く別のアプローチが必要だからです。

治療系のお仕事に多少なりとも関わりのある方ならよくご存知かと思いますが、腰痛の原因は腰ではなく別の箇所にあったりするなんてことはままよくあります。それゆえに、いくら腰をマッサージしても根本的な治療にはなりません。スーパー銭湯のアルバイトのマッサージを受けても腰痛が完治することなどないのです。

根本治療にはそれ相応に深い専門分野の知識と技術が必要になります。

図解イラスト提供:ズカイビトさん(@zukaibito)

3.「発信力」と「教え導く力」

話をネット業界の方へと戻しましょう。

インフルエンサーに扇動されて裸一貫で自由の大海原へ飛び出してしまった、「勇敢なる海の戦士」である夢見る夢子ちゃん。

そんないたいけな夢子ちゃんですが、本質的な意味で彼女たちを救うには、教える、育てる、導く、といった
「教育」によって自立させていくことが唯一の道です。

そのために、導くリーダーには「教育者」としての深い知識と技術が求められます。

教育とは教え育てることですが、その能力というのは少なくとも、

「人気がある・フォロワーが多い・拡散力がある」ということと、
「教え導く力がある」ということは
明確に異なるスキルであることはわかっていただけるでしょうか。

スポーツの世界でも優れたプレーヤーが必ずしも優れた指導者になる訳ではありません。プレーヤーとしてのスキルと指導者としてのスキルは明確に異なる資質です。

また別の例で言えば、
子供の頃、いつも優しくしてくれた友達のお母さん。
その一方で、いつも口うるさく、うっとうしく思っていた自分の親。

10年経ってみたら「親の言う通りだったなあ・・・」ということを実感した経験は誰しもが一度くらいはあるかと思います。

つまりそういうことです。
耳心地の良い、癒しの言葉をくれる人気者の話を聞いて
夢ばかり見ていても、本来のその人の良さは発揮されないということです。

時にはグッとこらえて頑張る時期もあって、それを乗り越えた先に一皮むけた自分に成長し、新しい景色が開けるのではないでしょうか。
それが真の意味での「自由を獲得する」ということだと、僕は思います。

もちろんタイミングによって、あまりにも傷ついている人にとっては、ある一定までの癒しが必要なことはあるでしょう。一時的に薬に頼る時期があるかもしれません。

だけどそこから先、自分の足で立って歩いて行くには、いつまでも癒してもらっている場合ではありません。今度は自分で鍛えて、病気にならない体を作ろうというのがより健康的な人生への歩みです。

いつまでも人気者のインフルエンサーさんの後ろにくっついて、
「〇〇さんすごい!共感しました!いいね!」とやっていても仕方がありません。

さっさとそのステージは卒業して、
あなた自身の足で、あなたの人生を歩き始めてください。
ちゃんと鍛えれば、あなたにも自由は掴めるのだから。


4.「教育ビジネス」は「癒しビジネス」の先にある

誤解があってはいけないので念のために付け足しておきますが、
僕は「癒しビジネス」のあり方を全否定しているわけではありません。

ビジネス的な観点で言えば、もっともボリュームの大きい大衆に響くメッセージを投げかけることで大衆向けにビジネスを行うことは、とても明快でわかりやすいポジショニングだと思います。

ある一定の癒しを与えて、それで救われる人もいるのでしょう。そこに善も悪もありません。一つのやり方なのでそれはそれでありなのだと思います。

もちろん、先日の僕のnoteにも書いたような大衆を煽るだけのダサい行為はやめていただきたいですが、ポジショニングそのものは否定も肯定もしません。

ただ、僕自身は「癒しビジネス」で終えるのではなく、そこから先、
根本治療を行う「教育者」でありたい。ただそれだけです。
どちらが善いか悪いかではなく、目指す理想の違いです。

もっと言えば、「教育ビジネス」は「癒しビジネス」を包摂した、その一歩先にある概念、一段抽象度の高い概念です。

「癒しビジネス」が自由への第1歩目だとしたら、
「教育ビジネス」は2歩目、3歩目、さらにその先へ・・・と導いていく過程です。

そういった意味で、「癒しビジネス」のその先に「教育ビジネス」があると言えば僕の伝えたいことがわかってもらいやすいでしょうか。

<癒しビジネス(レールから外れることを示して終わり)>

<教育ビジネス(レールから外れた先の歩き方を共有する)>

ですので、これから本当の意味で自立して、「自分だけの人生を獲得したい」と思う人はいつまでも"癒しを求めること"からは卒業してはいかがですか、というのが僕からの提案です。

自らを鍛える場、成長できる場に身を置いて、一歩一歩自由を獲得していかれるのが最短の道だと思います。

「癒しビジネス」になんとなく中途半端に癒されたけど、何者にもなれない迷子さんたちを再教育して、本当の意味で自立してもらう。

時には耳の痛いことを言ったり、厳しい現実を突きつけることもあるので、僕自身は大勢の人気者になることはないのでしょう。それでも本気で人生を変えたいと思う人、共感してくれる人と、僕も本気で向き合っていきたい。それが僕自身の仕事との向き合い方、スタンスです。


僕の好きな「近江商人の商売十訓」の中にこんな言葉があります。

・店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
・無理に売るな、客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ

客の好むもの(癒し)を与えるばかりでなく、客のためになるもの(教育)を伝え、「名より実、規模より質」を追求していきたいと思います。


5.とある治療家の苦悩

僕は整体師や施術系の経営者の知り合いも多いのでそちらの業界のこともある程度知っているのですが、マッサージなどの「癒しビジネス」は基本的にその場限りの癒しでしかないので、根本的に治すみたいなことはやっていません。

むしろ完全に治療して痛みをなくしてしまったら、それ以降そのお客さんが来なくなってしまいます。だから治しきらない程度に適度な癒しを与えて、長くリピートしてもらうことで売り上げをあげているのが実情です。

もちろん全てがそんな治療院さんばかりではないのですが、多くのところはそうやってリピートしてもらうことでしか経営を維持できないということが実態として起こっています。

そんな中で、僕の知り合いの治療家の先生はそんな自分の仕事のジレンマにとても苦悩しておられました。

人の体を治すために学んで、磨いてきたはずの技術。
その結果「治さないこと」が仕事になっているというジレンマ。だけどそうでもしなければ経営が立ち行かなくなるかもしれないという恐怖。

「自分の仕事は、果たして本当にこれでいいのだろうか?」...と。

散々悩んだ結果、その先生は今は治すことだけではなく、クライアントのパフォーマンスを最大限発揮するためのお手伝いをする方向でお仕事をされています。

体の正しい使い方を教えたり、そもそもケガしない体を作るための食事法や日々のトレーニング方法を指導するといった形をとっています。そうやってクライアントさんとの関わり方も以前とは大きく変わり、今はたくさんの方に喜ばれながらお仕事されています。

6.ネットとリアルの融合「全業種教育産業化」

僕はこれから、このネット業界にとどまらず、リアルビジネスの全ての業種に「教育」の視点が入っていくことが必要だと感じています。

先ほどの治療家さんの事例も、単なる「治療」という形態からその一歩先へと進み、「教育」という視点を取り入れたことによって今の形になりました。

怪我をしないための日々のトレーニング方法や食事方法を「教育する」ことによって、よりお客さんから喜ばれるビジネスになることができました。

そうやって「全業種教育産業化」が進んでいけばいいなと思っています。

例えばわかりやすいところで言えば、僕の仲間では現在こんな取り組みをやっています。

・喫茶店が、自宅でできる美味しいドリップコーヒーの入れ方を教えてくれる
・寝具店が、良い眠りとは何か、どうすれば質の良い眠りができるか、
「睡眠時の深い呼吸」がいかに大切かを教えてくれる
・結婚式場が、結婚後も長く続く夫婦円満の秘訣を教えてくれる

どんな業種にも、その視点で膨大なお客さんの実例を見てきたからこそわかる、本質や真理があります。それを教育コンテンツとして提供することで、今よりももっとお客さんから喜ばれるサービスができ、お客さんとの会話も増え、新たなアイデアの創発にも繋がります。

その教育コンテンツの伝達手段の一つとして、今のネット業界のデジタルコンテンツの力を融合させることで、世界中どこにいてもその教育サービスを提供することができます。

これが僕の考えている、ネットビジネスとリアルビジネスの融合、
「全業種教育産業化」です。

この記事を読んで共感してくださったインフルエンサーさんが「癒しビジネス」から「教育者」へとシフトしていくことがあれば、それはむしろ大歓迎です。互いに切磋琢磨しながら、業界全体の教育コンテンツの質を向上させていければ、これほど良いことはないと思います。


この記事を読んで、どのように感じられるかはそれぞれだと思います。
また逆張りかよ、というような感想をお持ちの方もいることでしょう。

一応僕としては、中立的な立場で業界をよく観察した上で、業界全体、やがては異業種含めた日本全体がよりよく発展していくためにはどうしたら良いか、という視点でお話しさせていただいたつもりです。

もちろんどのような感想を持たれても構わないのですが、
どこかの誰かの意見ではなく、あなた自身の目で見て、あなたの判断基準で、自分の行動を決めていただければと思います。

最後に「近江商人の商売十訓」を掲載させていただいて終わりにしたいと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

いつもたくさんの応援コメントや感想をいただけることが
僕自身の励みと勉強になっています。

また今回もツイッターやコメント欄から、
ぜひあなたの意見感想もお聞かせくださると嬉しいです。

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