鉄人

豆腐メンタルの僕が鳥谷を尊敬する理由

鳥谷がロッテに来る!?

鳥谷が、今期限りで阪神を退団するという報道がされた。いまこれを書いている時点では、これで引退か他球団で続けるかはわからず、まずは少なくとも阪神は今年限りという事が分かっているのみだが、分かってはいても寂しくなってしまうニュースだった。

そんな中、どう考えても眉唾な情報として、鳥谷がロッテに来るかもしれないという報道もなされた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190831-00000027-sph-base

これに関しては、ロッテの松本本部長もやんわりとではあるが即時否定。

https://hochi.news/articles/20190831-OHT1T50201.html

最初のニュースが出た時点でこれは飛ばしだなあと思ったけれども、去年の西岡の戦力外報道、一昨年の村田の戦力外報道の時よりも、「ひょっとして…あるのか?」と一瞬ワクワクしてしまった自分もいた。戦力としてどうこうではない。個人的に、鳥谷という選手が好きだからである。

「鳥谷安定」伝説

このnoteで散々書いている通り、僕はロッテファンであり、野手の中では鈴木大地の事がとても好きだ。とても好き。

そんな僕が他球団で、特に比較的興味がないセリーグでとても尊敬している選手、それが鳥谷敬である。

僕はかつて鈴木大地の成績面について、「スケールの小さい鳥谷」と書いたことがあった。大地と鳥谷は、性格面は違うところがあると思うけど、選手としての本質は似ていると思うのだ。勿論、鳥谷の偉大さに大地はまだ並べていないと思うけれど、なんとなく好みのタイプはわかってもらえると思う。

「鳥谷安定」というネットスラングがある。

鳥谷の成績が、実に長らくの間、2割8分強、10本前後…という成績に落ち着いていたがために生まれた言葉で、その安定感たるや抜群。あまりにこのくらいの値に収束していくために、逆に「3割を超える鳥谷は怖くない、2割5分を切る鳥谷は怖い」という意見が見られるほどだった。

去年までのOPS0.75前後に収束していく大地を「スケールの小さい鳥谷」と評した僕の気持ちもわかっていただけるだろうか。けしてディスっているのではない。褒めているのである。それだけ鳥谷は偉大なのだ。

メンタルの弱い僕が憧れる「無事是名馬」

さて、ツイッターででもnoteでも、鳥谷が好きということはあまり今まで書いてこなかったけれど、僕自身がメンタルの不調と調整を続けてきたこともあまり最近は書いてこなかったように思う。

僕は、社会人になってそう経たないうちから、立派な中年になった今までの間、かなり長い間、ちょっとした精神疾患に悩まされ続けてきた。本当に亀の歩みで、10何年かけて少しずつうまく付き合えるようになってきたと思うけれども、それでも一進一退で、うまく働けない期間もたくさんあったし、いろんな人に迷惑をかけ、助けてもらいながら生きてきた。

そんな僕にとって、毎日毎日、毎年毎年、休まずきちんと安定して働き続ける健全な精神と肉体…というのは、とても遠い目標であり、そして何よりも手に入れたい宝物でも有った。今でもそうだ。今でも、本当に自分がそういう存在に慣れればいいのにと願ってやまない。悟空やルフィになりたいと思うよりも前に、まず、いつでもきちんと安定していられる人になりたい。僕はずっとそう思って生きてきた。

そんな僕にとって、例えばロッテで言うと、怪我を抱えながら何年も努力を積み重ね続けてきた荻野貴司のような選手というのも、まずは一つ、心の支えとして大きい存在ではあった。

https://www.chibanippo.co.jp/sports/lotte/622065

このコラムも泣けて仕方がなかった。自分が抱えている不調も、塞翁が馬として捉えられればいいと思うし、最近はようやくそういう考えもできるようになってきた。荻野や内の活躍は、本当にうれしいし、心の支えになった。

ただ、一方で、やはり心の中で「こうありたいなあ、こうなれたらなあ」と憧れるのは、いつどんな時も、休むことなく前を向き続けられる選手、ロッテならば鈴木大地だった。死球を受けても、逆境にさらされても、いつでもグラウンドに立っている。それは、30本本塁打を打つことよりも、3割5分打って首位打者を取ることよりも、僕には価値があることに思えた。

そして、いうまでもなく、鳥谷である。

鳥谷敬という男。NPB歴代2位の連続試合出場記録保持者。それも、基本的にはショートという激務のポジションを守ってだ。

凄い。これは本当に凄い。

勿論、持って生まれた身体の強さはあるのだと思う。日々のケアも素晴らしいのだろう。でも、怪我と無縁なわけでもない。肋骨、背骨や、ある時は鼻骨まで折っても出場を続けた。それは、ほかでもない、心がとても強いのだろうと思う。

それでいて、先述の「鳥谷安定」という言葉を生み出すほどに、安定した成績をたたき出し続けたのだ。これが鉄人でなくてなんなのか。

いつもうまくいかない自分の体調に悩まされ続け、強くありたいと願い続けた僕にとって、いつでもグラウンドでその姿を見せ続けてきた鳥谷敬という男は、常識はずれのスーパーヒーローそのものだ。僕はそれが一番難しいことだと思っているから。

納得して去ってほしい

そんな鳥谷の「少なくとも阪神は退団」という報道をみて心から思うことは、とにかく本人が納得して現役を引退してほしいという事。僕は阪神ファンではないので、勝手なことを言っているかもしれないが、「阪神の選手として引退してほしい」というファンの願いもわかるけれど、現役を引退するときはとにかく自身が納得する形で引退してほしい。

本人がやりたいのであれば、どこでもいいから続けてほしい。どんな形でもいいから。

そもそも、鳥谷がどんなことがあってもグラウンドに立ち続けた理由は、「その日しか来られないファンもいるから」という金本の言葉に感銘を受けたかららしい。勿論、監督から起用されるだけに足る信頼もあったのだと思うけれども、それでも、無理して出続けることへの非難もあっただろうし、そもそも鼻骨骨折までしていたら普通は休みたいであろう中、ファンを思って出場を続けたのだ。

最後の時くらい、自分の思うように、自分の好きなタイミングまで、やってほしい。勿論、本人が納得しているのならば、華々しく引退をしても良い。とにかく自分で納得がいく選択をして欲しい。

どんな最後になろうとも、鳥谷敬という鉄人が、豆腐メンタルを持った僕にとって、心から憧れる存在であることは今も昔も変わらない。もうとっくに中年に差し掛かった自分だけど、まだまだこれからでも鳥谷のような鉄人になることも出来るよね…と、自分に言い聞かせてこれからも日々を続けていくのである。

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