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いいじゃないの幸せならば(映画『やわらかい手』)

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 彼女に「最初の石」を投げる者がいたら、
 そいつは生きるに値しない。

 (※「罪無き者から石を投げよ」、
  というキリストのセリフを元にした、
  フランス版ミュージカル
  『ノートルダム・ド・パリ』中で、
  主人公カジモドが歌う歌詞の一部。)

(文字数:約1000文字)


  『やわらかい手』
    2007年 ドイツ、フランス、ベルギー
        ルクセンブルク、イギリス
    サム・ガルバルスキ監督
    マリアンヌ・フェイスフル、
    ミキ・マイノロヴィッチ

  何せマリアンヌ・フェイスフルだ。
  何はともあれマリアンヌ・フェイスフルだ。

  歳を取ろうとどっしり太ろうと、
  マリアンヌ・フェイスフルは美しい!

  私にとって「美しい」とは、
  人生の厚みと、
  それにより醸し出される、
  各人独特の味わいを指す。


  話そのものは猥雑だ。
  おばちゃんが特殊風俗業の、
  トップ技術者に躍り出る話だ。

  オーナーの男性も癖があって、
  決して上品とは言えない。
  しかし蠱惑的だ。

  ちなみに原題の『Irina Palm』は、
  彼女の源氏名。
  Palmが「手のひら」ってのが効いてるよね。

  とても耐えられないと思っていた業務が、
  やがて雑誌を見ながらの流れ作業になり
  (そのシーンめちゃウケる)、

  そんなんでも人気はうなぎ上りで、
  仕事を奪う形になった仲間からは憎まれ、

  長年付き合ってきた友人達からも、
  仕事を始めた途端、
  仕事内容を知られた途端に軽蔑されるが、

  何のどういったものであれ、
  独自の才能を見出され、
  買ってもらえるようにもなった人間は、

  それはたくましくなる。

  数十年間飲み込み続けて来た文句だって、
  面と向かって浴びせ切れちゃうの♪
  ざまぁ見さらせだ常識人どもが。

  誰がどう言おうと私は、
  ラストシーンの彼女に向けて、
  心からの惜しみない拍手を送る。

  それも彼女の手腕に敬意を払って、
  さざなみを打つような美しい音色を心がける。

  いいじゃないの幸せならば。

  そして現実に人の幸せなど、
  外側からは推し量り切れるものか。

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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