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月が砕け落ちた午後に(第5話)

「みんなが寝た所で母と娘の二人でカンパイしようか」

「カンパイ」✨🍻🎶
「カンパイ」🍺🎶🍺🎶🍺
二人はまずビールを飲み始めた、母が一気に飲み干すのと裏腹に娘の夢花は渋い顔をして
「ニガイ」と言ってグラスをコタツのテーブルの上に置いた。
「お子ちゃまにはまだ早かったかな?」母が笑みを浮かべて娘の顔を見ている。
「メチャクチャ不味い、よく大人はこんなの飲めるなあ」夢花はもういいやという顔をして冷蔵庫に入っているジュースを取るために立ち上がった。
「夢花さあ、カルーアでも飲まない?」「えぇっそれも苦いの?」
「コーヒー牛乳みたいな甘い味がするよ」「じゃそれを飲んでみる」
夢花は母がカルーアミルクを作るのをじっと見ていた。

その視線に気づいた母は夢花の顔が真っ赤になっているのを見て、思いっきり吹き出した。
「夢花の顔が真っ赤だ(爆笑)やっぱり親子だよ、そういう所お父さんにそっくりだよ」
言われて始めて夢花は顔が熱くなる感覚を始めて覚えた、手鏡を取り出して自分の顔を見てみると茹でたタコのように顔が真っ赤になっている自分が写っていた。
「お父さんもお酒に弱かったね。」夢花は小さく呟いて手鏡をしまうと、母が作ったカルーアミルクに口につけた。

「エェー甘くて美味しい💖これなら幾らでも飲めそうだよ」夢花は母の顔を見てニッコリ微笑んだ。「夢花、幾ら飲みやすくてもお酒なんだからね、飲み過ぎると明日がなくなるよ」
と言った母は、梅酒に炭酸水を入れながら夢花の笑みを見ていると、それ以上の言葉が出なかった。

「ねぇお母さんの若い時の話を聞かせて」赤ら顔の夢花が目を輝かせて母に尋ねた。
「いいよ、なんでも聞きたい事を聞いてお母さん夢花の質問に全部答えるから」
ほろ酔い加減の母が梅酒を飲みながら喋った。
「お母さんがお父さんと知り合ったのはいつの事?」
「ウーンとね、お母さんが高校三年生で、お父さんが22歳の4月だったな~」
夢花の目が点になり更に質問を続けた「お母さんの実家が一関で、お父さんの実家が宮古でオマケに歳が少し離れていて、それなのに何故知り合うの?」
「なぜなんだろうね(笑)お父さんとお母さんは引き寄せられるように近付いていったのよ」 
「わかるようでわからない、お母さん昔の写真見せて」
夢花は自分でも両親の何が知りたいのかわからなかったが、母が持ってきた写真を見せてもらったら、集合写真でも常に隣に並んで立っている両親の姿があった。
「お母さんアルバムの写真全部説明出来る?」
「そりゃ出来るわよ‼️」
「じゃあ説明してもらおうかな~」
夢花は興味深そうにアルバムの中の写真に目をやった。

#小説 #ラノベ   #コラム   #エッセイ #青春

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