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「あとは寝るだけの時間」 #好きな番組

又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間

NHKラジオ第1にて、月曜夜9時5分〜55分まで放送している番組。
元々同居生活をしていた3人によって、コーナーを交えた、センスの良い駄話が繰り広げられる。

およそ人を傷付けないであろうピース又吉、サルゴリラ児玉、パンサー向井の3人の、内向きなノリのトークが、しかし、それが内輪受けとはならない、とても良いバランスで展開する。

時折り見せる先輩又吉に対する児玉の、あるいは先輩又吉と児玉に対する向井の、天然と狙いが半々のような、デリカシーの欠如した、ぞんざいに扱う様から、その良い関係性が垣間見える。

又吉好きの70代後半の母にも勧めたところ、気に入ったようだ。
実際、高齢者からの便りも多いようで、幅広い年齢層に支持される、この局のトップを争う人気番組である。

丸6年やっているのに、始まりのタイトルコールで度々、しくじる。
そして、そのしくじった要因や責任のなすり付け合いで、10分近く費やすことも珍しくない。
「オレたちはいつまでこんなことやっているんだ!」「もういい加減にしよう!」と嘆く。
しかし我々はいつも、それを飽きずに、普通に楽しく聴く。いや、聴けてしまう。
これを素人に毛の生えた、よく例えで出されるところの"面白い大学生"程度の人らが同じようなことをやっていたら、親戚家族、友達以外は当然、聴いていられない。
これが成立する、満足させてしまうのは、芸人たる所以、あるいはタレント性が成し得るものではないだろうかと、何だかわかるようなわからないような、それっぽい褒め言葉を言いたくなる程、贔屓をしている番組である。

また、1番しっかりしていそうな向井が、実は非常にズボラでだらしないというのも興味深い。
見た目は真っ当そうで、実はヤバいというのが、どこか爆笑問題の田中を彷彿とさせる。

そしてこの3人、又吉が菅、児玉を尾形として、ちょうどパンサーに置き換えられる。
得てして、トリオのキャラ構成はこういったものかもしれないが、それにしても上手く当てはまる。

先日、綾部が6年ぶりに帰国して催されたピースのトークライブのタイトル「本とアメリカ」は、秀逸である。
綾部が命名したそうだ。

サルゴリラのキングオブコント決勝進出が嬉しい。
でも見ないであろう。

M-1もしかり、または野球のWBCなど、何かしらの思い入れや肩入れするものを、年々、歳をとるほどに、リアルタイムで見ることが出来なくなっている。
よって、大概はネットで結果を確認した上で、安心した気持ちで、見るか見ないか決める。
日常でドキドキ感を味わっているから、もうこれ以上はいらない、というわけではなく、日常も波風少ない平穏無事を望み、実際にそうである。

映画も、生き死にを左右するような緊迫した場面などになると、早送りしたり、あるいはネットでその顛末を知った上で、見るようになった。
とても邪道だが、それでも楽しい。
本も、読み飛ばして顛末や結果を理解してから、改めて読む、あるいはそれが腑に落ちなければ、やめてしまうこともある。
ノンフィクションならば、そこに嘘偽りはないだろうから、素直に受け入れられるのだが、創作物の場合、それは作者によるものであり、時として「何でこんな嫌な気持ちにさせられないといけないんだ」といった具合になってしまう。
しかし、その時点で十分に揺さぶられているわけで、何ならその作者の6〜7割の力で"コテンッ"となっているとも言える。

そんな弱い人間が、安心して聴けるのが「あとは寝るだけの時間」である。

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