「行動を変えるデザイン」の学びを活かして、3ヶ月放置している粗大ごみの廃棄を促すLINE BOTを作成してみる
粗大ごみって、出すのが面倒くさいですよね...
今年の7月に引っ越しし、数年つかっっていたカーペットを廃棄すると決めたのですが、面倒で未だに捨てることができません。
出かけるたび目に入って、「あっ!捨てなきゃ...」と思うのですが、行動を起こすことなく三ヶ月が経過してしまいました。
粗大ごみを廃棄できない自分から、粗大ごみを廃棄できる自分に変わりたい!
というわけで、今回は「行動を変えるデザイン-心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する」という書籍で学んだ事から、なぜ私はカーペットを廃棄できないのかを解明し、そして粗大ごみを捨てる行動を促すLINE BOTを作ってみようと思います!
こちらの本はユーザーの行動を変えるプロダクトを作るにはどのようにすればいいのか、ということが心理学と行動経済学の切り口で書かれています。UXを考えるお仕事をされている方にオススメの一冊です。
1. CREATEアクションファネルでユーザーの行動を妨げるものが何か理解する
人が行動を起こすまでに5つの心のイベントがあります。
・キュー(Cue): 「やらなくちゃ」と気がつく瞬間
・反応(Reaction): 気づいた後の反応
・評価(Evaluation): 費用対効果に見合っているかどうか判断
・アビリティ(Ability): 自分にをそれを実行する力があるかどうか判断
・タイミング(Timing): 今やるべきかどうかの判断
これらの頭文字をとって、まとめてCREATEアクションファネルと呼びます。
「ファネル(Funnel)」とは、漏斗のことです。図にするとこのような感じ。キューからタイミングまで通り抜けてやっと人は行動に移すことができます。どこかの段階で躓くと、その行動は実行されません。
さて、私の「粗大ごみの廃棄行動」は漏斗のどこで詰まっているのでしょうか。考えていきます。
1. キュー: 外出しようとドアに鍵をかけている時視界の右にカーペットが入り、「あ、捨てなくちゃ...」と気が付きます。
2. 反応: 「早く捨てて、すっきりしたい!玄関をきれいにしたい!」という気持ちが湧いてきます。
3. 評価: 廃棄にかかる正確な金額を出すにはまずサイズを測る必要があります。でもまぁ、数百円〜1000円でしょう。時間も労力もさほどかからなそうです。
4. アビリティ: 私の能力をもってすれば、粗大ごみの廃棄は可能でしょう。これまでの人生で何度も廃棄したことがあり、やり遂げる自信があります!
5. タイミング: 出かける直前に「あ、捨てなくちゃ...」と気がつき、「今対処すべきじゃないな。」と判断する。だって、今粗大ごみのサイズを測ったり予約したりしていたら、約束に間に合わなくなってしまうから。
つまり、5の「タイミング」で詰まっていることがわかります。
2. 何を得るために、誰が何をすればよいかを明確にする
次に、ゴールを明確にしユーザーを理解します。下記の3つのことを明らかにします。
・ターゲットアウトカム: 狙うべき成果
・ターゲットユーザー: 使うユーザーについて
・ターゲットアクション: 起こさせる行動
1. ターゲットアウトカム
粗大ごみが家の前から消える
2. ターゲットユーザー
・粗大ゴミを捨てたい。邪魔。
・人が来た時、粗大ごみずっとあるな…って思われる
・面倒くさいことが好きでない
・別に家の前に粗大ごみがあっても困ることは無いと思っている
・いつまでも粗大ゴミを出せないなんてなんてだらしがないんだ…情けない...と思っている
ウジウジウジウジ悩みやがって、さっさと捨てろ!という声が聞こえてきそうです。わかっちゃいるけど、できないんだよなあ。
3. ターゲットアクション
粗大ごみ廃棄の予約を取る!
3. ビヘイビアプラン(行動の計画)を作り、行動をデザインする
粗大ごみ廃棄の予約に至るまでに必要なユーザー行動を書き出し、ビヘイビアプランを組み立てます。
1. 粗大ごみのことを思い出す
2. 住んでいる場所の粗大ごみ廃棄についてWEBで調べる
3. 粗大ごみ廃棄センターに電話し、金額を確認して引取日を決める(またはインターネットで予約する)
4. 引取日をGoogleカレンダーに入力する
5. コンビニで粗大ごみシールを買う
6. 粗大ごみにシールを貼る
7. 粗大ごみを指定の場所に配置する
4以降は自力でできそうなので、プロダクトのビヘイビアプランからはハズします。1~3に注目して、プロダクトによるどんな助けがあったらユーザーが行動できるか考えてみます。
1. 粗大ごみのことを思い出す
思い出すタイミングは出かける直前、といつも間が悪い!
タイミングを改善します。また、どうせなら粗大ごみのことを思い出したら5. 粗大ごみ廃棄センターに電話し、金額を確認して引取日を決めるという行動まで一気にやり遂げてしまいたいです。
ですので、思い出すタイミングは「ユーザーが家にいて、粗大ごみ廃棄センターの営業時間内で、お手すきの時」に設定します。
2. 住んでいる場所の粗大ごみ廃棄についてWEBで調べる
これは意外と面倒くさいですよね。この手のウェブサイト、リニューアルがあまりされていなくて情報を探すのが難しいことも多いです。リマインドする時に、粗大ごみ情報のURLを送ってあげましょう。
3. 粗大ごみ廃棄センターに電話し、金額を確認して引取日を決める(またはインターネットで予約する)
電話番号やインターネット受付のURLを調べるのが面倒くさいですよね。これも、2とセットで教えてくれたら嬉しいですね。
4. 粗大ごみ廃棄を促すLINE BOTを作ってみる!
実は、この記事を書くために粗大ごみセンターについて調べてるうち、あっさり予約まで完了してしまいました。もはや、わざわざLINE BOT作る動機がない!!
無いのだが、ここまで記事を書いてしまったので続けます。再び、粗大ごみを捨てる機会が発生した時使えるように...。
LINE BOTの機能はこのような感じ。
STEP 0. 粗大ごみについて思い出したけど今対処できないというタイミングで、LINE BOTに「よろしく」と打つ。このアクションにより、粗大ごみリマインダーがセットされる。
STEP 1. ユーザーが家にいて、粗大ごみ廃棄センターの営業時間内で、お手すきの時(= 土曜日の午前10時)に、住んでいる場所の粗大ごみに関するURLと、電話番号を送ってくれる
STEP 2. LINE BOTに「キャンセル」と言わない限り、毎週土曜日の10時に住んでいる場所の粗大ごみに関するURLと、電話番号が送られる。
Node-REDというローコードツールを使用して作りました。フローはこんな感じ。
BOTの名前は、「粗大ごみ出させるマン」としました。
さらに発展させるなら、リマインダーセット時に住んでる場所の市町村区名を送ると、市町村区のコードを検索してその場所の粗大ごみURLを送る...というところまでできるとよいですが、作り込んでいるとキリが無いので、これで完成とします!
行動を変えるデザインの学びを活用して、LINE BOTを作成することができました。
しかし、捨てる粗大ごみが無くなってしまった...。
粗大ごみ捨てる機会を私にくださーい!
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