(株)一校舎|学習教材の編集制作会社

1979年創業。学習教材及び資格・一般書を手掛ける編集制作会社 一校舎の公式noteで…

(株)一校舎|学習教材の編集制作会社

1979年創業。学習教材及び資格・一般書を手掛ける編集制作会社 一校舎の公式noteです。教材編集に関すること、教科に関することなど書いていきたいと思います。 https://www.ikkosha.com/

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一校舎はこんな会社です

あらためて自己紹介となりますが、私たち(株)一校舎は学参(学習参考書)を扱う編プロ(編集プロダクション)です。今回は私たちがどんな仕事をしているのかをお話しします。 一校舎が制作している「学参」とは学習参考書と言っても様々ですが、ここでは教材・参考書・テスト・模試・プリント、そのほか付属物の全てを対象に「学参」と呼びます。 一校舎の制作実績 弊社の制作物は、流通形態によって大きく二つに分けられます。 【学校直販・塾用教材】 これらは、学校や塾で使用されるもので、市販

    • 学参の紙面デザイン

      デザインとはこんにちは。 今回は紙面デザインの話です。 本づくりにおいて「デザイン」と言うとき,表紙カバーのデザインのことを指すと思っていましたが,必ずしもそうではありません。 本のメイン部分である本文にも,デザインが必要になります。 学参の原稿はワードで作成しますが,それをそのまま印刷して本にするわけではありません。 多くの場合は,ワード原稿を組版作業者がデザインフォーマットを使ってインデザインで組みます。 そのため,組むためのフォーマット(デザインフォーマット)

      • iPadでゲラに朱入れ

        デジタル校正(PDF校正)のデメリット 昨今,ますますデジタル校正が主流となってきています。 従来は,PDF上での校正はほとんどの場合でメリットよりもデメリットが多く,そのため校正を発注する側からもよほどの事情がない限りは,現物での校正でお願いしていました。 現物のゲラで校正をお願いすることについては現在も変わりないのですが,デジタル校正(PDF校正)のデメリットとしては以下が挙げられます。 ① ページ間参照がしづらい 校正においては,内容参照だけでなく体裁や表記も含め

        • 校正の観点

          こんにちは。 今日は校正についてお話します。 私たち編集者は,中身をチェックして整理するプロですので,前提として執筆も校正も両方できるスキルを持っていなければなりません。 執筆者が書いた原稿をチェックし,修正する必要があれば自ら直したり,時間がなければその場でリライトすることもあります。 校正も同様で,校正者が送ってくれる校正結果に加えて,担当編集者自身も校正をします。 校正は「観点別に何周もする」ことが基本です。 このようにすることで,効率的に,かつミスを漏れなく

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        • 教材制作の舞台裏 ~英語課編~
          8本
        • 国語にまつわる、ためになりたい話
          3本
        • 教材制作の舞台裏 ~国語課編~
          2本
        • 身近な英語を、高校英語で解説。
          2本

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          修正テープ

          今回は,前回の記事「校正ゲラと赤ペン」でちらっと紹介した修正テープのお話です。 使える修正テープ正ゲラには基本的にフリクションを使わず,発色の良い(紙面上の他の色に埋もれにくい)赤ペンを使うため,修正テープは必需品です。 使える修正テープは以下の2点で判断します。 ① 1ミリ以下の細い線を消せるか。 ② テープの上からきれいに書き直せるか。 ②のほうは,どの修正テープもだいたいきれいに書けるかと思うのですが,①のほうは商品によって差が結構あります。 「細い線を消す

          校正ゲラと赤ペン

          こんにちは。 今日は校正ゲラと赤ペンのお話です。 これから編集者や校正者になろうと考えている方の参考になれば幸いです。 ※以下はあくまでこの記事を書いた編集者の意見・考えです。 校正ゲラ校正ゲラを出力するとき,基本的に実寸で出します。 縮小はしません。 校正では細かな部分のサイズをチェックすることも観点に含まれているためです。 また,文字の級数や行送りなどを確認する際に,級数表や歯送り表をゲラにあててチェックします。 そのときに実寸でないと,正確なチェックができません。

          会社の公式noteになります!!

          みなさんこんにちは。1アカウントを数名で回している教材編集者たちです。 3月に編集部の有志だけでひっそり始めたこのnoteですが、とりあえずこの1ヵ月半ほどの活動実績を持って会社の上の方々に相談したところ、 あーがんばっているねー というお声とともに、 ・会社の公式noteとして社名を入れる ・会社のHPにリンクを貼る という当初の目的を果たすことができました! 教材編集者ならではの視点で、各教科に関することや教材編集にまつわることをお伝えしていくことで、会社、教材編

          会社の公式noteになります!!

          マニュアル人間のことはよく思わなくても、マニュアルのことは悪く思わないでください

          マニュアル人間、マニュアル通りという表現は、あまりいい意味で使われていないイメージです。 紋切型で融通が利かない 決められたことしかできず、とっさの対応ができない ハウツー本(サイト)に書いてある通りの言動 そういった反フレキシブルなワードやアクションが連想されます。 しかし、フレキシブルな思考で今一度考え直してほしいのです。そして、こう言いたいのです。 マニュアル人間を量産できるマニュアルって、実はすごくない?  ここで、ほーん、なるほど、と思っていただいた方は

          マニュアル人間のことはよく思わなくても、マニュアルのことは悪く思わないでください

          「ら」と「れ」のIN&OUT

          誤用の定番「ら抜き」言葉 たとえばテレビなどでタレントさんが 「このプリン、うますぎて永遠に食べれますね!」 とコメントした場合、テロップでは 「~永遠に食べられますね!」 と訂正されています。こういったパターンは他でもよく見かけます。 ×食べれる ○食べられる 「ら抜き」言葉は誤用表現ではあるがよく使われる表現として、文化庁の「国語に関する世論調査」でも定期的に取り上げられています。 上記のようにテレビは勿論、新聞や雑誌でも極力使われない表現とされています。 そし

          「雪国」の列車はどこのトンネルを抜けたのか

          少し前のお話。 文学作品の朗読CDの収録現場でその問題は起きました。 収録する作品は、川端康成の「雪国」 あまりにも有名な冒頭の一文、そのしょっぱなからつまづきました。 「こっきょう」なのか「くにざかい」なのか。 朗読用として渡してある本にはルビがありません。 確かにどちらもありうる。しかし、どちらか一方だ、という確証はない。 とりあえずその場は「こっきょうの~」と「くにざかいの~」の2パターンで収録し、後日スタジオのエンジニアさんにうまく切り貼りしてもらうこと

          「雪国」の列車はどこのトンネルを抜けたのか

          英語編集者のPC設定 ~読点かカンマか~

          日本語でも読点はカンマに設定 日本語の「テン」は読点「、」。 英語の「テン」はカンマ「,」です。 でも英語教材(に限らず横書きの教材)では,日本語でも読点「、」ではなくカンマ「,」が使われていることが多いですよね。 これについては,どちらが正しいということもないみたいです。 ちなみに光村図書はHPで以下のように記載しています。 いずれにせよ,横書き(横組み)の書籍では読点の代わりにカンマが使われていることが多いです。 英語の教材でも,私たちが作っている書籍の99%

          英語編集者のPC設定 ~読点かカンマか~

          ネイティブチェック

          ネイティブチェックの重要性 英語教材を作るにあたり,避けては通れない工程のひとつ。 それが,ネイティブチェックです。 ネイティブチェックとは文字通り,ネイティブの方に英文をチェックしてもらう作業です。 原稿は基本的に日本人の執筆者が書いていますので,いくら英語が堪能な執筆者とはいえ,実際にそれが現代英語において通用する"生きた英語"なのかどうかまでは,細部までチェックすることが難しい場合があります。 特に長文やリスニング会話文になると,より自然な英語が求められます。

          ファクトチェック沼

          教材中に語句の説明や資料を載せる際に必ず行うのがファクトチェック。 掲載する情報が正確かどうかを調べる作業です。 ネットで簡単に多様な情報が手に入るからこそ、根拠にした情報が正しいかどうかをチェックする作業が重要になってきます。 ファクトチェックを行うのはグラフやデータ、文献だけとは限りません。 かなり前に、中学生向け教材の漢字の例文だか語句の説明だかに、「逆転につぐ逆転の熱戦の末、勝利した」といった内容の部分にイラストを沿えることになりました。 イラストを描くのは

          「させていただく」は万能の敬語なのか

          国語編集部です。 学校で勉強したことなんか社会で何の役に立つんだよ、はいつの世でも語られる内容ですが、中学国語で学習する「敬語」は、確実に社会に出ても使います。 「話す」は尊敬語だと「おっしゃる」、謙譲語だと「申す」 「食べる」は尊敬語だと「召し上がる」、謙譲語だと「いただく」 といったように、問題作成時には、言い回しの変換や主語(動作の対象)に応じた使い分けなどを出題します。 しかし、これらをマスターしたとしても、世に出た際に当たる壁、それが「させていただく」問題

          「させていただく」は万能の敬語なのか

          中学の英語教材は実に緻密に作られている

          私たちが作る英語の教材は,小学生向け,中学生向け,高校生向け,社会人向けなど様々です。 中でもいちばん制作に気を使うのは,中学生向けの教材。 一概には言えませんが,中学の英語教材は本当に手間ひまがかかっています。 なぜか。 それは… 単語の未習語・既習語という概念です。 教材は原則として既習語で作る 中学の教科書では,各ページの本文で初登場する語を新出語として学習しますよね。(単語テストで出題されるやつです) この新出語は学習した時点で既習語として扱われ,そこで初

          中学の英語教材は実に緻密に作られている

          ドライブ・マイ・カーの仮定法過去完了

          映画「ドライブ・マイ・カー」で,主人公・家福役の西島秀俊が言うこのセリフ。 「音が死んだ日,もしほんの少しでも早く帰っていたら…」 帰ってきたら話がある,と音から言われていた家福は,帰ったらこれまでの関係ではなくなってしまうと察してすぐには帰れず,遅くに帰宅してみると,妻の音はくも膜下出血で倒れていて…。悔いが残りますね。 そんな思いを抱えて言ったこのセリフですが,英語にするとどうなるでしょうか。 過去のある時点(音が死んだ日)における仮定の話をしていますから,仮定法

          ドライブ・マイ・カーの仮定法過去完了