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エッセイ 兎にも角にも切符を手にせよ【ネコ戦記外伝 文学フリマ岩手8編1】

 6月18日開催の文学フリマ岩手8に出店いたします。
 サークル名は「珈琲まねきねこ」です。言いにくいです。
 本を一冊販売します。去年までに書いたお話の中から10個選びました。初めて作るなりのごくごく薄い本です。先週入稿が完了しました。夜中に集中を要する作業を長時間して、耳から脳みそが出るかと思いました。
 委託で他の方の本も販売します。また後日紹介しますね。

 何となく私の居住地の予想がつく方には「なんで岩手?」と思われるかもしれませんが、もともと旅行がてら行くつもりでした。固い職場に勤めている上に周囲に書き物のことを話していないため、地元のイベントに出るのに抵抗があるのです。東京で取引先に出会うかもしれない、と一瞬よぎっただけで背筋が凍ります。(どうか、誰もわたしのことなど覚えていませんように!)

 あと、そうですね。人に会いに行くためです。この世に、誰かに会いに行く旅行ほどいい旅行はないと思っています。たどり着いて「やあやあ」と手を振って「きたよ」と言って顔を見て「元気でね」と言って帰ってくるだけで十分だったりします。(たまに「何しにきたんだあ!」って突っ込まれます。)

 こうした文芸イベントに出店するのは初めてです。印刷物を作るのも。学生の頃は演劇系サークルに所属していたので、文化的な催しは発表会のようなものばかり。チケットを売ったことはあっても、作ったものを売ったことはありませんでした。

 とはいえ、「文芸サークル」みたいなものは高校にも大学にもあったので、「文学フリマ」の名前は知っていました。本当に名前だけです。アナログゲームにはまった頃、「ゲームマーケット」という催しに行ってみたことが何回かあって、そこで自分たちで「ゲームを作っている」人たちがいる、ということを知りました。どうやって作るんだろう、と調べて印刷屋さんに辿り着いて、そこで同人誌の印刷案内があったり、関連で広告が出るようになったり、その中で目にだけした朧げな知識です。

 noteにものを書くようになって、フォローしている方に実際に文学フリマに参加する方をおみかけするようになりました。ああ。同人誌を出すってこんな感じなんだ、という風に遠巻きにながめていました。お祭りの山車を見学だけするタイプですね。大騒ぎが苦手な性分なんです。

 去年の今頃、Twitterで文学フリマ岩手の感想を言い合うスペースを開いている方がいらっしゃいました。今でも交流のある方が何人か参加なさっていました。結局、文学フリマがどういうイベントなのかわかっていなかった私は聞きにお邪魔します。そして、楽しそうだな、と思ったんです。

 私の中の人間は、それなりの年をとっていて、最近になって「やれることはやっておこう」と思うようになりました。時間ができたら、お金ができたら、家族の都合がついたら……と後回しにしていたことをふと思い出しては「結局それ、いつやる時が来るんだろう」と情けなく思うことが増えたんです。なんていうか、来なかったんですよね、今まで。やる時。

 岩手県はちょっと遠いんですが、日中社畜なのが幸いして「精一杯働きますう!」と泣きながら言えば休みの都合がつけられますし(仕事に穴を開けないという確約をそれなりに信用してもらえるってことですね)、ほんの少しなら蓄えもあります。盛岡に行ったことがないですから、見物するのもさぞ楽しいでしょう。腹を決めました。

 去年の12月、出展受付開始早々に(他の参加者の方にブースがいっぱいになるよと急かされて)申し込みをして、それからかれこれ約半年。あっという間に1ヶ月後になってしまいますね。

 新作を書くことはできなかったけれど、印刷屋さんの見学をしたり紙面作り(Illustratorで作りました)の勉強をしたり裏で細々やっていました。本当に細々です。

 こらからするであろうお店の準備や当日の販売のあれこれ(多分主に失敗)をできるだけ共有したいと思っています。「行ってみたいけど、いまいちふんぎりがつかない」という方のお役に立てたらなあと思います。

 とりあえず「参加する」って言っちゃったり、申し込んじゃったりするのはいいことだと思います。うじうじしてても時間がすぎて締め切りが迫ってくるのでずるずる自分を引っ張っていってくれます。

 まだちゃんとやれるかわからなくて、こわいことだらけだけど。
 とりあえず、頑張ってみようと思います!

エッセイ 054

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