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【映画】『桜色の風が咲く』 6歳の息子と考えた

この映画が始まってすぐ、『桜色の風が咲く」というタイトルがスクリーンの真ん中に映された時、副題として
『The Mother's Touch』とあった気がします。
見終わって、とてもしっくりくる副題だと思いました。


福島智さん。9歳で失明、18歳で聴力も失いながら、
やがては盲ろう者として日本で初めて大学進学、
その後、世界で初めて常勤の大学教授となった息子とその母の物語。
現在は東京大学の教授を務められています。

私は最初、『逆行を乗り越える、強く、たくましい母親(女性)』を期待して、この映画を見に行ったのかもしれません。
しかしそこで描かれている母親は、勇気をもってひとつひとつ困難を乗り越えていく姿。息子と一緒に、いや家族と一緒に。

全聾だから不運、全盲だから不幸せ、
なんてことはなく、
世の中にはいろんな人がいて、
それぞれに光があるんだと思いました。

この映画は一人で見に行ったのですが、
夕飯時に食卓でこの映画について6歳の息子に話しました。
自分が見てる世界が当たり前じゃないんだね。
そんな話をしました。
この映画で出会った『生命は』という詩。
こどもたちに伝えたいと思いました。

ちなみにこちらの映画はR-12です。
聞いた話によると、未成年飲酒のシーンがあるから。
いやいや前後を見れば分かるやろ!
この飲酒シーン、父と息子のめちゃくちゃ良いシーンです。

この映画で出会った詩を紹介します

この詩を令子(母)と智が読むシーンが
とても印象的でした。

生命は
自分自身だけで完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない


『さとし わかるか』

9歳で失明してから、18歳で耳が聞こえなくなった福島智氏。彼の日常をサポートする母が「指点字」という独自の会話方を編み出すまでの苦難の日々を、母親である令子さんが初めて綴った感動の子育て、闘病期として話題となる。

『ぼくの命は 言葉とともにある』

全盲ろうという壮絶な人生体験を通して、人間と人間が本当につながり合うとはどういうことか、愛する人や大切な人との信頼関係を築くには何が重要かといったことが、強い説得力を持って語られる、福島氏初の人生論。


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