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エッセイ 記憶にしか残っていない【ネコ戦記外伝 文学フリマ岩手8編4】

 こんばんは。先週文学フリマ岩手8に行ってきました。

 店の設営とか、当日の準備とか、出てみよう、という方に役立つようなレポートを書くつもりだったんですが、なんと、私、写真を撮り忘れました。現場の写真が一枚もありません。びっくりしますね。ほんとに行ったんでしょうか。

 証拠と言ったらnoterの福島太郎さんの証言しかないのです。
(福島さんはアイコンどおりメガネをかけたナイスガイでした。体から滲み出るいい人オーラの発動で前を通るお客さんに無料配布冊子をみるみる配るという謎のスキルを展開していました。なにその特殊技能。分けて欲しい。あと、リンクの記事を読むとシャツの下にTシャツを仕込んで脱ぐのを伺っていたエピソードが書いてあってびっくりしました。そんな必殺技があったなんて、見たかった!)

 あ、あと、金曜日に朗読をいただいている水上洋甫さんにも目撃されています。
 こちらはなんと写真に写っています。写真に写って大丈夫なのかねこのひとよ!

フェルト……。
水上さんはフェルトでできていました。(きっぱり)

あ、あとですね。隣のブースがたまたま(本当にたまたま)noterの方でした。その名も蝦春マキさんです。文学フリマどうでした蝦春さん!

あ…。
書いてない。書いていないだとう?! (プロフィールに『文学フリマに参加したい』って書いておられますね。目標、叶えられたんですね。素敵なことだと思います)

 とても不思議な事ですが、みなさん面と向かって会うのは初めての方たちなのに、昔から知っていたように、恥ずかしがりながらも(恥ずかしかったのはひょっとしたら私だけかもですが)打ち解けてお話することができました。本当に、岩手に知り合いなんていないはずなのに、同窓会みたいな楽しさでした。

 あけすけにお話する、がモットーですので、できるだけ恥も外聞もなく書いておこうと思います。(委託販売に関しては他の方の預かり物なので公表に含めません。相手の方を大事にさせてください)

 「おもしろすぎないおとぎ話」という新刊を50冊、文学フリマのためにしまや出版さんで刷りました。販売価格は500円です。42ページの薄い本。価格は原価ぎりぎり、早期入稿の割引を利用したので数十円の儲け(販管費抜きで)です。

 仕事などで印刷屋さんに冊子などを依頼したことのある方はご存知のように、本などの印刷物は一般に刷れば刷るほど一個あたりの単価が下がります。市販の本が美しい製本と分厚いページを維持して数千円で買えるのは数の効果のたまものです。ありがたいなと思う。私が50冊も本を刷ったのも、販売価格を500円にするのに原価割れしないぎりぎりの冊数だったからです。(私はどんな活動も長く続けていこうと思ったら突発的な大きな赤字を発生させてはいけない、と思っています)

 しまや出版さんのプランで刷り上がりを直接会場に配達してもらいました。帰りに着払いで荷物を送る機会を文学フリマの運営の方が作ってくださっていますので、本の段ボールを利用して荷物を送り返すこともできます。

 店の設営には布(130センチ×90センチ。事務局発表のブースの大きさを見て用意すればいいと思います)、本立て、コインケース、それに本の印刷のオプションでついてきたA2のカラーポスターを用意しました。

※設営写真はありません!

 事前に文学フリマ東京にご参加されたたらはかにさんのツイートなどを参考にしていたので、差し入れ用のお菓子と、同人即売会向けのレジアプリも用意しました。

 販売金額合計も在庫管理も販売履歴もとってくれる優れものです。事前にシミュレーションも行いました。

 (=゜人゜=)……。

 どうでしょうみなさま。疑問に思わないでしょうか。
 記事書くつもりなのに写真を撮り忘れる人が果たしてレジアプリを使いこなせるのだろうかと。

 正解です。

 焦ってみごとに使い損ねました。(たらはさんごめんなさい)。販売物が500円(委託のものは500円と100円)なので暗算でき、ひとたび暗算で売ったものが発生すると今度はレジアプリと整合をとるのが面倒くさくなるという悪循環。結局、紙に正の字を書いて管理しました。
 値段がいろいろの場合は本当に便利なアプリだと思います。
 逆に、計算が苦手な方は「販売物の価格自体を単純にする」というのは結構いい方法だと思う。在庫をあらかじめ数えておいて、在庫の数で販売数を管理しましょう。

 次にお菓子についてです。文学フリマ岩手はアットホームな空間で、たまにお菓子をくださる方がいらっしゃいます。その時にお返しできるお菓子があると便利だと思います。私は隣席の方にも配りました。蝦春さんに話しかけることのできたきっかけもお菓子を渡したことです。(蝦春さんからもお菓子をいただきました)。エビせんべいです。蝦春さんに、エビせんべいを……。

 ホテルに帰ってからいただいたお菓子の写真を撮りました。「写真撮らなきゃ!」と思い出したのが結構時間が経ってからだったので、だいぶ食べてしまった後です。

(本当にだいぶ食べた後……)。酪王カフェオレクランチは福島さんにいただいたお菓子ですね。おいしかったです。ごちそうさまでした。
 こんなにお菓子、子ども会以来だなあとホテルで並べて思っていました。遠くから来た方は地元の銘菓だったりして、個性があるんですよ。

 ブースに一日座って、無料配布の折本なんかを配って、販売実績は23冊。持ってきた本の半分くらいですね。実績の7割くらいがTwitterやnoteでなんらかの交流のある方でした。(足を運んでくださった方、本当にありがとうございます)。アイコンでしか見たことがないはずなのになぜか初めての感じがしない、不思議な体験でした。この7割は名乗ってくださった方の数なので、実際にはもう少しいらっしゃるのではないかとふんでいます。というのも、本の中を確認してから購入なさった方がほとんどいなかったからです。無料配布の意味がない! けど、本当にそう。あらかじめ何らかの関係性のある方が買ってくださった様子でした。皆様、どうもありがとうございます。

 お話しながらメモをとり、客入りの少ない時を見計らって、寄ってくださった方で出店もなさっている方のお店に足を運びました。そうして会場の全体を見ながら思ったことは、ここは本当に、同窓会みたいなコミニュティの場なんだな、ということです。
 あちこちで「久しぶりですね」とか「元気だった?」とかの声が聞こえます。お店そっちのけでお客さんと話している店主の方もいます、私の、蝦春さんと反対側の隣のお店の方は「まだやってるんだ?」と久しぶりに会ったらしい即売会仲間と思い出話に花が咲いていました。

 商品、というより名刺や手紙のような、みんなのコミュニケーションの媒介に本がある、という感じ。購入した本を家で本棚にならべるとまた不思議な感じがします。出会った人たちが並んでいるみたいです。

 お話してくださった皆さん(とりわけ福島さんと蝦春さん!)どうもありがとうございました。おかげで知らない土地でひとりぼっちにもならず楽しく店番ができました。
 オレンジエプロンの水上さん、うちに来たお客さまはほぼ水上さん越しに知り合った方々です。お世話になりました。みなさんのコミュニティにあたたかく迎えてくださってありがとうございます。パン、ごちそうさまでした。

 直接お話することはありませんでしたが、こうしたイベントを運営するのは大変だと思います。「来年も開催が決定しました」のアナウンスが入ると会場から拍手が湧き起こっていました。愛されているイベントなんだな、と思いました。運営の方々、お疲れ様です。お世話になりました。

 帰ってきてから布団に飛び込んで自分でもびっくりするほど眠りました。
 現在、在庫をBOOTHで販売しています。

 思えば、BOOTH販売も今回初めてやりました。
 年をとると新しい体験が減るとか思ってたけど、全然そんなことないんですね……。しみじみしています。

 あんまり商売の参考にはならないかもしれないけれど、以上が私の文学フリマの体験記の全てです。
 どこかの誰かが、自分も行ってみたいなと思ってくれたら嬉しい。私も、そういうのが始まりでしたから。

エッセイ No.059

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