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ミソジニー考

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivで公開してきた小説以外の文章を、
 noteに移して行きます。

(文字数:約1700文字)


 三十路女性の自虐ネタかな?

 と、
 いかにもおっさんがやりそうな、
 連想をしてスルーしそうになったけど、

 実際本当にそう思い込んで苦笑するだけで
 まともに読まないし聞かないおっさん多そうだから、
 用語自体が残念ながら、
 日本に浸透させるには不向きかなって思った。

 女性蔑視、ないしは、女性敵視、
 を意味する英語由来の社会学用語ですって。
 私もつい先日知ったけど。

 mis(嫌悪)とgene(女性)を、
 足し合わせたって由来も、
 受験英語で止まっている、
 私も含む一般庶民にはピンと来にくいし、

 「ミソジニーをやめましょう」と主張するよりは、
 fil(好感)とgene(女性)を足し合わせた、
 「フィロジニーを高めましょう」みたいに、
 いっそ言っといた方が、
 フィロソフィーっぽくてカッコ良さげって、
 ごまかされないかな。

 それはそれとして私にこの用語が引っ掛かったのは、
 私の「自己肯定感皆無」の成立過程が、
 要はミソジニーだったのではと思ったからです。


1、父のミソジニー

 女に生まれた時点で失敗作、
 と父に父方の親戚から言われておりました。

 女に生まれても顔が良ければ価値があるが、
 顔が悪くても性格が良ければ価値があるが、
 性格が悪くても
 器用だったり気遣いが出来れば価値があるが、

 お前はその全てにおいて平均以下だ。
 残念ながらこの世に何の価値も無い、
 とまぁケチョンケチョン。

 顔はともかく性格や器用さに気遣いは、
 何で物心付いた時点で分かるねん
 (ってかお前が育てろや)、
 とツッコミたくもなりますが、

 その根拠は驚くべき事に、
 父親の自分に似てしまったからだと。
 もはや良くなる見込みが望めないと。

 大元の貴様はどないやねんと問えば、
 自分は男に生まれたのだから、
 その時点で女よりも価値があると、
 こう来るわけですよ。
 どっとはらいですよ。

2、母のミソジニー

 一方で母は今振り返れば、
 どんな文脈にせよ、
 笑顔にせよ怒りを滲ませてにせよ、
 わりと一貫して繰り返していたな、
 と思い出す言葉があって、

 曰く、
 「女は家の奴隷だからー」

 生まれた家の奴隷を終えたら、
 嫁いだ家の奴隷になるだけだからー、

 口ではどんな綺麗事を言ったって、
 本音ではどこに行っても、
 誰もが絶対にそう思っているんだからー、

 不満なんか思わず、
 思ったって口にせず、
 誉められる事も期待せず、
 いつも笑顔で家族のために尽くすのが、
 ごく当たり前の普通の女の子よ♪

 そうじゃない娘は異常。
 異常な娘を育ててしまってごめんなさいと、
 一時期は母の方が精神を病むほどに
 (過食症。侮れない。身近に見ると怖い)
 錯乱していた。

3、故郷のミソジニー

 両親とも同郷の出身で、
 しかも郷里には、
 集落の中でも特に役に立たない娘は、
 残念ながら涙を飲んで売り払い、
 金に変えるしかない、

 って考えが本当に戦前くらいまでは、
 割りとまかり通っていたからね。

 対象となったら逆らえない空気だったからね。

4、ミソジニー界のサラブレッド

 そうした郷里に生まれ育った両親から、
 強固な思い込みによって育てられた私が、
 ミソジニーの権化のごとく、
 金剛結晶化してしまうのは、
 無理からぬ話ではないですか?

 つまり私は、
 ここでまた不穏なワードを出してしまうけれども、
 「死にたい」わけでも、
 「自分を殺したい」わけでもなく、

 「自分は無価値で死を望むべき存在だと、
  自覚している事が人として正しい」

 と頑固に思い込まされていたわけで。

 ……えらいこと厄介やな。

 主治医が「うん。あんた病気病気。
 もう間違い無いから自信持って」
 って言うてくれてた感覚が、
 今ここにきて共有できたわ。

 するとだから今後は、
 「自分は死ぬべき存在と思い込まされていたけど、
  それは嘘だ」
 とクセが付くまで日常的に思い続けていれば、
 少なくとも現状よりは改善に向かうだろう。
 うん。

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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