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鳴かぬなら 生きよそのまま ホトトギス

 良い句だよね。


逆メンタル!

  姉が大学時代は茶道部だったとは言え
  (こんなんだから家が貧乏っつっても信用されねぇ。
   すまない。余談かつ愚痴だ)、

  私自身は一切関らず、
  曜変天目茶碗の美しさにだけは目を奪われたものの、
  作法も仕来りも知ったこっちゃねぇ、
  ド庶民の分際ではあるんだが、

  織田有楽斎(うらくさい)

  大名茶人であり武将としては織田長益、の展覧会は、
  予告があった時点で面白そうだと、
  前売りチケットまで購入したんだ。

  京阪電車を三条駅でおり、
  あれ? 博物館への道案内がないぞ。
  そうだよな。博物館って七条だよな。
  どうして私HPまで見たのに、
  三条と思い込んだんだろう。

  と七条の京都国立博物館に赴いたら、
  なんだか別の展示が開催されていて、
  申し訳無いが窓口の方に訊ねたところ、
  それは三条の京都文化博物館だと。

  折悪しくその日の朝は、
  このところストレスが掛かり通しでメンタル絶不調だったもので、

  博物館にもスムーズに行けない私はクズ確定だダメ人間だ生きてちゃいけない親が言ってた通り生まれて来ちゃ行けなかった死ぬべきだなるべく早く死ななくてはこの世と配偶者の迷惑にしかならない……

  とブツブツ呟き続ける発症状態で、
  京都文化博物館までどうにかたどり着いた。

    注意:精神病患者は発症していなければ普通の人です。
       発症状態がすなわち「風邪のようなもの」。
       薬を飲んで栄養摂って休むべきなんです。
       しかし精神症状なもので本人は、
       「まともに動けなければクズだ」
       と思い込んでしまっていてわりと危険。

  そんな状態で鑑賞したにしては、
  そんな状態を翻し乗り越えるほど、
  めっちゃ面白かったよ♪

  私が戦国時代の小説を書くなら、
  主人公は貴様(かつては敬称であった意味合いを込めて)か、
  貴様の筆頭家老だな。


何が面白いかってその人生

  織田信長の弟、ってところは、
  側室含めて十八人兄弟で、
  信長より十三歳下って言うから、
  現代の兄弟関係とは異なると思うけれども、

  超ざっくりまとめただけでも、

  本能寺の変に伴う、
  主君織田信忠(信長の長男)が自刃した戦から、
  諸説あるがしっかり生き延びて、
  その後は豊臣秀吉に仕えつつ、
  (千利休とは適度に距離を置き)、
  関ヶ原では徳川家康に味方し、
  冬の陣で豊臣家との和議を結んだ後、
  夏の陣の直前に京都に隠棲した。

  ……スズキですか?

  つまり貴様は、
  何もかもを把握し尽くせた上で動いただろう!

  織田家の財産は表向き、
  三法師(信長の嫡孫)の後見だった秀吉が継いだんだが、
  人脈とか茶の湯の心得といった、
  裏側の遺産は全て貴様が持って行ったな!

  いいねぇ!!!

  正直嫌いじゃないよ私は貴様みたいな人間が!
  むしろ大好きだ!
  血湧き肉躍ると言っても差し支えがないよ!

  生き延びるという事はそれは大した偉業なんだ。
  どうも我が国って奴は伝統を標榜して、
  世のため人のために喜んで命を棄てさせようとするんだが。
  
  

♪織田さん本職ティーパーティー  

  そして錚々たる顔ぶれとの多岐に渡る交友関係。
  これでもかと見せつけられる、
  書簡の数々にクラクラ来ちゃう。

  墨で書かれた崩し字だし九割以上読めないんだけどさ。
  茶室用の掛け軸として、
  高価な裂(きれ)ふんだんに使って表装してあるって、
  何者だ貴様!

  どこぞの茶会の招待状とか、
  高貴なお方からの宣下文とか、
  そんなんはまだ話が分かる。

  「お見舞いありがとう。おかげで良くなったよ」とか、
  「お寺に持っていくお土産のお茶何が良いかな」とか、
  「息子も同席させてくれて本当に嬉しい。楽しみ」とか、
  「今年のお茶は出来が悪いから自宅用にでもして」とか、
  ガチで日常茶飯な手紙をだな。

  そんなんでも良いからぜひ見たい!
  茶室に相応しい垂涎のお宝!
  と後世は江戸時代の茶人連中に思わせ、
  掛け軸としての意匠を競わせる人物だったって事で、

  この時点で「主君を裏切った」的な悪評は、
  外側からの遠吠えに過ぎない。

  ……ってだから信長も、
  織田の遺産任せて持って行かせたよね。きっとね。


金庫でコーヒー

  私はなるべく解説音声は聴かない派なのですが、
  声優の鳥海浩輔さんが担当されていて、
  彼目当てで来場する方も結構いるそうです。

  三条の京都文化博物館で、6月25日まで。

  前売りチケットで常設展も観る事が出来たんだが、
  いかんせん迷ったせいで12時頃に来場したもので、
  14時近くにもなってブドウ糖も消費して腹減った。

  京都文化博物館は、
  旧日本銀行京都支店を保存した資料館でもあり、
  金庫室は「前田珈琲」という喫茶店になっておりまして、

  クロワッサンサンドと、
  「龍之介」って名付けられたコーヒーを堪能する。

  腹減りまくってた上に、
  元々私はクロワッサン大好きなもので、
  死ぬべきクズ(発症の名残)には果報が過ぎて、
  有り難みを噛み締めるほどにサクサクで美味い。

  龍之介もひと口飲んで「うま」と、
  呟いたくらいには旨い。
  こちとらコーヒーの違いに良し悪しなど、
  知っちゃこっちゃねぇド庶民だが、
  舌の反応に身分差はねぇよな。

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!