年の瀬ということもあり業績評価や組織再編みたいな話題も多いのかもしれません。最近周りと組織再編や人事評価を話す機会が多かったのでまとめておきたいと思いました。
例えばある人が今より責任ある仕事を任せて欲しい、逆に誰かに任せたいと考えるだけでも様々なアプローチがあります。日本でも欧米型の人事制度の導入が言われて久しいですが、以前の記事でも書いたように階層を一つ上げるというのは結構大変で、何も考えていないと何年もずっと同じっていうことは普通にありますのでどうやって壁を破るのかについて考えてみたいと思います。「ボーっと生きてんじゃねーよ。」

一つ目は俗に言う立場が人を作るというやつ。わかりやすい例ではただの人が親になっただけでも親としての自覚が産まれ生き方が変わったりします。母親は子供が産まれると遺伝子的に愛情が湧き出るようにできているらしいですし、人は自分の役割を自覚した時にそれらしい振る舞いが出来るようになっているのかもしれません。

国家公務員試験のキャリア採用や、GEあたりで顕著にみられたファストパスの人材育成プログラム、一昔前のMBAだったりでいわゆる出世のチケットのようなやつですね。選別方法はハードスキル＋αだと思いますが、重要なのは本人も周りも選別されたことを知っており、周りから大きな期待を受けて立場に見合う責任を負い成果を上げていく。RPGで高レベルパーティに入れて無理やりLVを上げるパワーレベリングみたいなやつですね。エリートは作るもの。

めでたく選ばれた人は内部監査で会社全体を俯瞰してみたりPL責任を負わせたり、経営者に近い目線でのFP&Aやったりするのがあるんですが、いずれにせよプログラムされたローテーションでそれらをこなす過程で必要な社内人脈やものの見方を身につけるようです。ポテンシャルがある人を人工的にリーダーする試みでそれなりに機能していると思います。

ではそのような明確なルートや仕組みが無い場合はどうなのか。よく言われるのはマネージャーの仕事をしている人をマネージャーにするというやつで、自分がそのポジションの仕事ができることを主に上司に証明して、結果を出して役割が後から追いつくやつ。なんせその役割・責任を果たすことが出来ることをすでに証明してるわけですから選ぶ方も選ばれる方も納得感はあります。しかしながら・・

このアプローチは本人の自分はやっている出来ているという認識と周りの評価にギャップができやすく、「こんなに一生懸命やってるのに認められないクソが」みたいな形で不幸も起きがちです。
上から見たら足りないんだけど本人は自分の認識できる範囲でマネージャーの仕事をしたつもりだったりする。適切なフィードバックがないと認識のずれは不満になり、何が足りないのかわからないまま安易に転職したりします。アルバイトの人が社員と同じ仕事をしてますって言うのに似ているが、少し考えればそんなわけがない。
まあフィードバックを受け止められない、視野が狭い、必要なサポートを受けられない、諸々の足りないことをなんとか解決できないことも含めて本人の器の問題と言ってしまえば身も蓋もないのですが、評価やサポートする側の問題であることも実際には多いと思われます。そもそも部下の育成や抜擢を明確に管理者の職務に入れている会社がどれだけあるのかと。
本人の自己評価通りに能力があり、たまたま上司側の問題である場合は環境を変えることで花開く可能性はありますが、次の職場でも同じようなことが起きて何故か評価されない・・・ならばひょっとしたら考え方を変えた方がいいかもしれません。YOU ARE JUST AN AVERAGE、仮にも出世して実績も出して来たであろう人が揃いもそろって間違っていて人を見る目がないなんてことがあるだろうか。

最後にどこにいてもどんな環境でも自然と集団のリーダーになってしまう人もいるのです。カリスマ。存在を周りが放っておかない、本人も自然に周囲の期待に応えてしまう。そういう人は天然ものの本物であり、周りができることは当人の資質を見出し本人に気づかせて邪魔しないことくらいでしょうか。むしろそんな人物にサラリーマンなんかやらせとくのは損失かもしれない。

いずれにせよ、組織の最小構成を考えてもいわゆるリーダーのポジションは3-5人に1人くらいの割合でしかないので、多くの人は本人の自己評価如何に関わらず平社員で終わってしまうのが現実です。ましてや非正規雇用だと育成される機会がそもそもないので、どこに所属するのか、どんな形態で働くのかは単純にお金や好き嫌いの話にしてしまうのは危険だと思います。

最後に、立場や責任を経験することが人を大きく変えるというのは間違いなく、そこに到達した人でなければ見えないものは確実にあるので自分の可能性を信じ続けられる限りはチャレンジしたほうが良いと思います。