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読書記録Vol.73『引っ越し大名三千里』土橋章宏・著

友人の薦めで
引っ越し大名三千里
を読みました!

藩を会社に置き換えると
それまでさぼってた社員(=春之介)が
急に役付きになって
おろおろしながら
最初はばかにもされながら

でも必死に
教えてもらいながら
助けてもらいながら
藩の責任を負っていく話

春之介が結構
へたれ気味だから
かなり共感が持てる

その春之介が
大事な書庫の本を処分すると決めて
その内容を4日で全部
自分の頭に入れるところとか
やると決めたら
やる!というところは

ここで肚を決めたんだな

って思った

だんだん重役になっていって
最初はあっぷあっぷして
やっていたことが

慣れていく
当たり前になっていく

だんだん
楽しめるようになっていく
笑いにもできるようになっていく

藩が商人から借りたお金についての
春之介が水谷(若い子)の会話の一部

「その場しのぎで金を借り、積もってみれば五万両。もはや互いに抜き差しなりません」
「五、五万両!?そのようなこと、殿はご存じなのですか?」
水谷が気色ばんだ。藩の年貢のあがりではとても返していけない額である。
「知っているのはご家老と江戸留守居役、勘定奉行、そして私くらいでしょうね。初めは生きた心地もしませんでしたが、今はもう慣れました」
「そんな・・・・・・。私は知りとうございませんでした」
「上役につくというのはそういうことですよ。ご家老の期待に応えられるように精進してください」

その姿なら
わたしも見習ってもいい
かっこいいと思ってもいい
やってみたいと思ってもいい

って思えて

しかも最後の最後に
春之介がとっても偉くなって
それまで心配や苦労をかけていた
お母さんに喜んでもらえる!
と意気込んで報告しに行ったら

しかし母の返答は、
「あらそう」
と、そっけないものだった。
「あまり喜んで頂けないのですね、母上」
褒められると思っていた春之介は若干気落ちして聞いた。
「春之介。私が息子の出世だけを喜ぶと思っていましたか」
波津が柔和な目で春之介を見つめた。
「あなたが引っ越し奉行として、一歩外に踏み出した日・・・・・・。あの日から私はずっと親として幸せでした。成功しても失敗してもいいのです。ちゃんと世に立ち向かってくれたのですから」

すごく
いまの自分に
等身大で響いてくれる
面白くてやさしい本でした

秋の夜長に
ぜひ読んでみてください☆

みほ

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