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深煎り入学式永久凍土【毎週ショートショートnote】

 人類史に過去の叡智や文明所産など、脳の片隅に埋め込んだ半導体チップに、ディープロースト、通称「深煎り」させておいて、そこから新たな技術に哲学を模索する事が、常識的な必須項目となった未来の入学式である。
 小学校は永久凍土に建設され、拍手で迎えられる子どもたちは、体温を下げるための冷蔵・冷凍機能を保持した制服を着ている。
 前時代においてROM焼きが基盤の発熱を伴ったように、「深煎り」においても脳の沸騰レベルの発熱を伴い、人類の平熱も急上昇、もちろん親世代も冷凍服を着込んでおり、着ていない者は見下される以前に凍死していなくなるので、実質何の問題も無い。
 ところで永久凍土で暮らすようになった子どもたちは当然永久に芽が出ない。
 と言うよりも煎られた時点で発芽能力など失っている。すなわち大人も含めて既にゾンビであり、子どもたちは遺伝子技術で適宜個体化させられている。
 人類は壮大な馬鹿に成り下がったようだ。


(403文字)

 Deep Roast(かなりの侮辱)も加えてみました。
     ↑
 ヤケドを負うまでがRoastだが、
 誰が負うのか、という話でもある。

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