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衰退産業でも稼げます 藻谷ゆかり著を読んで

こんにちは。

プロフィールにも書いていますが
私は繊維関連のメーカーで働いています。

よく人に繊維関係という話をすると
斜陽産業じゃないの?と聞かれますが
決してこれから爆発的に世界的に
日本がシェアを取れる分野ではありません。
世界的にみても人口は減るので確かに
マーケット自体は減っています。

そこで、藻谷ゆかりさん著の
「衰退産業でも稼げます」という
本を読みました。

1.本書の概要

著者の藻谷さんは
ハーバードビジネススクールで
MBAをとられたエリートで、
修了後、外資系メーカー2社に
勤務された後、ご自身で起業されます。
その会社も2018年に譲渡され、
家族で長野県の地方に移住。
地方生活をしながら、地方活性化に
向けたセミナーなども開催されています。

本書は2019年に発行された本で
日本全国の衰退産業の中で、
華々しい活躍をしている企業について
まとめられています。
本書のサブタイトルは
「代替わりイノベーション」のセオリー
というものなのですが、
地方の中小企業の多くは家族経営で
あることが多く、本書の中では
代替わりを機会にイノベーションを
起こして成功した16例が書かれています。

全ての事例は紹介できませんが
私が最も印象に残っている事例として
こと京都株式会社という京野菜の
製造加工販売を行う会社があります。

こと京都株式会社はもともと
京都で少量多品種の野菜を栽培している
一農家でしたが、代替わりを機会に
京都のブランド野菜である「九条ネギ」に
特価した戦略を取ります。
しかし、九条ネギに特化しただけでは
市場価格の変動に左右されてしまうことを
問題となるため、ブルーオーシャンであった
東京のラーメン店にカットした九条ネギを
営業することで安定した売り上げと
市場価格に影響されにくい販売形態を
作り上げます。

さらに、こと京都は九条ネギの製造販売
だけでなく、京野菜を特殊な冷凍をして
全国に流通販売するプラットフォームと
してのビジネスも展開しています。

2.本書を読んで感じたこと

こと京都株式会社の事例でもそうですが
いわゆる斜陽産業はもちろん環境の変化で
過去の繁栄から衰退しているという一面が
あります。

しかし、過去には考えられなかった
販売チャネルであったり、販売方法を
組み合わせることでこれまでになかった
価値を生み出すことに成功しています。

こういう書き方をすると反感を感じる方も
いらっしゃるかもしれませんが、
衰退産業であることにあきらめている
風潮がこれらの産業の中には
残っているのではないかと私は感じます。

「どうせ衰退産業だから細々と」
私が携わっている繊維産業でも
このような考え方をしている経営者の方は
いらっしゃいます。

しかし、今回紹介された事例はいずれも
代替わりをきかっけに過去の慣習や
過去の常識をクリアにして
新たなビジネスモデルを構築しています。

もちろん業界の慣習や過去の事例は
商売をする上では非常に重要であることは
否定できないことではありますが、
その中で頭打ちになるようであれば、
考え方を一度リセットすることも
重要なのではないかと本書を読んで
強く感じました。

私も繊維産業をビジネスの場として
選んでいるビジネスマンとして、
これまでの思い込み、慣習からくる
「できない理由」を一度クリアにして
ビジネスモデルを考えてみようと思います。

今後第4次産業革命の到来で私たちの
生活環境は大きく変わることが予想されます。
それに伴い、現状栄えている産業も
一気に衰退産業となる可能性があります。

起業で働くビジネスマンの方はもちろん
今後起業を考えている方にとっても
新たなビジネスチャンスを捉えるための
色んな参考事例が記載されていますので
本書は是非オススメの一冊です。


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