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6.多読(速読)でリーディング、リスニング能力向上

今回は多読について解説します。別名「速読」とも呼ばれ、リーディングだけでなくリスニング力の向上にも大きな効果を発揮するトレーニングです。

英語学習では英会話に重きが置かれることが多く、聞く・話すためのトレーニングに重点が置かれがちですが、高い英語力の背景には必ず「大量の読み込み」が存在します。「活字嫌い」や「英文を読むのが苦痛」に関しては、解決のためのヒントも提供していますので、この機会に克服して、自分のスキルを向上させましょう。

英文を読むことが難しい場合、主な原因は以下の3つです。

(1)基本的な構文・文法が身についておらず、スピードに関わらず英文を正確に読むことが難しい

(2)語彙力が不足しており、知らない単語が多く、読めない

(3)ゆっくり正確に読むことはできるが(精読)、大量の英語を流れるように読むことは難しい

上記のうち、(1)(2)はこれまでの記事の勉強法である音読、文法、そして単語力トレーニングでほぼ解消されます。問題は(3)で、ゆっくり集中して読めば理解できるが、読書のようなスピードで読んでいくと意味がわからなくなるという状態です。多読トレーニングはこれを解消します。同時に、英文の意味を英語の語順で頭から順に理解する必要があり、戻って確かめることができない「リスニング」力の向上にも多大な効果を発揮します。実はリスニング力は、英文を聴いていれば伸びるのではなく、「音読」「単語」「多読」のトレーニングの組み合わせで向上していきます。これが、私の紹介する勉強法に「リスニング」の項目が存在しない理由です。

多読(速読)トレーニングを開始する時期はTOEICで500~600くらい、リーディングセクションのスコアが250点に到達したあたりを目安としてください。これ以前に始めると、英文の速読につまづきが多く生じ、学習の継続が難しいためです。

本記事のコンテンツは、以下の通りです。

1.使用する教材

2.多読学習の具体的なやり方

3.トレーニングのコツ、注意事項

4.まとめ

【1.使用する教材】

「英文を読む」というと、英字新聞や雑誌、ニュースサイトなどを想像されるかと思いますが、いきなりこれらを読もうとするとあまりのレベルの高さに挫折します。多読の目的は、「英文を頭から英語の語順でスムーズに理解できるようにする」ことですので、必ず文法・構文・語彙の観点で自分の知らない部分が10%以下のテキストを使用してください。以下に推奨する教材とその理由を記載します。

①語彙制限本

ラダーシリーズ

ラダーシリーズは、学習用の語彙制限本における代表格です。使用される単語数別にレベル1~5まで分かれており、巻末に単語リストが載っているため辞書なしで読むことができます。多様なラインアップがあるので、興味のあるものを選択することができます。

②対訳本

見開きで片側に英語、もう片側に日本語が載っている対訳本も学習に効果的です。代表的なものは、映画のセリフを収録した「スクリーンプレイ」です。

スクリーンプレイ

③小学生・中学生向け学習用テキスト

ネイティブの小学生・中学生向けに、平易な文章で書かれたテキストも学習に効果的です。小学生・中学生向けとはいえネイティブの学習用なので、読みこなしにはかなりの労力を要します。

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書(対訳付)

アメリカの中学教科書で英語を学ぶ

④学習者向け・子供向けのWebサイト

英語学習者や子供向けのニュースサイト、Podcastのサイトも学習向きです。ほぼ毎日、記事が更新されるのもGood。

BBC Learning English

Time For Kids

CNN 10

⑤自分が興味のある・知っている内容のWeb記事、書籍

スポーツや芸術など、自分の好きな分野の記事は、辞書を引きながらでも楽しく読めます。興味があるかはともかくとして、例えばWikipediaで"Japan"の記事を見ると、内容としては知っていることばかりですので、読みやすいはずです。海外の人が「日本」を調べたときに受ける印象についても知ることができます。

Wikipedia"Japan"

⑥音読トレーニングで使用した音読用テキスト

音読トレーニングで使用したテキストは、そのまま多読用の教材にもなります。まだ音読していない英文を読んでみましょう。

⑦TOEIC長文問題

英文の内容が退屈ですのであまり推奨はしませんが、TOEICテストの長文問題も多読素材になります。ビジネスレターの定型文もある程度、身につきます。

【2.多読学習の具体的なやり方】

具体的な学習方法ですがこれはシンプルで、とにかくたくさん読むことに尽きます。読み始めは簡単な文章であるにも関わらず強いストレスがかかり、「知っている単語ばかりなのに、意味をスムーズに取れない」「始めに戻って、読み返してしまう」など発生すると思いますが、次項のトレーニングのコツ、注意事項を参考に、諦めずに読み続けてください。

語彙制限本を約10冊読了すれば大体の感じが掴めてきますので、まずは10冊を目標にしてください。その他の語彙力や文法の学習を継続しつつ、100冊を読了すれば、一般的にネイティブが読むような本や雑誌を読めるようになります。

【3.トレーニングのコツ、注意事項】

多読はその名の通り、多くの文章を読む必用があることから、挫折しやすいトレーニングの一つです。以下に継続のための注意事項を記載します。

①英文を完全に理解しようとせず、6割把握できればOKとして速く読む

大学入試の英文解釈のように詳細に読む必要はありません。大体の意味、話の流れが掴めれば十分です。知らない単語に関しても神経質になる必要はありません。意味の中核になる単語以外は極力辞書を引かず、前後関係で推測するか、飛ばしてしまって構いません。

わからない単語や構文が多く出てきて読み進めるのが困難な場合、毎回参考書や辞書を引くのではなく、多読するテキストのレベルを落としてください。

②自分が好きな、興味のあるものを読む。飽きたら途中でストップ

とにかく、楽しく読めるものを選んでください。飽きたら途中でやめて構いません。嫌々ながら分厚い本を何ヶ月も抱え込むより、20~30ページで放り出しながら、一ヶ月で数冊に手をつけたほうが、読む量は増えます。大切なことは、1単語でも多くの英文を読むことです。

③知っている話や、予備知識があるなど、わかりやすいものを読む。

予め知っている話は前提を理解しているので、読む速度が増します。皆が知っている童話や有名人の伝記なども含まれます。

【4.まとめ】

本記事のまとめです。

・多読は別名「速読」とも呼ばれ、リーディングだけでなくリスニング力の向上にも大きな効果を発揮するトレーニング

・多読トレーニングは「ゆっくり集中して読めば理解できるが、読書のようなスピードで読んでいくと意味がわからなくなる」という状態を解消する

・多読はリスニング力も向上させる。リスニング力は英文を聴いていれば伸びるのではなく「音読」「単語」「多読」のトレーニングの組み合わせで向上する

・多読(速読)トレーニングを開始する時期はTOEICで500~600くらい、リーディングセクションのスコアが250点に到達したあたりを目安とする

・文法・構文・語彙の観点で自分の知らない部分が10%以下のテキストを使用

・具体的な学習方法はシンプルで「とにかくたくさん読む」ことに尽きる

・語彙制限本や対訳本、学習サイト等を利用して読む量を増やす。まずは語彙制限本10冊を目指す

・英文の完全理解を求めず、6割わかればOKとして速く読む

・自分が好きな、興味のあるものを読む。飽きたら途中でストップ

・知っている話や、予備知識があるなど、わかりやすいものを読む


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