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教材制作の舞台裏 ~英語課編~

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英語の学習教材の制作にまつわる話を書いています。
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記事一覧

学参の紙面デザイン

デザインとはこんにちは。 今回は紙面デザインの話です。 本づくりにおいて「デザイン」と言うとき,表紙カバーのデザインのことを指すと思っていましたが,必ずしもそうではありません。 本のメイン部分である本文にも,デザインが必要になります。 学参の原稿はワードで作成しますが,それをそのまま印刷して本にするわけではありません。 多くの場合は,ワード原稿を組版作業者がデザインフォーマットを使ってインデザインで組みます。 そのため,組むためのフォーマット(デザインフォーマット)

iPadでゲラに朱入れ

デジタル校正(PDF校正)のデメリット 昨今,ますますデジタル校正が主流となってきています。 従来は,PDF上での校正はほとんどの場合でメリットよりもデメリットが多く,そのため校正を発注する側からもよほどの事情がない限りは,現物での校正でお願いしていました。 現物のゲラで校正をお願いすることについては現在も変わりないのですが,デジタル校正(PDF校正)のデメリットとしては以下が挙げられます。 ① ページ間参照がしづらい 校正においては,内容参照だけでなく体裁や表記も含め

校正の観点

こんにちは。 今日は校正についてお話します。 私たち編集者は,中身をチェックして整理するプロですので,前提として執筆も校正も両方できるスキルを持っていなければなりません。 執筆者が書いた原稿をチェックし,修正する必要があれば自ら直したり,時間がなければその場でリライトすることもあります。 校正も同様で,校正者が送ってくれる校正結果に加えて,担当編集者自身も校正をします。 校正は「観点別に何周もする」ことが基本です。 このようにすることで,効率的に,かつミスを漏れなく

修正テープ

今回は,前回の記事「校正ゲラと赤ペン」でちらっと紹介した修正テープのお話です。 使える修正テープ正ゲラには基本的にフリクションを使わず,発色の良い(紙面上の他の色に埋もれにくい)赤ペンを使うため,修正テープは必需品です。 使える修正テープは以下の2点で判断します。 ① 1ミリ以下の細い線を消せるか。 ② テープの上からきれいに書き直せるか。 ②のほうは,どの修正テープもだいたいきれいに書けるかと思うのですが,①のほうは商品によって差が結構あります。 「細い線を消す

校正ゲラと赤ペン

こんにちは。 今日は校正ゲラと赤ペンのお話です。 これから編集者や校正者になろうと考えている方の参考になれば幸いです。 ※以下はあくまでこの記事を書いた編集者の意見・考えです。 校正ゲラ校正ゲラを出力するとき,基本的に実寸で出します。 縮小はしません。 校正では細かな部分のサイズをチェックすることも観点に含まれているためです。 また,文字の級数や行送りなどを確認する際に,級数表や歯送り表をゲラにあててチェックします。 そのときに実寸でないと,正確なチェックができません。

英語編集者のPC設定 ~読点かカンマか~

日本語でも読点はカンマに設定 日本語の「テン」は読点「、」。 英語の「テン」はカンマ「,」です。 でも英語教材(に限らず横書きの教材)では,日本語でも読点「、」ではなくカンマ「,」が使われていることが多いですよね。 これについては,どちらが正しいということもないみたいです。 ちなみに光村図書はHPで以下のように記載しています。 いずれにせよ,横書き(横組み)の書籍では読点の代わりにカンマが使われていることが多いです。 英語の教材でも,私たちが作っている書籍の99%

ネイティブチェック

ネイティブチェックの重要性 英語教材を作るにあたり,避けては通れない工程のひとつ。 それが,ネイティブチェックです。 ネイティブチェックとは文字通り,ネイティブの方に英文をチェックしてもらう作業です。 原稿は基本的に日本人の執筆者が書いていますので,いくら英語が堪能な執筆者とはいえ,実際にそれが現代英語において通用する"生きた英語"なのかどうかまでは,細部までチェックすることが難しい場合があります。 特に長文やリスニング会話文になると,より自然な英語が求められます。

中学の英語教材は実に緻密に作られている

私たちが作る英語の教材は,小学生向け,中学生向け,高校生向け,社会人向けなど様々です。 中でもいちばん制作に気を使うのは,中学生向けの教材。 一概には言えませんが,中学の英語教材は本当に手間ひまがかかっています。 なぜか。 それは… 単語の未習語・既習語という概念です。 教材は原則として既習語で作る 中学の教科書では,各ページの本文で初登場する語を新出語として学習しますよね。(単語テストで出題されるやつです) この新出語は学習した時点で既習語として扱われ,そこで初