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ゲーム「さよならを教えて」感想

※この感想は18禁ゲームの感想です。ご注意ください。

 色々なエロゲを嗜んでいましたが、プレイしたことがなかった「さよならを教えて」。「三大電波ゲー」と噂の本作です。電波ゲーとしてではなくとも噂をチラホラと聞いていました。
何がどう電波なのか? DMMのDLSiteで気軽に買えるらしいと聞いて、プレイしてみた感想です。
 これはネタバレを知っている状態でプレイすると魅力半減だと思うので、いずれこのゲームをプレイするつもりの方はネタバレを見ない方が良いです。ネタバレする箇所はネタバレするって書いてるのでご注意ください。

ジャンル:アドベンチャーノベル
プレイ時間:約9時間
媒体:PC

■ 注意事項

 公式からの注意事項を引用します。

該当する方はゲームをプレイするのも感想を読むのもやめようね!



■ あらすじ

 公式にあらすじがあるので引用します。

主人公は、とある女子校に通う教育実習生。
実習期間を無事に終え、正規の教員になるのが彼の目的だ。
だが、彼は精神的に疲れきっていた。

不安、緊張、対人恐怖……そして、日々襲いかかる悪夢。
放課後の校内で出会う少女たちに対する、恐れ、愛着、情欲。
同僚である大人の女たちに対する、嫌悪感、依存心、禁忌感。

――こんな自分が本当に教員になどなれるのか?

悩む主人公に襲いかかる、義務感と重圧の日々。
彼は、夕映えの放課後を彷徨い続ける。

AboutStory

 たしかにこの通りの物語なのですが、たしかにそうなんですが、ウーーーン!


■ 最初から狂ってる人間が壊れていく物語

 あらすじだけだと伝わらないのですが、本作は最初から狂っている人間(主人公)が壊れていく物語です。「狂う」と「壊れる」って言葉、私は同義語として使ってることが多かったのですが、この2つの言葉が共存するんだな……って気分が味わえます。



■ グロ表現が一部ある

 一部あります。なので苦手な人はプレイをやめた方がいいかも。でも世に放たれているエログロゲームと比較すると表現がやさしい方なので、平気な方もいるかもしれません。


■ 触手がある

 電波と聞いていたので身構えてましたが、予想外のところで驚いたのがこれです。触手! ゲーム開始直後に触手があります。苦手な人は注意したほうがいいかも。私は触手好きな人だったので得した気分になりました。
ちなみに本作はファンタジーではありません。


■ ゲームシステム

 昨今のオシャレUIではなく、"ガチ"の昔のPCゲームという感じです。古いっ!
ただし基本的な機能は存在します。セーブデータ、鑑賞モードなど。昔のゲームでもちゃんと充実してるんだなぁ。




~~~~~ネタバレするよ~~~~~




■ シナリオ

 あらすじで主人公は教育実習生だと言っていたな!残念!すべて妄想だ!そしてヒロインは一人以外すべて主人公の妄想であり代弁者だ!
つまりこの作品は妄想と現実を混同している人間の物語なのです。


■ 攻略対象と各エンディングについて

 本作は攻略対象が5人。ただしエンディングが各種あると言うより、2つだけです。通常エンドとバッドエンドのみ。
道中に一番依存してるキャラの話が深堀りされる形で展開し、そして最終的にエンディングへ向かう。そのため、この深堀りされる部分をルートという表記にします。
各ルートは攻略順に書いてます。

睦月ルート

 教室で出会える長髪の少女。正体は過去入院していた実在する少女であり、主人公が出会ってしまった天使様(比喩表現)であり、主人公が唯一まとも(?)に向き合えていた人間です。
彼女が退院してからは妄想に逃げ込んでしまう描写がされています。
恐らくこの「教育実習生の世界」の根幹だったのが睦月で、主人公の主治医であるとなえ(主人公は保険医だと認識)に「天使様」について気づかれてしまってから妄想世界が壊れ始めていった気がします。共有したことによって妄想が成立しなくなったのかな?

通常エンド

 最終的に、自分で自分を殺す(妄想と決別する)話でした。妄想の彼女たちを殺し終わり、天使様が天へ帰った後、現実には戻れず、しかし何者にもなれないのが嫌で、もう一度妄想に逃げ込む話。
「さよならを教えて」ってつまり「妄想への決別の仕方を教えて」=「現実への戻り方を教えて」ってことなのかな?そして主人公は現実へ戻れなかったってこと?ぐええ……。

望美ルート

 屋上にいる孤独な短髪の少女、望美ちゃん。父親に強姦されてるとのこと。正体は屋上にいるカラスを少女化した妄想です。
 主人公が望美ちゃんを殴っている時に望美ちゃんが発する言葉が「ゆるして、とうさん」であること、主人公が「父親が暴力的だった」「母から女だけは殴るなと洗脳のように繰り返し言われた」と語っていたことから、幼少時に殴られていた主人公の再現を望美ちゃんがしている印象を受けました。
自身が殴られていたこと、殴ってはいけないと言われたことがより弱いもの(小動物)への残虐性になって現れたのかな?
また、父親の愛情を欲していたのもあるかもしれません。

「とうさんは、私が憎いのかな」
「いいや。大好きなんだよ、大好きだから……」

殴られていること=愛情、という認識になってしまったのかもしれませんね。

まひるルート

 校庭にいるツインテールの幼馴染の少女、まひるちゃん。正体は病院の中庭に住み着いている子猫を少女化した妄想です。
過去に現実世界で子猫を殺した実績があるらしく(殺したというか、恐らく興味本位でとある実験をして殺したので主人公の認識としては「事故死」)、まひるちゃんに感じた「愛惜の念と、憐憫の念と、すまない気持ちと、そして……ほのかな、懐かしい愛情がない交ぜになった、不思議な気分」とはそのことでしょう。過去殺した猫を重ねて見てるんでしょうね。
 大体どのルートでも「さよなら」を告げる=妄想の決別はするのですが、まひるちゃんの場合は実際存在する猫で、そしてまひるちゃんのお腹に穴を開けて「さよなら」を告げるので、妄想と現実の区別がつかなくてこわかったです。猫は、まひるの妄想の元になってしまった猫は死んでしまったのか……?それともただの妄想だったのか……?

御幸ルート

 図書館にいる短髪メガネの真面目そうな少女、御幸ちゃん。男性恐怖症だけど唯一主人公に心を開きます。正体は準備室で見たホルマリン漬けの標本を少女化した妄想です。恐らく、主人公の女性恐怖や対人症の部分を再現しているのかな?
彼女は主人公とほぼ同じような性格に設定されているようで、他のルートより自分自身を慰めている感じが強いです。

こよりルート

 弓道場にいる甘えた声で毒舌な弓道部の少女、こよりちゃん。正体はゴミ捨て場で拾った人形を少女化した妄想です。
彼女の話を見ると、主人公の意思を代弁してくれてる箇所が多いので、本当に主人公の妄想で、主人公そのものなんだなぁということがわかります。
 自分の妄想の中の女の子に自分の欠点をズバズバ指摘されて(させて)「キミは僕の分身だ」って言いながら少女に向かって矢でズバズバ射るとか自傷が過ぎるし、さらに少女と自分の立ち位置が逆転して自分が矢を射られかけるので、やはり完全に自傷なんですよね。よく思いつくよ……。

バッドエンド

 最後の決別の日に目当ての少女に会えず、「白いやつら」が「チンセイザイ」を打って拘束し、部屋に閉じ込められるエンド。
恐らく好感度をあまり上げずに9日目の選択肢で選ぶとこれになるのかな?
病んでる人の末路としてはこうなるだろうなという納得のエンドです。

すべてを終えて

 どのルートでも可哀想な少女を救ってあげる、救ってあげられる自分で心を癒やしていたような気がします。そして少女たちを色々なパターンで害しています。自傷し、自慰してるわけですね。決別していっても現実に立ち向かえるわけじゃないのがキツイ。



■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は合計9時間くらい。さくっとプレイできて良かった。
この作品は、女性への憧れと嫌悪と性的衝動と破壊衝動と、自分への失望と嫌悪とこんなはずじゃないって気持ちと、誰かに縋りたい気持ちをいろいろ混ぜ込まれててカオスです。おすすめはできないですが、世の中にはこんなことを思い付ける人がいるんだ……と感慨深くなります。

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