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ゲーム「贄の町」感想

※この感想は18禁BLゲームの感想です。ご注意ください。

 どこかで話題が出ていたのか、それともおすすめされたのか覚えていませんが、このゲームのサンプル画像を見てみたらあまりにも爽やかなイラストなのにやってることはすごく暴力的なのを目撃してしまった気になっていました。受けた印象はばっちり合っていて、爽やかな感じなのにキャラの過去も全体的な話もめちゃくちゃ重くて面白い話だったな……という感想です。

ジャンル:非日常の悦楽に浸るADV
プレイ時間:約17時間
媒体:PC


■ あらすじ

 公式サイトの物語から引用します。

「俺はどうしてこんなところへ来たんだ?」

十代で家族を亡くし、今はガテン系バイトを掛け持ちして暮らす主人公の日天。

バイト漬けの日々を送っていたある日、暗い路地に入って行く喪服の青年に目を引かれ、彼が白い花束を落としたことに気づく。

放っておけず、思わず花束を拾ってあとを追う。
しかし、暗く長い路地を抜けた先で青年を見失った日天は、気がつくと、異界の入り口に――「宿」に立っていた。
呆然とする中、宿の住人たちに迎え入れられ、聞かされる。

そこは、死が遠い世界だと。

頭を潰されても喋る男に、自分の生首をボールにして遊ぶ子供。
そして、恐ろしい異形たち。

そんな不気味なものたちがうごめく世界へただ一人の生身の人間として迷いこんだ日天は、元の世界へ帰ろうとするが、その道はどこにもない。

それでも日天は、宿の住人の力を借りて、帰還する方法を探す。
生者の匂いに群がる死者たちが住むという「町」へ乗りこんで――。

命がけの捜索の果てに、日天が見つけたものは……?

物語

 引用した通り、和の世界観で生死があやふやな世界です。そんな世界観に合わせているのか、性も暴力も死もなんだか軽い感じがします。
さらに、イラストが全体的にうっすらしてる色使いなので余計に世界が希薄な雰囲気もあります。ただ、それなら背景も水彩風みたいな色使いでも良いんじゃないかと思ったな。背景だけはっきりとしてる感じ。


■ 絶対にパッチを当てろ

 まず第一にこれ。何がなんでもパッチを当てろ!
パッチを当てるのと当てないのの差が激しいです。パッチを当てる前はかなりバグが多く、パッチ後は多くの機能が追加されるので、絶対にパッチを当てることを推奨します。


■ グロ要素

 死が希薄な世界かつホラー的な表現が多いので当然のごとくグロがあります。グロ表現緩和のような便利機能はありません。
ただし、1つは妖怪画みたいな綺麗な感じだったし、1つは葛飾北斎の蛸と海女ならぬ蛸と主人公って感じだし、そこまで怖いのはないかな~って印象です。
あ、でもとあるバッドエンドのやつだけは男性向けエロ!!!っていう主張が激しい感じがして性癖もドン引きです。やっぱり苦手な方はやめた方がいいかもしれません。


■ ゲームシステム

UI

 タイトル画面のUIがすごく好きです。めちゃかわいい!ノスタルジックな感じがして好き!

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主人公の声がついてる

 主人公がいるシナリオゲームだと主人公に声がついていることが私にとってかなり重要な要素となっています。つけてくれると拍手喝采したくなりますね。ありがとうありがとう!声をつけてくれていてありがとう!

文章と背景がマッチしないところがある

 イラストは好きなのに、文章とまったく合ってない(文章では夜のアングラなお店、スチルでは普通のカフェっぽい印象)箇所があるので、そこがちょっと微妙でした。合わせてくれぇ~!

既読文字に色はつかない

 分かりづらいので色付けてくれぇ~!選択肢にも色つけてくれぇ~!!





~~~~~ネタバレするよ~~~~~





■ シナリオ

 あらすじでも引用しましたが、改めて。
主人公は日天(ひそら)くん。読みにくい名前ですね。日天は唯一の肉親だった兄を幼い時に亡くしており、その兄に似た喪服の男性を追いかけるところからすべてが始まります。追いかけた先は異世界。そこは何らかの理由で意識を失った者たちの精神体が住む、生と死の狭間の世界でした。
そんな不可思議な場所に生身で迷い込んでしまい、生身のせいでその世界の住人を強烈に引き寄せてしまう主人公。危険をなんとかかわしつつ、現世に戻ろうとする話です。

©√ZOMBILiCA


■ 攻略対象と各エンディングについて

 攻略対象は全部で4人。
 基本的には攻略した順に記載してますが、攻略ルート順、攻略エンド順とします。実はAルートの合間にBルートの別エンドをプレイ、みたいなこともやったのですが、それで記載すると分かりづらいかと思うのでざっくりまとめてみました。
攻略対象と異世界への残留をするエンド、現世へ戻るエンドがあります。あとはバッドエンド!

共通

  • 終焉 壱(バッドエンド)

 見覚えのある喪服の人を追いかけるのを諦めると異世界に行かずに交通事故で死ぬエンド。信号で横断歩道が渡れる時に流れる童謡「夕焼け小焼け」。その夕焼け小焼けが流れる中で死亡とか、「からすといっしょにかえりましょ」の歌詞はどこに帰れと主張してたんだろうねえ~!主人公の帰る場所なんぞないのにねえ~!楽しいねえ~!!こういうの大好きです。

  • 終焉 弐(大家さんバッドエンド)

 大家さんに謎の空間に引き込まれて現世へ戻れないエンド。大家さんが好きすぎてずっと話しかけてたら謎のエンディングになってしまった回。神隠しエンド的な……?あまり怖くなかったのが残念。

  • 終焉 肆(幻想兄残留バッドエンド)

 主人公が過去に宿に来ていたことが判明して、兄が死んだことを受け入れられなかったエンド。それは想定してなかった~!
兄の幻覚が見えている主人公の描写はこれまで何度もありましたが、恐らく無意識的に「しなきゃいけないこと」が兄の形を取って見えてるんだと思うんです。でもそうすると主人公は自力で宿に来たことになってしまうのか?難しいですね。

  • 終焉 伍(受け入れずにこのままこの世界で…バッドエンド)

 大家に願いを叶えてもらってこの世界に居座るエンド。これは後回しにしたほうがよかったかなぁ。日天くんを特別と定めて何がどうなるのか!?狂って幸せな日天くん……。

  • 終焉 禄(兄エンド)

 大家に願いを叶えてもらって兄と一緒に現世に戻るエンド。すべてが無かったことになるのなら日天にとってこれが一番幸せなのでは?
このままだと兄と日天の共依存になりかける気がするけど、でも日天もそれを望んでるし別にそれでも良さそう。お兄ちゃんは常識人だから手を離す時は離してくれると思うし。やったぜ!幸せエンドゲットだぜ!

  • 終焉 柒(お祭りハッピー時空エンド)

 自ら望んでみんなのいるこの異世界に残留するエンド。エンディングのスチルもお話もわいわいしてて可愛いエンドでした。ハッピーお祭り時空感ある。

  • 終焉 参(窓から異形バッドエンド)

 窓から異形がこんにちはした時に一人で対応すると終わるエンド。歌いながらご機嫌な異形ってのはなかなか愉快だし、結構楽しいエンドでした。


ココ

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 料理が得意で宿の家事全般を担っており、穏やかで面倒見が良い性格。
スーパーモテ男で、他者に依存されるのが好きな人でもあります。セフレ大量発生してるよ。でも過去が激重。みんな重いけど、過去実父から性的虐待を受けて、さらに両手切断されて、飛び降り自殺って……おい……。

  • 終焉 弐(足切断バッドエンド)

 主人公を手放したくなくて足を切断し、主人公はそのショックで記憶を失ったところに付け込んで「ラブラブ恋人同士」という嘘を吹き込んだエンド。ココだけが幸せなエンドでしたね。
でも私はこういう展開面白くて好きなのですごく楽しかったです。胸糞だけどね。それが面白いので。
でも服は着せたほうがいいと思います。お腹壊しそうだなぁ。

  • 終焉 壱(触手バッドエンド)

 ココを探しに行こう行ったら触手と戯れる羽目になったエンド。
様々な性癖に応えようとする熱意を感じました。蛸と海女ならぬ、蛸と日天。蛸とは言っても触手の先端は更に細かい触手があり、性交用触手もあり、まさにエロゲ御用達の触手って感じで楽しかったです。最終的には若干リョナっぽさもあるけど、絵面としてはあまりひどくないので配慮されてる!苦手な人も大丈夫かも!

  • 終焉 参(撲殺バッドエンド)

 ココの元セフレから撲殺されるエンド。まだこの世界に来て1ヶ月も経ってないけど、ほいほい付いていったので当然ですね。バッドエンドらしい”あっけない終わり”ってのは好きでした。

  • 終焉 帰還エンド

 現世に戻ってココの居場所まで見つけられて、記憶がないココにとって主人公は不審者同然だったろうに少しずつ仲良くなってきて、両手を失ってるココの世話をするために介護資格もばっちり、最終的には新しい恋を始められるエンドです。すごすぎない?主人公の手腕がやばいエンドでした。主人公の手腕にビビったけど、よかったね~!って思えるエンド。

  • 終焉 滞在エンド

 一種の箱庭エンド。いやそもそもこの世界そのものが箱庭だけど。これはこれで幸せな結末なので、いいんじゃないかな! しかし、滞在エンドでは記憶が戻っても「ココ」なんだな……としみじみしました。


緑青 あすく(ろくしょう あすく)

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 短気な性格と毒舌なため人を寄せ付けない性格。愛用の金属バッドが即座に光ります。
しかし彼は幼い頃誘拐&家族に見捨てられたことを機にこんな性格に……いや許せるか!!罵倒してくるな!! でも最終的に結構好きになりました。

  • 終焉 壱(撲殺バッドエンド)

 避ける方向を間違えたら金属バットで撲殺されるエンド。この頃のあすくは攻略対象として全くときめかなかったので(むしろケーキ事件とかが異常すぎて驚いた)、なんか良いエピソード来ますように……!と願っていた時期です。

  • 終焉 参(集団レイプバッドエンド)

 あすくが恨みを買ってるモブに狙われた主人公。さすが主人公、どんな相手でも快感拾えるなんて才能あるよな!

  • 終焉 弐(手術バッドエンド)

 あすくだけが幸せなエンド。主人公がフラフラと町中をさ迷って物理的に食われてギリギリあすくが助けてくれて、あすくくん、トラウマなのに頑張って探してくれて…って感動してたら手術をして生きてる!?要介助主人公に対して仄暗い満足感得ちゃうんですか!? 別に意図した訳じゃないからあすくのせいじゃないけど、感嘆詞しか言えなくなるエンドだった。

  • 終焉 滞在エンド

 震えてるのに好きな子を守るために前に出るの、かっこいいよね!とニヤニヤしてたら合体せずに終わって平和な滞在時空でした。 いや別にいいんだけど、なんていうか、セックスってノルマみたいなもんかなって思ってたから驚きました。あすくくん、幸せそうで良かったね!

  • 終焉 帰還エンド

 円満解決エンド。相手のことを慮って送り出したのは偉い!すごい!見直した!そして帰還後のあすくがすごい。本来なら精神体であるあすくが現世に戻ったら記憶が失われているはずなのに覚えています。そして会いに来てくれました。主人公は何もしなくても円満解決だ!
お兄ちゃんの話の流れとか、あすく√だと自主的に追いかけていったのでとても良かったな~。暴力さえなければな!!

蘇芳 笑男(すおう みお)

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 チャラ男な雰囲気な笑男。この作品、キャラの名前にルビふってもらわないと全然読めない。
実はやっかいなストーカーに執着されて家族同然の人たちを全員殺されていて、この世界にそのストーカーがいるため復讐を願っているという激重な過去があったことが発覚します。

 自分の部屋に泊めたのも夜間に日天くんのことを食べるつもりなんだろうな(言葉通りの意味)と思ってたのにそんなことはないし、精神的に追い詰める感じなのかなと思っても違うし、誰かに襲われたらちゃんと守ってくれるし、意外と最初の頃からちゃんと守ってくれるけど最後の方まで疑ってた気がします。ごめんて。

  • 終焉 弐(バッドエンド刺殺)

 笑男を呼ばなかったら笑男のストーカーに刺されて唐突に終わるエンド。バッドエンドっぽい唐突さが結構好きです。けど笑男が最後に必死で日天くんを呼びかけてたのがよくわからん。実はすでに惚れてたのかな。あすくも笑男も外面を保ちすぎて気持ちが全然分からねえ。

  • 終焉 壱(アルコール直腸摂取バッドエンド)

 ストーカーに攫われて犯されてアルコールを直腸接種するエンド。いや絶倫すぎ~~!!ストーカーも日天に惹かれたのはわらってしまったけど絶倫すぎてびっくりするわ~! モブおじさんが仕掛けてくるようなバッドエンドだったのに画面に映ってるのはイケメンだからさらにびっくりしました。モブおじ仕草はイケメンがやってもモブおじ仕草だよ!?変わんないよ!?

  • 終焉 参(異形化バッドエンド)

 異形化して食われるエンド。今までの中では一番グロだと思うけど、それにしてもこう、少女漫画のホラーというか……いや少女漫画のホラーはマジでキモいやつだな。綺麗なホラーなので怖さはそんなになかったかな!ストーカーがキモかったです!

  • 終焉 滞在エンド

 ストーカーの変わりっぷりに驚愕したエンド。 それにしても、弟妹達から「お爺ちゃんになるまで生きて幸せになって」と言われたのに滞在エンドなんですか?うそでしょ? 弟妹たちのせっかくの願いなのに生きる選択をしないんだ……と衝撃を受けたエンドでした。

  • 終焉 帰還エンド

 現世に戻っても日天は何も手を出せずに6年経過したエンド。ココ帰還エンドの時のあの手腕はどうしたんだお前!? いやでも笑男を見つけられたこと自体がすごいからな……。
滞在エンドでは弟妹に言われたのに帰らなかったけど、こっちではちゃんと帰ったのですっきりしました。笑男、よかったね!


朽葉 成臣(くちば なるおみ)

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 品性方向で真面目な性格。なにかと日天を気にかけている人物。そして一番印象が変わった人。信じられるか?こんな綺麗な顔して性豪なんだよ。そしてどうしようもないくらいゲスなんだよ。そうです、こいつがストーカーです。
成臣は日天のストーカーなわけで、ルート的な好感度とは日天自身の好感度(というか受け入れ度)なのが結構特殊で面白いです。
でもこんな執着してるのに、他ルートでの成臣が大人しいのはなんでなんだ……?内心ブチ切れだろこんなん。実は他ルートの滞在エンドだと血で血を洗うバトルロイヤルに発展してたりするのかな。

 そして成臣くんの陰部がやばい。日天からの発言から、彼の陰部はでかくて色が濃いのかな~とは思ってたけど、いざ実際にスチルで表示されるとモザイクをかけてもわかる赤黒さで思わず笑ってしまいました。こんなのがあんな細身のパンツに入るわけないでしょ!もっこり確定でしょ!!
他のキャラもやばいな~って思った時はありますが、彼に関しては何を描写されてもさすが性豪は伊達じゃねえな……って気分になれます。

  • 終焉 壱(横恋慕ストーカーバッドエンド)

 成臣が別の横恋慕ストーカーに脅されて喉を掻っ切って突っ込まれるエンド。横恋慕ストーカー→成臣(日天のストーカー)→日天の一方通行です。困っちゃうね。
スチル的にはグロじゃないけど、喉をかっきって突っ込むのはちょっと、気持ち悪さMAXですわ……。横恋慕ストーカーの言動も行動もドン引きです。
でも攻めが犯されるのはいいですね!!そこだけは評価ポイント!!

  • 終焉 参(シロクロエンド)

 人の形をした人外っぽいやつから手を差し伸べられるエンド。こういうのいいね~!好きだ~!!人が人じゃなくなって、人に恋したり愛しく思ったりするにも関わらず自分とは別の時間を生きるモノであると認識してるっぽいのがいいね~!!
でも風呂場で水着パーティーはよくわかんなかったわ。なんだったんだあれ。

  • 終焉 弐(一心同体バッドエンド)

 カニバエンド。お前やってること笑男のストーカーと大差ねーぞ!!あ、ストーカーだから一緒なのか!!こりゃ一本取られたわってなるわけねーだろ!とセルフツッコミたくなるエンドでした。
っていうか食べながら腸って!精液ぶっかけって!自分のスチルのオマージュですか!?これもいわゆる酒池肉林なのかな!?酒はないけど日天が酒みたいなもんだしな!わはは、すごいやこのゲーム!

  • 終焉 滞在エンド

 成臣にとって幸せなエンド。主人公が兄を思い出すこともなく、穏やかに過ごし、最後にみんなで花火をするのは、二人だけの世界ではなくてみんなで楽しくこの世界で過ごしてるって感じがしてよかったです。

  • 終焉 帰還エンド

 記憶は失っても彼が長年ストーカーだったことは変わりません。実は恋人同士になってて……と言われても彼は大喜び、大逆転ハッピーエンドなのです。そんな彼のゲスっぷりが分かるエンド。でも開き直ってるのはいいと思います。中途半端にやられると逆に苛つくので、開き直られたほうが好ましい。
初恋叶って良かったねとは思うけど、日天を差し出してしまった感が強くて主人公に謝罪したくなりました。ごめんね。





■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は17時間くらい?ホラーと思われるイラストにあの妙に淡い色合いというか、不思議な印象に惹かれてプレイしましたが死が希薄な淡い世界のお話なのでありだと思えました。
キャラクターの過去は激重だし、主人公は色々な意味で食われる側なので結構キツイ感じなんだろうと思っていましたが、どこか軽くてどこかおかしくて、でも不気味で、しかしやっぱり重くて、ちぐはぐな面白い印象でした。ちぐはぐなのに、ちゃんとまとまってたのでちゃんと楽しめます。面白かった~!

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