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断片

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哲學的斷片(3)

哲學的斷片(3)

 物事を理解するとは如何なることか。それは、對象(ob-jectum)を表現すること(re-presentation)、即ち、對象の再構築(re-constraction)ではなかろうか。

 かく考へた場合、哲學は云ふ迄もなくλόγοςに於ける(或いはλόγοςによる)世界の表現(re-presentation)であるが、斯くなる表現が十全に實現され得るか否かは、甚だ疑問と云はざるを得ない(畢竟

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哲學的斷片(2)

哲學的斷片(2)

 意識性の研究が我々のAufgabeである。我々は「意識がある」或いは「意識を有つ」と謂われる。然るにかゝる事實を認める時、我々は自らが意識を有つことを意識してある。我々は意識を意識する。かゝる状態を、我々は意識性と呼ぶ。

 意識性は、我々が常に既に其處へ齎されてあるところのものである。我々は意識性へと呼び出され、其處へ齎されてある。意識性は、其の我々への現前に於いて、我々に齎されたものであって

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哲學的斷片(0)

哲學的斷片(0)

 我が心宙に漂ふは虚一文字
 巡りめぐりて同處に歸す

 文字を刻みて生命は去り
 茲に殘るは死灰のみ

 されど胸中窃に冀ふ
 爾が心に蘇らん事を

 我の生きるは之事實也
 我茲より出立す

 懐疑と拒絶に苛まれ
 死に逝く我を追ひ求めるも好し

 無窮の空轉に呑み込まれ
 爾は竟に沈黙す

 此処に爾は我に逢ふ
 我等が符牒は無言なり

哲學的斷片(1)

哲學的斷片(1)

自體者の自己同一は、自己表現的自己同一であり、かゝる自己展開は、我々に於ける主體の運動として實現する。

(一)主體は運動的である。其の運動は円環的である。主體とは、円環運動、自己回歸運動である。

(ニ)自己回歸運動とは、自己の「自己から自己へ」の運動である。即ち、それが其處から來たるところへ向かい、それが其處へ向かうところから來たるところのものの、其の運動を自己回歸運動と云う。

(三)自己回

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