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ペイント大全マスターズ:ベーシスト列伝 水のある風景をつくる

よくぞ来た。ミニチュアのいる場所には、当然色々な情景がありうる。ベースデコレートは、ミニチュアの完成度、臨場感、物語性を高めてくれるものだ。今回俺が紹介するのは、水のある風景…池や沼といった湿地のベースデコレート法だ。先日公開した別エントリー「ベーシスト列伝:テクスチャーヨーグルト奏法」を応用し、各種ベースデコレートテクとあわせつつ、ぬかるんだ地面や水辺の表現をじっくり見ていくとしよう。

湿地と言うエキゾチックな場所

君が相当ラッキーでない限り、天然の湿地が家の近くにある人は少ないと思う。なぜなら湿地は、今や積極的な保護を受ける地形で、人の手があまり入っていない場所にしか残っていないからだ。

ネットや専門書を開けばわかるけど、一口に「湿地」と言っても色々な種類がある。標高や気候、あるいは海との距離、地形などによって、その姿は色々だ。沼沢地、干潟、マングローブ、ツンドラも湿地の一種。実は川辺、湖や池のほとり、水田、サンゴ礁なんかも湿地に分類されるよ。つまり湿地とは、水と陸が同居する地形全般を指しているのだ(と言うと語弊があるけど、まあいいじゃないの)。

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とはいえ、俺たちは地理学者ではないし、そもそもファンタジー世界は現実世界ではない。だから、君がブラタモリとかに出演するのでない限り、無理して勉強する必要は全くない。一方で、現実世界の湿地について調べたり、写真を見たり、実際にでかけて観察すると、製作の参考になるだろうし、いい気分転換にもなる。

ただ、湿地に行く時、足元には気をつけてな。滑りやすいのもあるけど、君の足で、そこに住む生き物たちの暮らしを邪魔しないようにしよう。

ベースデコレートで特定地形を表現する秘訣

ある程度のスペースで大々的に勝負できるジオラマと異なり、ベースデコレートでは、かなり狭いスペースに色々な要素を詰め込むことになる。逆に言えば、ミニチュアベースというごく狭い空間に風景を凝縮し「ここが湿地だと思える要素」を効果的に配置すれば、説得力のあるベースデコレートができる。つまり、誇張された演出と、要素の再配置がキモなんだ。俺たちがしているのは表現であって、再現じゃないからね!

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湿地のベースデコレートで、俺が心がけていることは以下の通り。

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