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BLACK SABBATH

13日の金曜日…。

雷鳴轟く中 降り頻る雨…。

雷雨の中 鳴り響く教会の鐘の音…。

本日の“こずや”のBGMは、ブラック・サバスの70年のデビュー作『黒い安息日』です。

今から53年と8か月前の今日に発売されました。

へヴィメタルの原点……ドゥームメタルもスラッシュメタルもNWOBHMも…その後派生したメタルの全ての要素は、このアルバム…いや、1曲目のタイトルトラック「黒い安息日」に凝縮されています。

時代背景や環境といった要因の他にも、奇跡的とも言える偶然が重なった結果、この衝撃的な作品は生まれたんだと思います。

ひょっとしたら、当時より今の方がその凄さがわかります。

メンバーは元々、悪魔崇拝者ではなく、黒魔術に傾倒していたわけでもありません。

6人組だったポルカ・ターク・ブルース・バンドから、4人組のアースになり、1969年8月になって1963年に公開されたボリス・カーロフさん主演でマリオ・バーヴァ監督のホラー映画『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』から名前をとって、ブラック・サバスと改名しました。

メンバーはオジー・オズボーンさん、トニー・アイオミさん、ギーザー・バトラーさん、そしてビル・ワードさんです。

デビュー曲は1970年1月に発表した「Evil Woman(魔女よ、誘惑するなかれ)」です。

そして、2月13日の金曜日に『黒い安息日』を発表しました。

レコーディングに1日、ミキシングに1日…、計2日で完成したということです。

雨と雷のSEに不気味な鐘の音…、そこにたった3音で構成された世にも奇妙な重低音のリフが、現在も強烈な音の塊となって、聴く人にとてつもない衝撃を与えます。

これぞサバスの軌跡です。

メタルの根底にあるのはブルースやジャズ、あとはロック…特にビートルズです。

私は超合金ブルースと呼んでいます。

ビル・ワードさんのドラムとギーザー・バトラーさんのベースがスウィングしまくっています。

ビル・ワードさんは、子どもの頃からジャズやロカビリーに合わせてドラムを練習していたということで、全然メタルぽくありませんが、それがブラック・サバスの個性になっています。

メタルぽくないと言うか、これが原点ですから、後からどんどん変わっていったということです。

そのリズム隊の上にトニー・アイオミさんの超ヘヴィなリフが乗ります。

いや、地を這うような重量級のギターリフの上で他のメンバーのドラム、ベース、歌が踊っている印象です。

威圧感や恐怖感を煽るのに最適な3音だけの重低音のリフですが、これはトニー・アイオミさんが弦を押さえる方の手の指2本(中指と薬指)の先端を切断したことから生まれました。

中世の世界では三全音は邪悪な世界観を表現するものだと考えられていた歴史がありますが、それをエレキギターでゆっくりと奏でることで、あのメタルの原点が生まれました。

2曲目の「The Wizard(魔法使い)」はJ.R.Rトールキンさんの名作『指輪物語』のガンダルフをテーマにした曲です。

おそらく、ドラマーにとってブラック・サバスの曲の中で1番難解な曲です。

この曲はオジー・オズボーンさんのハーモニカも印象的です。

その他、サバスのオリジナル曲、ブルースバンドのカバー曲も含めて収録曲全てが同じ世界観で一貫しているのがまた凄いです。

人々にショックを与える為にホラーを題材にしたことも、トニー・アイオミさんの指が切断されてしまったことも、その怪我のせいで生まれた地を這う様な低くへヴィネスの極みなギターも、本人達は最初から狙っていた事ではなかったと思います。

でも、この偶然の賜物と時代背景がヘヴィメタルの誕生…歴史を動かしました。

デビューから8年で8枚のアルバムを発表したブラック・サバスですが、薬物漬けになっていたオジー・オズボーンさんはクビになり、その後、ロニー・ジェイムズ・ディオ(レインボーで有名)さんやイアン・ギラン(ディープ・パープルで有名)さん、その他何人かシンガーが変遷しました。

そして、やっぱりブラック・サバスと言えばオジー・オズボーンさんだよな…という風潮になったのは1990年代に入って80年代に苦労していたスレイヤーやアンスラックス、パンテラを中心としたヘアじゃなく本物のメタルバンドが躍進したり、ニルヴァーナやサウンドガーデンなどのグランジムーヴメントが勃発してからです。

そして、1997年にオジー・オズボーンさんが満を持して戻りました。

オジー・オズボーンさんが在籍するブラック・サバスは1度だけ来日しています。

今から10年前…2013年の5月12日だったと思います。

場所は幕張メッセで、オズフェスト ジャパンでした。

サバスの前にトゥールが出演するという神憑った濃密なフェスティバルでした。

もちろん、私も行きました。

トゥールの凄絶なLIVEの後で私はヘトヘトでしたが…でもサバスです。

ドラマーが残念ながらビル・ワードさんではなかったのですが…でもサバスです。

ドラマーはトミー・クルフェトスさんで、ロブ・ゾンビさんのバンドで活動した後、オジー・オズボーンさんのバンドに抜擢された人物です。

モトリー・クルーのトミー・リーさんを彷彿させる豪快で壮快な叩きっぷりのドラマーでした。

この日のセットリストは忘れもしない…。

01.War Pigs
02.Into The Void
03.Under The Sun / Every Day Comes And Goes
04.Snowblind
05.Black Sabbath
06.Behind The Wall Of Sleep
07.N.I.B.
08.Fairies Wear Boots
09.Symtom Of The Universe (Instrumental)
10.Drum Solo
11.Iron Man
12.God Is Dead?
13.Children Of The Grave
14.Sabbath Bloody Sabbath ~ Paranoid

私にとって今のところは最後に体感したプロのLIVEでした。

今、考えてもトゥールからブラック・サバスの流れは神憑り的です。

この日本で実現したなんて今でも信じられません。

13日の金曜日のサバス…あぁ~ステキ♪

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