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ピェンローとはほぼこれだ!

 綾野つづみさんの下記記事に触発された。↓

 料理が取り立てて好きでも得意でもなく
 エッセイ全体の面白さ楽しさは、
 本家・綾野さんの筆運びに敵わないのだが、

 ピェンローに関しては申し述べたき義がある。
 
(文字数:約1400文字)


 白菜を喰らう鍋なのだ。

 冬場が旬の丸々とよく太った、
 美味そうな白菜が入手できた場合にのみ、
 厳かに堪能するがよろしい!

 むしろ美味そうな白菜が手に入らなかった場合には、
 わざわざ作らなくて良いとすら断言したい。
 湯豆腐なり水炊きなり、
 各種お好みの鍋の素を使えば良いのだ。

 我が家は二人暮らしであるが、
 ピェンローには良く肥えた白菜を、
 少なくとも四分の一以上、
 可能であれば半玉は使う。

 ひと晩水に漬けて戻した干し椎茸と、
 もちろんその戻し汁と、
 白菜の芯に近い硬いところを、
 まず三十分から1時間以上、
 硬かったところがクッタクタになるまで煮込むのだ。

 その後おもむろに、
 白菜の葉先に近い柔らかい所と、
 豚肉と春雨を入れ、
 ごま油を回しかけ更に煮込む。

 お分かりだろうか?

 つまりピェンローとは、
 椎茸と白菜の旨みが、
 これでもか! 
 ってほど溶け込んだスープで、
 豚肉と春雨を食す鍋なんだよ。

 もちろんそこまでクッタクタになりゃあ白菜も旨い。

 言わずもがなだが椎茸嫌いには地獄のメニューだ。
 私は元来椎茸が苦手であったが、
 配偶者が熱望するが故に作り続けた結果、
 ピェンロー以外の椎茸も旨く感じるようになったが、
 どうしても椎茸は無理な人にまでオススメしない。

 手軽で簡単、
 といった評価はあながち間違ってもいない。
 工程はほぼ切って刻んで煮込むだけだからな。

 ただし!
 煮込む間の電力に燃料はもちろん消費する。

 何よりお宅最寄りのスーパーの品揃えによっては、
 豚肉よりも高い春雨や椎茸を、
 わざわざ取り寄せも検討して購入しなくてはならない。

 おっと忘れちゃいけない塩も重要だ。
 調味は各々が取り皿に、
 スープと塩と一味を混ぜて、
 それぞれの塩梅で調整するのみ。

 塩が旨くなきゃ台無しだ。
 食卓用の精製塩などもってのほか。
 ちなみに我が家はアジノモトフーズ、
 「瀬戸のほんじお」を使用している。

 我が家とて定番メニューにはしているが、
 普段はもちろん鍋の素だ。

 12月と1月と2月の月1回、
 クリスマスとか正月とか配偶者誕生日とかの、
 イベント気分で食する、
 言わば「ごちそう鍋」なんだよ。
 
 そもそも小説家である以前に舞台美術家として名を馳せ、
 世界中を取材した中で見聞きした光景を
 彼にしか描けないであろう克明繊細な描写込みで記した、
 『河童が覗いたシリーズ』が既に人気を博していたからこそ、
 この鍋が世に広まったのであり、

 その中でもそれこそピェンローが表紙になっている、
 『カッパのスケッチブック』本文においては、
 この鍋が如何に表現されていたか。

 「友人たちが大勢で押し寄せた際に振る舞う鍋」だ。

 しかも奥さんの手を煩わせず、
 気の合う仲間たちと飲みながら、
 語り合っている間に出来る。
 (常日頃から美味い白菜が常備される、
  農家との人脈に生活環境があったと思われるな。)

 確かに美味い鍋だが食事にも、
 ある程度のTPOは存在する。

 そこを弁えておかなくては、
 時に食材に対して残念な仕上がりになる。
 心得ておくように。

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