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Midnights

本日の“こずや”のBGMは、来日中のテイラー・スウィフトさんの『ミッドナイツ』です。

私も2008年の2ndアルバム『フィアレス』以来のスウィフティーズなので、なかなかの古株のつもりでいます。

ただし、穏健派の共生型のスウィフティーズです。

他のアーティストやそのファンを攻撃したりはしません。

穏やかに過ごしたい年頃です。

ところで、第66回目のグラミー賞で、物凄い記録が生まれました。

テイラー・スウィフトさんの『ミッドナイツ』が最優秀アルバム賞を受賞したので史上最多の4度目の受賞となりました。

プレゼンターのセリーヌ・ディオンさんに対するステージ上での態度が無礼だとか批判されたりしていたみたいですが、そりゃ仕方ない…そんなことがどうでも良くなるぐらい凄い記録を打ち立てたのですからそりゃ嬉しかったでしょう。

テイラーさんはこの4度目の受賞の凄さをちゃんと理解していたんだと思います。

この受賞は当然のこと…当たり前のことではありません。

錚々たる人たちが達成できなかったことです。

これまで最優秀アルバム賞を3度受賞していたのが、フランク・シナトラさん、スティーヴィー・ワンダーさん、ポール・サイモンさん、そしてテイラー・スウィフトさんの4人でした。

フランク・シナトラさんは早過ぎたのだと思います。

第2回で『カム・ダンス・ウィズ・ミー』、第8回で『セプテンバー・オブ・マイ・イヤーズ』、第9回で『ア・マン・アンド・ヒズ・ミュージック』で受賞しています。

言い方が悪いかもしれませんが、グラミー賞が始まった1959年には全盛期は過ぎていたと考えても問題ないかと思います。

それでも60年代に3回受賞しているわけで凄い話です。

グラミー賞がもっと早く始まっていれば、誰も越えられないような記録を打ち立てていたのではないでしょうか。

スティーヴィー・ワンダーさんは第19回で受賞した『キー・オブ・ライフ』が創作面でピークだった印象があるので、その後の作品での受賞は難しかったのだと思います。

第16回で『インナーヴィジョンズ』、第17回で『ファースト・フィナーレ』で受賞していますが、そこからの発表した順に3作連続受賞したのは凄かったです。

でも、その前の『トーキング・ブック』が私に言わせればスティーヴィー・ワンダーさんの最高傑作なので、ノミネートすらされてないのが残念というか不思議です。

もしここで4回連続になってたら…なんて考えてしまいます。

ちなみにその年の第15回の最優秀アルバム賞はジョージ・ハリスンさんを中心とした『バングラデシュ・コンサート』でした…ノミネートさえされていたら可能性あったのでは?…と思えてしまいます。

一番、常に安定していて、もっと受賞していてもおかしくなかったのが、ポール・サイモンさんです。

1960年代から、80歳を越えた現在まで、各年代で常に素晴らしい作品を作り続けています。

受賞したのは第13回の『明日に架ける橋』、第18回の『時の流れに』、第29回の『グレイスランド』です。

サイモン&ガーファンクルの時期からどの作品も素晴らしいわけですが、第34回にノミネートされた『リズム・オブ・ザ・セインツ』と第43回にノミネートされた『ユー・アー・ザ・ワン』で受賞できなかったのは時代が合わなかったのかな…と思います。

それぞれ受賞したナタリー・コールさんもスティーリー・ダンも素晴らしい作品だったので、タイミングが悪かったとも考えられます。

そして、テイラー・スウィフトさんは第52回の『フィアレス』、第58回の『1989』、第63回の『フォークロア』、そして第66回の『ミッドナイツ』で4度目となりました。

このように歴史を見てみると、音楽的才能や作品のレベルの高さだけではなく、時代性や人気面といった全てを掌握しているのが現在のテイラー・スウィフトさんの凄さです。

グラミー賞は1959年に第1回が開催されました。

ザ・レコーディング・アカデミーが主催する音楽賞で、世界で最も権威ある音楽賞の1つと見做されていて、テレビにおけるエミー賞、舞台におけるトニー賞、映画におけるアカデミー賞と同列に扱われています。

最優秀アルバム賞4度目の受賞は、とにかく偉大な記録です。

そんなテイラーさんは現在、東京ドーム4公演の真っ最中です。

2023年には、タイム誌恒例の“今年の顔(Person of the Year)”に選ばれたのも記憶に新しいところです。

ミュージシャンが音楽の功績で“今年の顔”に選ばれたのは、1927年から始まる100年近い歴史の中で今回が初めてのことです。

U2のボノさんも2005年に表紙になりましたが、ビル・ゲイツさんとメリンダ・ゲイツさんと共同で世界から貧困、病気、無関心をなくす為に貢献している人として選ばれました。

ミュージシャンとしてバンドの功績が讃えられたわけではありません。

これまた凄いのが、テイラーさんは2度選ばれた初めての女性です。

前回は、2017年に#metooムーヴメントの最中に、彼女がラジオ局で受けた性的暴行を訴えて勝訴したことから、その他の女性たちと表紙を飾りました。

今回選ばれた理由についてタイム誌は、

“2023年は、その他の年と同様に多くの光と闇がありました。

その中で今年は、世界に光と喜びをもたらした人を選ぶことにしました。

テイラー・スウィフトさんは、彼女の物語を語り、それによって世界中の何百万人という人達が、自分たちの物語や、声を見つけることができました。

パンデミックの後、彼女のコンサートに、映画に、世界中の人達が結集したばかりか、そこに喜びをもたらしてくれました。

それ以上に偉大な影響力があるのでしょうか?

…と考えての結果となりました。”

テイラー・スウィフトさんは2023年もいろいろな“史上初”の記録を残しています。

現在、日本に来ているThe Eras ツアーが、史上最高の興行成績を記録しました。

しかも、10億ドルを突破する史上初のツアーになっています。

グッズ売り上げはそれとは別に2億ドル以上になっています。

そして “The Eras ツアー"の映画が、コンサート映画として史上最高の興行成績を記録しました。

第96回アカデミー賞で『オッペンハイマー』で最多ノミネートされているクリストファー・ノーラン監督はこの映画が公開された時に、配給方法に注目していました。

“テイラー・スウィフトさんはスタジオに目に物を見せると思います。
彼女のコンサート映画が、スタジオによって配給されるのではなく、映画館オーナーのAMCによって配給されて、莫大な金額を稼ぎ出すからです。
これこそが物語の語り方であり、物語の共有方法であり、経験を共有する方法であり、莫大な価値のあることなのです。
だから、スタジオが劇場で公開したくないのなら、他の方法で公開できるということです。
今回それが証明されました。
この度の彼女のやり方こそ、映画の未来です。”

この成功が劇場公開の大事さを再び強調してくれたと感謝までしています。

クリストファー・ノーラン監督と言えば、劇場公開に拘り、ハリウッドの大手スタジオとストリーミング配信の普及に対して闘い続けてきた監督です。

テイラーさんは、アルバムの著作権を自分が望んでいない会社に売られてしまったことから、デビュー作から6枚目の『レピュテーション』までを“テイラーズ・バージョン”として再レコーディングしている最中でもあります。

現時点で4枚の“テイラーズ・バージョン”が発表されています。

“テイラーズ・バージョン”が発売されると、オリジナルはすぐにチャートの200位圏外に落ちてしまい、その後は浮上できなくなっていることから、彼女のマスターテープを買った会社は3億ドル払いましたが、回収できない可能性があります。

この結果、メジャーレーベルは、これから契約するアーティストと再レコーディングできないように契約書に条項を付け加えているようです。

今回のThe Eras ツアーは、3時間以上、40曲以上、そして16回もの衣装替えがあるライヴです。

今回のダンスの振付けは、友人のエマ・ストーンさんの紹介による『ラ・ラ ・ランド』の振付師によるものだそうです。

何をやっても話題性があります。

この他にも、ここ数年は毎年のように“史上初”の記録を打ち立てています。

ここで『ミッドナイツ』の話ですが、プロデューサーは『1989』から関係が続いているジャック・アントノフさんです。

どの楽器がどうこうなんてことはどうでも良くなる、音楽をトータルで聴きたい作品です。

演奏する人たちのエゴは関係なく、作った人がどう聴いてほしいか…、そして聴く人がどう捉えるか…。

自分で曲を作り、信頼できる人たちと演奏して録音し、それをファンの人たちに聴いてもらう…そして幸福を分かち合う。

そもそも音楽はそんな感じで楽しめれば良いものなんじゃないかなぁ…と気付かせてくれる作品です。

4月には早くも新作が出ますし…あぁ~ステキ♪

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