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iwaki(イワキ) ウォータードリッパー 別解 緑茶編

冷茶を冷水で淹れたい

iwakiの冷水点滴器は、コーヒーを淹れる道具として活用しているが、それ以外にも緑茶を淹れる用途としても期待していた。アイスコーヒーでも急冷法は美味しさを保つことのできる条件がシビアだが、冷茶を作る際には急冷法ではどうしてもお茶の風味を保てず、冷水浸漬ではいまいち風味を抽出できない問題があったからである。

緑茶などは点滴法で淹れると極めて透明度の高い蛍光グリーン色になるので「え?これ本当に自分が淹れたんですか……?」という気分になる。

しかし、この方法で淹れた緑茶は見た目こそクリアだがコクがなく味はいまいちである、というのが欠点で、問題を解決できずにいた。

緑茶・ほうじ茶・紅茶でも試してみたが、先に述べたように透明な液が得られるのは面白いが、カテキンの渋みが単調に出やすい傾向にあり、コーヒーと違って香りも湯温を上げたほうが立ちやすいため、かなり期待外れであった。

答えは粉茶

最近、この問題を解決する方法が見つかった。粉茶をお茶パックに入れて落とすことで、クリアな外観とコクのある風味を両立できることが分かったからである。

粉茶は業務スーパーにおいてあったのを興味本位で買ってみたのだが、まあ確かにお寿司屋さんで出すのにはいいのかもしれないが、美味しく煮出せるタイミングが難しく、wikipediaには「煎茶の切り落としのようなものであるため安価だが、茶葉の質そのものは煎茶に劣るものではないため、価格の割りに良い味のものが多いとされている」と書いてあるものの、そのポテンシャルを家庭で引き出すのはちょっと難しいという印象だった。浸漬法の水出しも試してみたが、やはりいまいちで、飽きたら捨てるしかないかなとさえ思い始めていた。

その粉茶の処分法として冷水点滴を試したところ、これが当たりで、「クリアなのにコクのあり、お湯で淹れて冷やした冷茶と異なり、お茶らしい風味を冷えた状態で長時間保つことのできる、理想的な冷茶が抽出できたのである。

「どうしても緑茶を苦手としコクが出せない冷水点滴」と「どうしても美味い抽出法が限られる粉茶」という扱いにくいコンビを組み合わせでそれが達成できたのだから、面白いものである。

冷水抽出と言えば玉露だが、どうやら玉露、かぶせ茶、ほうじ茶のいずれも粉茶があるようなので、買って試してみたいところである。

ダシはどう出るか?

前回の記事では、ダシも点滴で行けるのではないか、という話をしていた。一般的に言えば、魚ダシは冷水で抽出するのは生臭みが出やすいようで難しいという意見が多く、特に鰹節については、焙乾(燻製)工程でついた苦みだけが抽出されてしまうので禁忌とされている。

冷水での鰹節だしは、鰹節を作る時の焙乾工程で付けられたフェノール物質分しか抽出できなくて、苦いだしとなります。

小林食品「鰹節削り節メーカーから見た鰹節だしの取り方・避けるべき注意点

かつお節に含まれるイノシン酸は高温で煮出します。かつお節は魚由来なので、逆に冷水や低温でゆっくり加熱すると生臭さやえぐみが出てしまうのです。

アスレシピ「なぜコンブは水から、かつお節はお湯からだしをとるのか/キッチンは実験室


ただ、燻製の鰹節については冷水を推奨していないメーカーも、煮干しのだしならば冷水抽出も推奨している。

水1000mlに対し、煮干し40gを準備します。ポットやボウルに水を入れ、煮干し40gを入れて冷蔵庫で一晩寝かせれば「煮干しのだし」の完成です。

小林食品「水出しの取り方を徹底解説!火を使わないおいしい出汁の取り方

火を入れてだしを取らないので、作業的に負担が少ない上に「煮干の雑味が出にくい、すっきりとした上品なだし」が特徴です。

白ごはん.com「煮干しだし(いりこだし)の取り方/作り方

冷水抽出は上品な代わりにコクが減るのが欠点と感じることが多いが、点滴ならばコクも期待できるのではないだろうか。特に煮干しは粉末が非常に安く売られているので、ちょっと試してみたいところである。ただ、風味が混じってはいけないので、点滴を受ける道具だけどこかで仕入れる必要があるので、探しておこう。

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