見出し画像

世界中の日本語教師の皆様のための   『授業に役立つ小さなアイデア集(38)_ひらがなが覚えられない特徴のある生徒さんのためのひらがなトレーニング編』

今まで受け持った生徒さん(今もいらっしゃいますが)の中で、

「なかなか文字が覚えられない」

という特徴を持った生徒さんが、何人かいらっしゃいます。

今朝のレッスンもそうだったのですが、15年前から、私は、ずっと同じようなスタイルでこういう生徒さん達の文字の習得レッスンに取り組んでいます。

とても簡単です♬

それは「繰り返すだけ」です。
この「note」の記事内でも、何度もお伝えしている「繰り返す」という手法?は、「できるだけ自信を失わないように弱点補強する」という点で、とても効果的だと思っています。

例)ひらがなを読んで、分からなかった、とします。
T:「はい、これ、何ですか?」
S:「え〜っと、う〜ん、、、、わかりません。」
T:「OK、いいですよ。これは「き」です。」
S:「あ〜、「き」ですね、、、。はい、わかりました。」
*これをいろいろな文字でやってみて、いくつか「読めなかった文字」がストック?!されます^^;

これは、実際の教材そのままの切り取り部分ですが、
「できたものは、水色で色づけ。できなかったものは、色無し」でcheckをしていきました。

キムさん_Weak point listのコピー

*一通り、checkが終わったとします。

T:「じゃ、Sさん、ちょっと待って下さいね!」
S:「はい。」
*ここで、画面共有をオフにして、今まで読めなかった文字を集めて、
 ランダムに並べます。それから、また画面共有します。
 こんな感じです。

キムさん_Weak point list②

T:「はい、Sさん。これ、見て下さい。これは、今、わかりませんでした、ひらがなです。」
S:「あ〜、そうですね。」
T:「では、この中で、わかります、ひらがなが ありますか?」
S:「え〜っと、、、「さ」ですね。」
T:「え、どれですか?」
S:「え〜っと、1、2、3、です。」
T:「Sさん、「左から3つめ」です。はい、もう一度。」
S:「あ、はい、じゃ、左から三つ目のひらがなです。」
T:「OK、いいですよ^^。」
*今回は、まず最初に全部色づけしておいて、分かったものは、色を外していく。(もちろん、逆でも全然構いません^^)

T:「じゃ、それから、どれが わかりますか?」
S:「え〜っと、左から4つめの「た」、これは、「た」ですね?」
T:「そうそう、クリア!2つクリアですね!それから〜?」
というふうに、

①ひらがな、カタカナcheckをして、
②分からなかった文字を集めて、
③ランダムに並べて、
④もう一度チャレンジしてもらって、
⑤答え方は、分かったものからでいいので、ランダムでOK

と、これだけです。

例えば、最初に分からなかった文字が10個あったとします。

それから、この2回目のcheckの時に、また9個分からなかったとします。
それでも「1個」は成長しました。

もし、また10個分からなかったとします。
その時は、そこから半分に絞ったり、3個に絞ったりして、少なくして同じことをします。
そうすると断然覚えやすくなります。

この活動を毎回レッスンですると、すこ〜しずつですが、定着します。
生徒さんによっては、レッスン内で、5個も6個も10個も覚えられる人。

また、1週間で2個ぐらいしか覚えられない人など、様々ですが、「前より成長した」という点では、みんな同じです。

個数や幅ではなく、「目の前の成長」を共に喜び、

「できたね!1つ、スキルアップしたね!あしたもがんばろうね^^」
と、「成長=実績」を認めて、だから、明日からもできる!と、可能性を信じよう!と、大げさですが、「希望」に繋げます。

理由は、こういう特徴をもった生徒さんは、過去にも「文字が覚えられない」という点で、コンプレックスをもった生徒さんが多いからです。ですから、彼らにとって

「私、本当にできたんだ!」という小さな自信は、とても大切な自己肯定感と、未来を信じる力に繋がっていきます。

この活動は、
「教師が、生徒の可能性を信じ続ける」という思いが生徒に伝わるようで、私も好きですし、生徒さん達も、「自分がもっと好きになる」ことに繋がっているように思います。

「私は、今までの人生で、誰一人「先生」と呼びたいと思った人は居なかったけど、今、初めて、私はあなたのことを「先生」と呼びます。あなたは本当に「先生」です。」

と、約10年目に、そう言ってくれた、アメリカ人の40代の女性の生徒さんの一言は、私を強烈に覚醒させてくれたメッセージでした。

今日のアイデアもまた、「小さなアイデア集」の1記事に過ぎませんが、彼らの人生の自信に繋がることができる教師でありたいと、私なりに試行錯誤しながら取り組んできた小さな工夫です。

宜しければ、是非^^


はぁとinternational株式会社

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?