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パリ軟禁日記 46日目 鈴蘭のことを思いながら午睡にふける

2020/5/1(金)
 大切な人に鈴蘭をおひとついかがですか?

 本日はメーデー。フランスでは労働祭(Fête du travail)と呼ばれ、労働者の権利を守る大切な祝日だった。この日は近しい人に鈴蘭を贈る日としても知られ、昨年であれば、街中で一般の人までが鈴蘭を売り歩いていた。

 今年のメーデーは様子が変わり、静かなものだった。もともと営業する店が少ない日ではあるけれども、デモもない今年は本当に何もない日だった。オンラインで集会をしていたそうだけれども…。デモが持つ熱量には代えがたい。

 僕もフランスの賃金労働者の一人として、今日はたっぷりと休んだ。朝10時まで寝たし、ゆっくり本も読めた。太陽の光が窓から差し込むソファーの上で昼寝もした。春だからだろうか。最近とみに眠たい。

 春眠暁を覚えず。むにゃ。

 夕方パンを買いに外に出た。去年は人で賑わっていた商店街は閑散としていて、鈴蘭を売っている人もいなかった。

 昨日から、外出制限緩和の度合いを決めるための国内地域のゾーン分けが発表されている。暫定的なものではあるけれども、パリは真っ赤(=制限継続)だ。3月の外出禁止令が出るタイミングで、地方にセカンドハウスがあるお金持ちたちが一斉にパリから脱出した、というニュースを読んだ。彼らが緩和が進むグリーンゾーンにいるとしたら、優雅なテレワークになるのだろう。持つものと持たざるもの、日々の環境に差が生まれるのは今に始まったことではないけれども、羨ましくないと言えばウソになるかな…。
つらいぜ、賃金労働者。

 5月から仕事で任される範囲が増える。その大変さは来週から知ることになるだろう。そう、考えるのは来週からでいい。今日は好きなフレンチレストランの持ち帰りの予約をして気分が上々だ。明日は予約でいっぱいだったので、明後日のお昼に取りに行く約束をした。

 あと2回寝れば日曜日。
 おっと、明日も昼寝をしない保障はどこにもないな。
 3回のつもりでいよう。

 日曜日が待ち遠しい!
 フランソワ・トリュフォーの映画にそういう作品があった。

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