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嫌悪感の正体をつきとめよ

以前に書いた記事の中で
通勤電車で私が降りる駅の前で
私の席に座ろうとロックオンしてくる
おじさん二人を紹介した。

その話に出てくる二人は相変わらず
私の前をめぐってロックオン合戦を
日々繰り返しているわけであるが、
彼らを見ていると私はずっと自分の心の中に
とある感情があることに気が付いた。

それは何とも言えない嫌悪感である。

最初私は自分をロックオンすることに対する
嫌悪感であると解釈していたのだが、
最近このロックオン合戦に男子高校生が
加わるようになり、その解釈が間違っていることに
気が付いた。

なぜなら私はその高校生に対しては
何の嫌悪感も持たなかったからである。

ではこのおじさんたちと高校生の違いは
一体何なのであろうか。

そんなことを考えながら先日も電車で
ロックオン合戦を眺めていると
その日は斎藤暁似のおじさんが勝利して
私のすぐ目の前に立った。

満員というほどでもないが混雑した電車の中で
他の人に私の前を譲るまいとするあまり
私に極めて近い位置に立つおじさん。

普通の人ならばそれほど気にならないのだが
そのおじさんがそれをすると私の顔から
20㎝の範囲内に彼の大きく突き出たお腹が
迫ってくることになる。

もう一人、ロックオン合戦を繰り広げるおじさんも
見事なまでのスイカ腹。

もしかすると私はこの2人の突き出たお腹に
嫌悪感を持っているのかもしれない。

その可能性を思いついてから
私は頭の中で通勤中に出会う登場人物を
思い浮かべてみた。

そして、その中でなぜだか嫌悪感を持ってしまう人を
ピックアップしてみると
面白いことに全員がお腹が突き出ていたのである。

なぜ私はお腹が突き出ている人に対して
嫌悪感を持ってしまうのだろうか。

今の私からは想像できないとよく言われるが
私は子供の頃太っていた時期があった。

ちょうど小学校高学年から中学生にかけて
最も太った時期で、
当時の写真を見るとまさにプチプチだと自分でも思う。

もちろん当時の自分もそれはわかっていたのだが、
まだ子供だったので自分で食べる量を
節制したりすることは難しかった。

その頃、父がよく酔っぱらって私に対して
”テプ”という言葉を発していたのが記憶に焼き付いている。

父的には”デブ”では可愛げがなくトゲが多いなので
プチプチして可愛らしい息子に対して
”テプ”といういう言葉を投げかけていたらしい(私の解釈だが)。

だが、それが私は何とも言えず恥ずかしく
逆にとても嫌だった。

ちょうど思春期に入る年ごろだったのも
あるのかもしれないが、
父に太っていることをいじられるのが
嫌であるにもかかわらず、
どうすれば痩せることができるのかわからないという
ジレンマに陥っていたのである。

だが、その悩みは案外あっけなく解消した。

剣道で毎日稽古をしているうちに
知らぬ間に痩せていったからである。

また、当時は成長期ということもあり
身長が伸びてくれたのもあって
今の私のような体形になった。

そこから時々太ったり痩せたりを繰り返しながら
あまり体重の増減もさせない
自分なりのコントロール方法を身に付け
今に至っている。

私はこのプロセスを経る中で
自分はお腹で突き出た姿になりたくないと
ずっと思い続けてきた。

それは何だかとても不格好なものに
思えたからである。

いくらイケメンな人であったとしても
お腹が突き出ていては
そのカッコよさは台無しであろう。

自分はイケメンではないと自負しているが、
せめて体形ぐらいはかっこよくいたい。

ずっとそう思ってきたからこそ
お腹が出た体形にはなるまいと
意識をしてきた。

だが、それゆえに私は逆にお腹が突き出た人に
遭遇すると何だか嫌悪感を持つように
なってしまったのであろう。

別におじさんのお腹が出ているということは
本人が選んだことであり、
全く自分には関係のないことである。

にもかかわらずそれに嫌悪感を持ち
自分のエネルギーを使うのは
何だかもったない気もする。

今日もこれから出勤をすれば
彼らのロックオン合戦が繰り広げられるであろうが、
今度はそれを見て自分が持つ嫌悪感を
いかに消し去ることができるか
私なりのチャレンジを始めてみようと思う。

電車の中には色んな人がいるだろうが、
お腹がつきでたおじさんを目の前にして
それに対する嫌悪感を排除しようとしている人は
私ぐらいのものであろう。

電車の中で2人の腹の突き出たおじさんと
それを目の前に難しそうな顔をしているメガネに
であったならば、
それは間違いなく私である。

ぜひ遭遇した際には応援の一言を頂けると嬉しい。


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