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日常を保ってくれている繊細さ(映画『ウイスキー』)

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 ウルグアイ、
 ってどこにあるの(汗)。
 (→ 南米ブラジルの南端隣)

(文字数:約800文字)


  『ウイスキー』
    2004年 ウルグアイ
    フアン・パブロ・レベージャ監督
    アンドレス・パソス、ミレージャ・パスクアル

 なるべく自分からは遠い世界や、
 それまでは知らなかった土地の話に、
 触れるように耳を傾けるように、
 心がけているんだが、

 それで観に行った単館系の映画なんだが、

 それまでの経緯も、
 登場人物それぞれの人生も、
 彼らが何を思っているのかも、
 はっきりとは語られていない。

 それなのに何か分かる気がする。


 靴下工場の工場長(男性)と、
 長年勤めてきた現場主任(女性)が、
 普段の仕事の延長のように、
 無表情でその週末の予定について語る。

 数十年振りに会える事になった、
 工場長の弟の前で、
 妻のふりをしてほしいというのだ。

 淡々と迎えに行く日時などを取り決め、
 いつものように挨拶して退勤して、

 帰りに美容院に寄ってヘアセットしてもらう、
 おばちゃんが可愛い。

 姿見の前で妻っぽい装いを確かめている、
 おばちゃんがとにかく可愛い。

 妻のふり家族のふり、
 のはずが思いの外、
 それぞれに初めて見るような笑顔で、
 過ごせているぞとか、

 弟と二人で仲良く話している様子に、
 複雑な表情になっている、
 おっちゃんがこれまた可愛い。

 記念写真撮ろうって、
 掛け声の「ウイスキー」で笑顔を作る、
 おっちゃんおばちゃんの3人が、
 なんとも愛おしい。


 結果それぞれにどういった思いを抱き、
 どうなってしまったかについては、
 はっきりしたただ一つの事実しか、
 語られていない。

 それなのにそりゃあなんか分かる気がする。

 靴下を成形する機械だけが、
 前営業日と変わる事なく動き続ける。

 うん。だろうなぁ。

 

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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