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色恋営業の辛さ

前回に引き続き、地元の小箱キャバクラV店に入店してからのその後のお話です。今回は少し長くなるので、お時間のある時に読んで頂けたら幸いです。

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V店に入って半年ほど経った頃、昼職と居酒屋と合わせて3つかけ持ちで働き続けていく事がさすがに難しくなり、私は1年ちょっとお世話になった居酒屋のバイトを辞めました。今後は昼職と夜の2つを上手く組み合わせて、尚かつ居酒屋でバイトしていた時よりも真剣に夜に取り組もうと私なりに考えていたのです。

ところが、居酒屋を辞めた直後のある日、昼間の勤務先での全体朝礼でとんでもない発表があり…会社が倒産する事が決定しました。

短大卒3年目だった当時の月収は手取り14万円と決して良い方ではなかったものの一応正規雇用であり、業績が左うちわだった頃に入社したのでボーナスは年間5ヶ月分出ていました。なので当時の税込年収は今よりも若干多め。

当時は社内で1〜2番目に若く、比較的すぐに再就職先を決めやすい年齢であった事と退職金を通常支給額よりも加算する条件を提示されて早期退職を勧められたので、その1ヶ月後に私は会社を退職しました。

かくして、わずか1ヶ月程度の間に思いがけず私は夜職一本の生活に。

これは、ダメ嬢から脱却して真剣に取り組めという天からのお告げなんでしょうか…(笑)

田舎のキャバクラなので最低時給は2000円。今だったらこの時給で派遣依頼が出ていても絶対に行きませんwww更に、まともに客が呼べないキャストは当然ながらシフトや勤務時間を削られていくので、下手したら夜一本でも昼職の月収以下になりかねません。

そんな訳で、水商売を生業として生きるしか選択肢がなかった私は初めて尻に火がついたかのように頑張って………





















…いませんでしたwwwもう一度言います。

私は全然頑張りませんでした。

そんな私の意識の低さを"やっぱり!"と捉えるか"そうなの?"と捉えるかは、読んでいる方次第です(笑)。

駅を挟んで反対側にも飲み屋街があったので、出勤を削られる度に体入荒らしに行きました。都内では派遣や在籍もしくはヘルプ在籍のかけ持ちが認められる場所もありますが、地元では2店舗以上のかけ持ちは完全にご法度でした。バレたら当然即クビ。移籍するとしても在籍店を辞めてからでなければ体験入店もNG。なので離れた場所を選んで行っていました。

それでも、在籍店一本で売上を叩き出そうと真面目に頑張れる程の忍耐力も精神力も私にはありませんでした。

とは言え、まったく結果を出さなかった訳ではなく、こんな私でも昼職とかけ持ちしていた時よりは在籍店への出勤日数が増えたので、以前よりは幾分指名客が付くようになりました。

(ついでに体験入店で行った所で場内指名を貰う度に、その客と連絡先を交換して後々"V店に入店する事になった"という謳い文句で在籍店に引っ張った事案も数回ありました。笑)

在籍で働いている方の最近の接客スタイルはどうか分かりませんが、地元ではどのお店でも色恋営業をする事が基本とされていました。

都内のように毎日たくさんの人が出入りする街でもなく、どんなに指名で返ってくる見込みのない客であろうと丁寧に接客しろだの、連絡先は全員と必ず交換しろだの…母数が少ない中で1人でも2人でも指名客を増やす為にみんな必死でした。

そして、客側も女の子から色恋営業をされるのが当たり前だったので、たとえ私から色仕掛けをしなくても客はその気で迫ってきて本当に厄介でした。もちろん、色恋で引っ張り続けるにはいつか限界が来るので、そこから友達以上恋人未満のような付かず離れずの関係にシフトチェンジするのが理想だとも黒服や先輩キャストから言われていました。

そうは分かっていても…自分自身の恋愛が上手くいっていない時の色恋営業は言葉では表現しきれない程辛いものでした。

元彼のマサヤがいるサパーには相変わらず定期的に足を運び続け、交際期間中に知る事のできなかったお互いの新たな一面を知る度に以前よりも距離が縮まったような気がしていました。

しかしながら、キャバ嬢やホストとは別物であっても結局は相手も水商売の男。

ふとしたきっかけで彼が本当の事を言っているのか分からなくなったり、私以外の女性が接近しているような勘が働いてしまったり…私はその度にお店や仕事帰りに飲みに行った先で酔い潰れる程飲んで泣いてを繰り返していました。当時の口癖も"病む"が圧倒的に多かったです。

そんな時、ある黒服の元上司として紹介されて何度か指名で来ていた客が、店に飲みに来るなりしつこく口説き続けてきました。

客「ねぇ、れいは一体いつになったら俺と付き合ってくれんの?」

私「(いやそもそもアンタまだ2〜3回しか指名で来てないし毎回1セットで帰るじゃん)んー、でも私も◯◯さんもお互いにまだ知らない事ばかりでしょ?」

客「そんな能書きみたいな事はどうでもいいから、れいは俺と付き合う気あるの?」

私「もっとお互いの事知りたいから今度ご飯行こうよ!この前メールで言ってた美味しいイタリアンのお店教えて…」

客「だから!俺が言ってるのはお前に少しでもそういう気があるのかないのかって話だよ!」

こんなやりとりが続いてかれこれ20〜30分。店に来ていない時のメールや電話では普通の会話しかしないのに、来店する度に"好き"だの"付き合おうよ"だの顔を近づけて繰り返し言ってくるから本当に堪ったものじゃない。

客は来店前からそこそこ飲んでいたようで、グタグタになってそのまま席で寝てしまいましたが起こす気力も湧きませんでした。そして、その瞬間にこう思って虚しくなりました。

"自分は何をやっているんだろう?好きでもない人を色恋で引っ張って、それでも本当に好きな人には好きになってもらえない…自分にはその程度の価値しかないんだ。"

本気で恋した相手には追い続けても届かない。それでも、仕事として客の気を引く言葉を考えて自分に恋をさせている…その瞬間、何だか自分が惨めに思えて仕方ありませんでした。

もうこの人を引っ張るのは無理だ。私自身がこれ以上耐えられない。そう思ったので、私はその客を自ら切りました。

仕事だと割り切ってその場を上手く切り抜ける余裕と技量が私自身にあれば、その客ともう少し続いたかもしれませんが、当時の私は元彼との件で限界を迎えそうになっていました。

そんな時にまた新たな転機が訪れ、限界を超えた私は違う方向に変わる事になりました。

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当初の予定よりもだいぶ長くなったので、次回またひと呼吸整えてから更新したいと思います。ここまで読んで下さった方、ありがとうございます✨

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