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教員になるまで

 Twitter(X)でもお知らせしたとおり、私は2024年3月をもって公立高校教員を退職しました。

 今後は、noteとTwitter(X)を利用して、これまでの経験や、学校現場の課題や現状などを発信していくことにします。

 私が書く内容は、読む人が読めば「ああ、これはうちの県の話だな」「この人はこの辺に住んでいたんだな」とわかることなどもあるかと思いますが、すでに退職しておりますので、法令に反しない限りは自由に記載していくものとします。また、仮に私を特定した方がいたとしても、得意になって私の個人情報などをnoteやTwitter(X)などに記載するのはご遠慮ください。厳正に対処します。

 それでは、今回の記事に入ります。

私が高校教員になったわけ

 私は小学生ぐらいの頃から、おぼろげながら教職に興味を持っていましたが、必ずしもそれは具体的な職業意識と結びついていたわけではありませんでした。学校教員の場合は(特に公立の場合は)、教育委員会や学習指導要領などからの縛りも大きいことから、もっと自由できる塾のほうが向いているかも知れないと思っていましたし、実家が商店街の飲食店だったことなどから、経営学や経済学にも興味がありました。

 そういったこともあって、大学の学部は経済学部でしたが、かといって経済学がすごく面白いと思っていたわけでもなく、(いわゆる総合大学だったので)教育学部に転学部しようかとも一時期は思いましたが、教育学部の授業にいくつか潜ったところ、『これもなんか違うなあ』と思って、結局、経済学部に留まりました。

 教員養成系ではない学部において教員免許を取得するためには、卒業単位以外にいわゆる教職系の科目(「教職に関する科目」)が40単位ぐらい必要となりますが、学部1年生のときに教職課程の履修登録をするときに、その負担の多さにおののいて教職履修を辞めようとすら思いました。(と言うぐらい、必ずしも教職を志望していたわけでは無かったということです。)

 よく「教員は社会を知らない」という批判が見受けられます。これは確かに私もそのとおりだと思っていて、小学校→中学校→高校→大学と「学校」を経験した後に、そのまま教職についてしまうと、文字通り「学校以外の環境を知らない」ことになってしまいます(もちろん、学生時代にアルバイトをしたりはしますが)。
 もともと私は「必ずしも教職を志望していたわけでは無かった」ということもあり、また、そうした批判を一定程度合理的だと思っていました(いる)ので、仮に私が教員になるとしても、まずは大学を卒業した後に、一度は教職以外の仕事に就こうと考えていました。なので、大学3年生の秋以降は、いわゆる「民間就活」をしていました。

 ところが、この就職活動が私にとっては非常に苦痛でした。
(詳細は省きますが、過去のツイート(ポスト)が参考になるかと思います。)

本屋に平積みされていた『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成)を読んだ。2011年の就職活動での「事件」を振り返るストーリーで、当時の就活の雰囲気(今も似たような感じか?)がリアルに表現されている。俺自身が大学3~4年の頃に経験した「茶番劇」である就職活動を思い返しながら読んでいた。
「学生はいい会社に入るために嘘八百を並べる。人事だって会社の悪い面は説明せずに嘘に嘘を固めて学生をほいほい引き寄せる。面接をやるにはやるけど人を見極めることなんてできないから、おかしな学生が平然と内定を獲得していく」「嘘をついて、つかれて、大きなとりこぼしを生み出し続けていく」
「将来的に何をやらせるのかは決まっていないけど、向こう数十年にわたって活躍してくれそうな、なんとなく、いい人っぽい雰囲気の人を選ぶ」「日本国民全員で作り上げた、全員が被害者で、全員が加害者になる馬鹿げた儀式です」。
俺がまさに感じてきたままの言葉が並ぶ。
そして最後は、そんな欺瞞に抵抗していたかのように見えた若者が、社員として「成長」する姿が皮肉に(?)描かれていて、『こうやってオトナになっていくんだなあ』と思った。教員でも、採用されて数年するといつの間にか「成長」してしまい、「先生」らしい「先生」になるのと同じである。

https://twitter.com/hellohellock/status/1503041482051452933

 結果的に、学部4年生の4月末には、某東証プライム上場企業A社(仮名)から内定を得ていたものの、いわゆる「内定ブルー」状態で、『この会社に勤めるのかあ…』などと思っていました。

 そんななか、6月から始まったのが教育実習です。教育実習の詳細は、過去記事を参照ください。(全13回)
 https://note.com/hellohellock/n/n18e8732e3c1a

 また、過去のツイート(ポスト)も参考になります。

「どうして教師になろうと思ったか」というのはよく聞かれるけども、俺はもともと教師になりたいという思いはずっとあったんだよね。ただ、本当にそれで良いのかという疑問はずっと自分の中にあって(今でもあって)、学部時代はとりあえず民間で就活しようと思って就活していた。
大卒後にそのまま教師になっちゃう人って、ずっと学校にいるんだよね。「小学校→中学校→高校→大学→学校に就職」って。それは嫌だなあと思って、とりあえずは就職をしようとした。
でも、就職活動ってのは本当に最悪な活動だね。あんなものは二度と経験したくない。まさに「ウソツキ大会」。企業側も学生側も嘘だらけで、「これが社会か…」と思ってうんざりした。本当にうんざりした。
一応は内定が出たけど「内定ブルー」状態で、そんな中、教育実習に行ったら「こんな素晴らしい職業はないなあ」と思った。何と言っても、生徒が若々しすぎる。「人から元気をもらうってのはこういういうことなのか」と初めて実感した。
指導担当の先生も大変素晴らしい先生で、50歳を過ぎていたけど「キラキラ輝く働き方ってのはこういうことなんだなあ」という仕事ぶりの方だった。「こういう働き方がしたいなあ」と思ったのが大きな理由なのかなあ。
あとは、短い教育実習期間の間に、生徒の苦悩というか現実と言うというか、そういうのが色々と見えてきて、高校生の頃の自分が再び蘇ってきたんだよね。時間が経つにつれて、良かった思い出しか思い出さなくなるけど、生徒に触れていたら思い出したくなかったことまで色々思い出してきた。
「そうか、この子らはあの頃の自分と同じ場所に立っているんだ」と思ったら、『少しでも何かできないかなあ』と思ってしまって、「やっぱり教師って魅力的な仕事だなあ」、「いつかは教師になるしかないなあ」と思ったね。「人生の中で短い間だけでもいいから教師をしよう」と思った。

https://twitter.com/hellohellock/status/909411961384747008

 と、いうことで、私は、『人生の中で短い間だけでもいいから教師をしよう』『とりあえず新卒後は就職して、しばらくしてから教師になろう』と思ったのでした。

最初の就職&通信制大学入学

 その後、学部4年生の9月に、もう1社(B社)から内定を得ることに成功した私は、4月に内定をもらっていたA社を蹴って、B社に就職することとしました。このB社での業務などの話は、もしかすると今後するかも知れません(が、その可能性は低いです)。

 3月末、私は経済学部卒業と同時に「高校公民」「高校商業」の免許を得ました。カリキュラム上は「中学社会」を取ることもできましたが、単位がさらに増えることなどの負担から高校免許だけを取得することにしました。
 また、私は高校の公民科教員を目指していた(そして実際に公民科教員になった)のですが、学校現場では「公民」と「地理歴史」をあわせて「社会科」という枠で捉えられることが多いので、地理歴史の免許も必要になるだろうと思っていました。

 B社に就職初日の4月1日、私は、地理歴史の免許を取得するべく、通信制大学(今は無き東洋大学通信教育部)の入学金&授業料を払いに行きました。

 仕事が休みの日には通信制大学のレポートを書いたり、あるいは教員採用試験の勉強をしたり、という社会人生活をしていたことになります。結果的に、2年間かかって、高校地理歴史の免許を取得することができました。

教員採用試験合格

 B社に就職した年度以降、私は教員採用試験を受けるようになりましたが、高校公民は採用の門戸が狭く、なかなか合格することができませんでした。特に、私は常勤・非常勤講師をしながら受けていたわけでもないので、学校関係の情報も入手が難しかったですし、面接では「そのまま今の仕事を続けた方が良いですよ」などと言われました(学校管理職であろう面接官の本心かも知れませんが)。

 公立学校の採用試験は、都道府県・政令市ごとに実施されていますが、日程が被らない限りはどこを受けるのも自由なので、勤務地にこだわらない人は全国を行脚することもまま見られます。

 また、教員採用試験では、他県の教員経験者が優遇されることが多く、地元県でもそういった制度がありましたので、『とりあえず数年、他県で教員をやっても良いかな』と思った私は、地元から新幹線で1~2時間の範囲なら行ってみても良いかと思い、B社3年目には、公立4県と私学をいくつか受けました。

 その結果、Z県の高校公民で合格することができました。まさに三度目の正直です。(私学で採用試験が進んでいるものもありましたが、お断りしました。)

 結局、B社には3年勤めて、縁もゆかりも無いZ県の高校公民科教員としての勤務が始まることになりました。今から10年以上前の話です。

 今回はここまで。


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