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おじいちゃんたちは遺したい

 大阪は中之島美術館で開催されている、

   平行人生
     新宮晋(しんぐう すすむ)
          +レンゾ・ピアノ展

 に行ってきた。

 新宮さんは1970年の大阪万博で、
 池に浮かぶオブジェ作ってた人。
 「風が目に見えるような造形」が作品の主なテーマ。

 レンゾ・ピアノさんはパリにある、
 ポンピドゥーセンター作った人。
 「空気を感じるオブジェ作って」
 って新宮さんに声掛けて以来時々コラボしてる。

 9月14日まで。
 あと5日しかないので、
 月曜日は休みなので実質4日なので、
 明日10日は最後の日曜日なので、

 建築好きな人なら行って損はないと思います。
 当日券2400円も高くはない。
  (中学生以下を無料にするために、
   高めに設定されている様子だ。)

 と言っても入場後30分の間、
 私は展示内容のコンセプトを充分理解できておらず、
 「へぇー」「ふふーん」
 「まぁすごいけど展示作品数の割に観覧料高くないか?」
 と余裕ぶっこいていたんだが、

 壁面にチラチラと、
 風に吹かれた紙が舞い散る映像が流れてんなぁと思ったら、
 適度な間を空けて一つの壁面に集まって、
 一つの建築物が出来るまでの流れを丸々観せてくれる。

 「蜘蛛の巣の構造を生かした建物」とか、
 「箱の中にロウソクが一本灯ってる感じ」とか、
 「高低差もあるこの島のこの土地にどんなの建てよう」とか、

 最初期のイメージイラストから、
 一日のうちの太陽が当たる方向と角度、
 イメージを実現するためにどんな材料を使うか、
 どんな梁の形にしてどう留めるか、
 といった構想がまとまって、
 デザインが固まっていく過程を、
 アニメーション化してくれて、

 最終的に完成した建物の映像には、
 海辺の波の音だったり群れを成して飛ぶ鳥だったり、
 太鼓のリズムだったり観客の歓声だったり、
 その建物に日頃満ちあふれる音や吹き付ける風、
 コラボした新宮さんの作品が動く様子を、
 重ねてくれるというね。
 (注:コラボじゃない建物もあります。)

 一つの壁につき建物二つで、
 壁が6面あったから、
 都合12の建物が出来るまでを、
 じっくり眺めていられるというね。

 それ以前にあちこちにぶら下がっている、
 新宮さんの作品の、
 動きが予測できなくて眺めていて飽きない。

 みっちり1時間半は滞在したよ。
 そしたら割としっかり冷え切ったから、
 上着持ってきておいて良かったよ。

 おそらくは秘蔵の資料も含まれているだろうに、
 惜しげもなく公開してくれるのは、
 中学生以下を無料にしている心と同じ。

 新宮さんもピアノさんも同い年の今年86歳だ。
 今や次世代に遺したいんだ。
 さもあろう。

 ピアノおじいちゃんなんかこれまでに建設した、
 102もの建築物群を並べまくった、
 理想の島の模型まで作成している。
 
 こんな事をやっちまう奴は、
 まさしくアホだが嫌いじゃないぜ。
    (↑このアホは関西風の愛情を込めたものです。)


 同時に私は、
 プログラマー上がりの点訳ボランティア員として、
 「これを如何にしたら説明できるか」を、
 美術館を訪れるたび一応は考えながら眺めています。

 限り無く不可能に思われそうだが、
 不可能と決め込んだらそこで話は終わるんでね。

 「諦めたらそこで試合終了」(@スラムダンク)っぽいけど、
 微妙にニュアンスは異なりますので、
 その風合いを感じ取って頂きたい。

以上
ここまでを読んで下さり有難うございます。

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!