縁石自転車 (14/40)
さいきん、できるようになったことがある。
チャレンジしつづけること数年、ようやくコツというものがつかめてきた。
冷静にかんがえると、ひとさまにお伝えするようなことではまったくないし、むしろお叱りをうけるようなことなんだけど。
書きはじめたので、なにができるようになったか告白しようと思う。
歩道と車道のあいだにある幅15センチくらいの縁石はご存知だろうか?
歩車道境界ブロックというらしい。
その上を、ほんのすこしの距離だけど、自転車ではしることができるようになったのだ。
読んでいる方は、あきれていることだろう。
だけど、もうすこしだけおつきあいいただきたい。
べつに、縁石の上を自転車で走行できるようになったことを自慢したいわけではない。
しかも、とても危険な行為であるし、ネットで調べてみると縁石に乗り上げて事故につながるケースもあるようなので、けっしてマネしないでいただきたい。
ていうか、誰もマネしないように思うけれど。
なにが書きたかったかと言うと、それができるようになったコツについてのことである。
縁石の上を自転車ではしろうと思うこと自体がバカげていることだけど、落ちないように慎重になればなるほどすぐに落ちてしまう。
それが何年もつづいた。
べつにまいにちチャレンジしつづけたわけじゃなく、ときどき思い出してやっていただけなので数年かかったのだけど。
そうこうしているうちに、たまにうまくいくときが出てくるようになってきた。
そのときはうまくいった理由はわからなかったんだけど、何回か成功していくうちに、「こうしたらうまくいく」コツが言語化できるようになってきた。
そのコツは、思い出してみれば自転車や一輪車にのれるようになったときとおなじようなものだった。
やったことはないけど、綱渡りもおなじコツでやれるような気がする。
それから、なにかあたらしいことをはじめるときも。
あたらしいことにチャレンジするとき、なかなか前にすすめないじぶんがいる。
これをやるには、あれをやっておかないと、とか。
こんなことがおきたら、どうすればいいんだろう、とか。
あれやこれや考えてしまって、前にすすめない。
前にすすめなくなると、できない理由がいくつも思い浮かんでくるものである。
しかも、そんな理由になぜか安心してしまい、結局すすめないことを正当化してしまって、前にすすもうと決めたじぶんが消えてしまいそうになる。
だから、下を見ないで前を向く。
下を見ていると、すぐにグラグラしてしまう。
下に気をとられずに前を向いて、ズンズンすすんでいく。
ほんとうにしょうもない縁石自転車のはなしだったけど、コツは「下を見ないで前を向く」だった。
カラダで覚えたことは、アタマで考えたことより忘れないものだ。
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