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不食の人 ~介護と癒し~

母は「食べる」のが好きでした。

2024年2月に誤嚥性肺炎をおこす前日も夕食は完食。

私も、施設のスタッフさんから、「よく食べていらっしゃいます」と聞くと安心しました。

1月の施設からのお便りには、「何が食べたいですか?」という質問に「お寿司!」と回答と記載がありました。

そうそう、あんぱんも好きでした。

その母が、だんだん「不食に人」に。

時々、胃のあたりから、「きゅるきゅる」と可愛らしい音が聞こえてきます。

話す言葉も・・・

2日間の傾眠を終えて、母は目を開けました。

時折、私の存在に気づき、毎回毎回、初めて私に気づいたようなそぶりを見せてくれるのは、可愛らしいです。

その度に、私に何か訴えようとしているのですが、もう言葉は認識できません。

以前ならば、蚊の鳴くような声でありながら、何となく言っていそうな内容を推察することができましたが、それもままならず。

母自身も、それを認識しているように感じます。

口腔ケアスポンジの水分にも、のどが反応するので、口腔ケアのウェットティッシュ―でケア対応。

酸素マスクをつけているため、乾燥してくるので、鼻の孔と唇に頻繁にワセリンを塗っています。

それでも、なぜかその日は手をよく動かしていて、「おしっこが出た」ことを自分のおしりのあたりを指さして教えてくれました。

本当に「人の持つ力」ってすごい!

ちょっとしたことで感銘を受けます。

力もなく・・・

◆3月16日(土)

ほぼ傾眠状態。

坐薬なしで便が出るなど、体にとどめて置く力がなくなっている。

時折、「あーあー」という声を出しています。

担当の看護師さんは「そろそろ近い」と。

ご自身のお母様を看取られたお話もして下さいました。

◆3月17日(日)

素人でも、呼吸が荒くなっているのを感じます。

これまでなら、肺の辺りをよく見ていなければ、分かりづらかったのが、一目でその動きが分かり、比較的早い速度であるように感じました。

痰吸引をすれば、酸素飽和度が96%程度。吸引の後、母は涙目になり、以前より体に堪えているのが見てとれます。

吸引の後は、痛いので目を覚ますことが多いのですが、一瞬私の姿を認識したようにも感じました。

耳は最後まで聞こえている。

母に、「毎日よく頑張ってます。私は本当に〇〇さん(母の名前)の娘でよかった」そうささやいて、部屋を出ました。


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