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【野球】甲斐野投手の移籍におもうこと

 甲斐野投手のライオンズ移籍が決定しました。
 山川選手のFAに伴い、人的補償として指名されたためです。
 いつもであれば、これまでの甲斐野投手の思い出を綴りつつ新天地の活躍を願うところですが、今回は何が事実なのか分からないニュースがたくさん飛び交い、いちファンとして複雑な心境でいます。

 ことの発端は、とある新聞社から出た「和田毅投手を人的補償として指名することが決定的」というニュースでした。いつものように朝5:30に起床し、スマホを開くとタイムラインがこのニュースでいっぱいでした。
 ファンの方々でしょうか、「ひどい」「どうして」「山川なんていらないのに」「信じられない」といった言葉がネット上にものすごい勢いで並びました。
 元々山川選手は複雑な事情を抱えており、昨シーズンは試合に出場していません。その選手の人的補償に昨シーズン8勝を挙げている左腕エースが指名されたとなれば、それはファンの皆さんが怒るのも当然だと思います。本当に人的補償が必要な移籍だったのかと考えさせられるケースだな、と思いました。
 しかし、事件はまだまだ続きます。夕方になって、ライオンズから発表されたのは甲斐野央投手の移籍だったのです。
 再びファンの中で憶測が飛び交うことになりました。「和田が断ったのではないか」「甲斐野がプロテクトから外れているわけがない」「これはおかしい」-- 昔、中日ドラゴンズでも同じようにベテラン投手が人的補償を断ったという噂が飛び交いました。そのときと同じなのではないか、というのです。

 現在、「球団関係者のリーク」という形で、和田投手が移籍を断ったこと、ホークスサイドが慌ててライオンズサイドに謝罪し、本来はプロテクトされていた甲斐野投手の指名に変更した(譲歩した)こと等が書かれたニュースも出ています。

 これが本当なのであれば、もうプロテクトというルールも人的補償というシステムも、全て見直す必要があるように思います。すなわち、「選手の同意がなければプロテクト外しをすることができない」というものにしなければなりません。選手によって特例を設けるのはおかしいわけですから。

 そもそも、こんな内部事情を世間に広める必要があったのでしょうか。確かにルール違反はいけないことですが、私たちはそれを裁く権利など持っていませんし、正義を振りかざして選手を傷付けることなどあってはならないことです。

 現役ドラフトで阪神タイガースに移籍した大竹投手は、新しい環境で活き活きと活躍しています。ホークスファンとしては、とても嬉しいです。

 しかし今回は、「なんでうちに来たんだ。甲斐野をとられるなんて考えられない。」となじられる山川選手、「ルール違反だ」と批判される和田投手、「人的補償なんて嫌だよね」と傷付けられる甲斐野投手…みんなが辛い思いをしているのではないか、と勝手ながら考えています。

 これだけネットが発達し、誰もが自由に気持ちや考えを発信できるようになった社会で(私自身もこうやって発信しているわけですが…)、「内部事情をさらす」ことは危険なことなのだと強く感じました。
 世間に広めるのではなくNPBのしかるべき人に伝えてくれていたら、全てが解決してから人的補償を公表していたら、そもそもホークスがドラフト戦略に成功していて生え抜き選手たちでペナントを戦えていたら…。
 発端はホークスの球団の不手際であり、他者の介入を許さず球団とNPBでやり取りをしつつ全て解決させてから世間へ説明ができたら良かったのではないかと感じました。

 ファンはもちろんのこと、今回の件に関わった全ての人が嫌な思いをしています。現代に合った情報の伝え方とはどんなものなのか、深く考えさせられました。

 蛇足になりますが、甲斐野投手がライオンズに移籍することで観戦しやすくなるのでとても嬉しいです。来シーズンの活躍を楽しみにしています。

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