この映画を見た感想として、俳優陣の演技がとてもシビれました。音響の無いシーンで響く俳優陣の低い渋い声が、この映画のリアルさを引き立たているような印象でした。

ここからはネタバレを含む感想になってしまうかもしれないです。

　この映画は大きく分けて主人公の山本賢治(綾野剛)が出所する前と後で分けられるのですが、感じたものは自分の中では大きく違いました。

　前半の部分ではヤクザという義理堅い漢たちの生き様、家族のような繋がり、渋いかっこよさを強く感じられました。印象に残ったシーンは車に乗っていたときに襲撃されたシーンです。長いカットで、途中表情が大きく映し出されるんですが、そこでの山本賢治の表情と演技が最高にシビれました。

　この前半のフリがあってこそなのですが、出所すると服役期間でヤクザとして生きにくくなった世の中にすっかり変わってしまった不条理さを山本賢治の周りの人間関係を通して描かれていました。

　慕っていた連れにも、愛していた人にも、そして世の中にも避けられる世の中。その世の中を目の当たりにし、親父の勧めから組から足を洗い愛していた人とその子供と新しい生活を進めて行こうとするのですが、自分が関わってしまった人は皆自分のせいで生活がめちゃくちゃになってしまいます。

　そんな、どう生きても幸せになれない、周りも不幸せにさせてしまうという現実がとても辛く、最後には慕っていた後半に殺され人生に幕を下ろし山本賢治の人生は何が正しかったのかを考えさせられるようでした。

　ヤクザをテーマに、山本賢治という人物の生き様、そして世の中の不条理がシックに描かれたこの作品はとても見応えのあるものでした。

　また、エンドロールで流れるmillennium parade のFAMILIAがこの映画を見終わった感情を包み込むような曲調で歌詞の内容もとてもよかった。

~色々レビューを読んで~

"スタート地点を選べない社会の中で、必死に生きる人たちを嘲笑う姿を隠した悪魔の声"

"異端者たちの疑似家族的な強い絆を観ていたはず観客は、いつの間にか時代を振り返り「なぜ、こんな社会になってしまったのか？」という疑念を抱くようになる。"

こういう深い感じの映画の感想など書いたことが無かったのでいつも以上に下手な文になったので、このような綺麗な文章を目指して頑張りたいです。

読んでいただきありがとうございました。