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不登校児とクラス編成の話

たこのクラス編成

長男たこ・長女ぴこ・次女ちぃは現在絶賛不登校・不安定登校の日々だ。

次女ちぃは、1年生なので、去年の今頃は保育園で平和な日々を送っていた。

長男たこは、去年、不安定登校をしており、定義としては不登校に当てはまっていた。担任との個人面談では、『不安定登校ではあるが、学校に来れている日もある。学校に来れる日を一日でも増やしたい。』という内容を、本人抜きで話していた。

たこは、勉強に遅れはあったものの、その理由は授業に出ていないからだというのが明白だった。出席できた授業の確認テストは高得点を叩き出していたのだ。たこは、授業に出ないからと言って、自主学習をするような気質は持ち合わせていなかったので、授業に出ないとなれば、一切勉強には手をださなかった。結果、勉強には遅れていた。
学習の遅れが不登校の根本原因と考えるのは、たこには当てはまらないような気がした。

担任はたこの人間関係を探っていた。母も同じことを考えていた。
母は、放課後や休日に遊ぶ友だちの名前を伝えた。

たこの友だちのイルカくんは、保育園来の友人だった。とても思慮の深い子で、たこのマイペースさも理解してくれて、フォローしてくれる、母も信頼を置いている子だ。

イルカ君も、思慮の深さ故に、一斉教育に疑問を持っており、学校が苦手だった。

たことイルカくんは夏休みに、小学生動画コンクールに挑戦している。二人はYouTubeが好き、ゲームが好き、動画づくりに興味がある、という共通点を持っており、共同で作品を作り出品する!というチャレンジをしていた。

担任に、イルカくんと来年同じクラスになったら、たこは心強いと思います。お互いに高めていける関係性だと思います。そんな話をした。

たことイルカくんの共通の友だちとして、タツノオトシゴ君もいる。タツノオトシゴ君はゲーム仲間であり、別室登校仲間であった。3人はお互いの家を行き来して、いつも仲良く遊んでいます。そう担任に告げた。

4月、6年生のクラス発表を楽しみに新学期を迎えると、タツノオトシゴ君
1組。イルカくん2組。たこ3組。バラバラやないかいっ!!という結果であった。

不安定登校3人組を、同じクラスにするのは、リスクが大きかったのかな、と密かに思った。もし、クラス内の不登校人数を上層部に報告する義務があるのだとしたら、担任もキツイよな、と思った。

ぴこのクラス編成

ぴこは、2年生時は学校を頑張る日もあり、不安定登校だった。学校へ行った日には必ずと言っていいほど、友だち関係に悩んでいた。これといった原因、(何かを執拗にされるとか、からかいの標的にされている、等)は無かった。

ぴこは、クラスメイトのクロちゃんによく誘われて、休み時間遊んでいたようだ。しかし、ぴこは内心、クロちゃんのことをいぶかしんでいた。

理由は、いくつかあるが、クロちゃんはすぐに
「ぴこちゃんきらーい!」という発言をする子だった。

昇降口で、ぴこが先に靴を履けば「ぴこちゃんきらーい」が飛んでくる。
ぴこが他の友だちと遊んでいれば「ぴこちゃんきらーい」と。
ぴこは『嫌い』と言われることをとても気にしていた。

決定打は、ジャングルジムで遊んでいた時だ。ぴこが上になり、横移動の時に思いがけなく、下に居たクロちゃんの手を踏んでしまったことがあった。
クロちゃんは例外なく「ぴこちゃんきらい!」と言い放ち、怒って去ってしまったという。
ぴこは、わざとではなかった事を謝ろうとして、クロちゃんを追って弁解したものの、「ふん!」と拒否されてしまう。

ぴこは落ち込んで、不安定登校の不安定の度合いが強まった。

母は、「クロちゃんじゃない子と遊べば?」とぴこに提案した。
ぴこは、「だって、クロちゃんが『ぴこが良い』って言うんだもん。他の子と話していても、腕を引っ張って(ぴこのこと)連れて行っちゃうんだもん。遊ばないって言ったら、クロちゃん泣いちゃうしさ。」と言った。

母は、言った、
「じゃぁさ、『嫌い』って言われるのは辛いんだって、話してみたら?」

ぴこは、浮かない顔をしていた。ここんとこ結構、情緒が不安定だ。

母は「クロちゃんと仲直りできた?」とぴこに聞いた。
ぴこは、黙っていた。けれどしばらく母が待っていると話し出した。

「休み時間に、クロちゃんと話そうと思って、『来て!』ってお願いしたら、『ヤダ』って断られた。」
そうか。頑張ったね。話そうとしたんだね。よくやったね。と母は思った。

ぴこは、歯を食いしばって話を続けた。
「でも、また、昼休みに誘った。そしたら来てくれたから、ぴこね、聞いたの『どうして、ぴこの事、きらいって言うの?』って。」
うん。母は全神経を集中させて、ぴこを見ていた。

「『なんとなく~』って笑って逃げちゃった。」
ぴこの顔がみるみる崩れた。ワー!!っと突っ伏して泣き出した。

母は、ぴこの頑張りに、ぴこの無念に、なんと言葉を返してあげたら良いか分からなかった。突っ伏して泣いているぴこの背中を、強く強くさすりながら、母も一緒に泣くことしか出来なかった。

ぴこは、しばらく学校を休んだ。担任と話す機会があり、ぴことクロちゃんの出来事を告げた。

3年生。ぴことクロちゃんのクラスは分かれた。
しかし、子どもの数が少ない学年で、3年生は2クラスしかなかったので、中の人間関係はさほど変わらない。クロちゃんの強い言葉と、気まぐれさも。

ぴこは、3年生になってクラスが変わっても、不登校・不安定登校の日々だ。

ママ友の雑談

昔のことを思い出す。
長男たこの保育園時代。下の子の育休が重なったメンバーでよくお茶会をしていた。子育ての悩みや、夫に求めること!なんて話題があとを断たたず、しゃべりまくっていた。

ある時、そんなお悩み相談にも飽きて、『理想のクラス編成』をしてみよう!という話で盛り上がったことがある。

自分のクラスに誰をどの場所で配置するか、で大変に浮かれた。

ママ友が、「東出昌大くんは、絶対自分の前の席がいい!剣道やってたから、背中だけで絶対かっこいいよ。」と言った。

別のママ友が「いいかもね。自分の隣は桐谷健太にしよう。おしゃべりだし、東出君を振り向かせてくれそうだ!!」
一同賛同した。

「後ろの席は誰にする?プリント配る時に顔見れて嬉しい人。妻夫木くんかな?」
「あぁ~、威圧感なくて良いかも!」
ふんふん。東出君と桐谷君と妻夫木君に囲まれた自分。なかなか居心地がよさそうだ。

「佐藤健は、絶対に見ていたい!斜め前の席の黒板側にしよう。授業中ずっと見てられるよ。」
最高だ。お咎めなしで、公的にガン見できる。

「私、佐藤隆太入れたい。」と一人のママ友が言った。「なるほど~!佐藤隆太は頭がデカいことを公言してるから、後ろの席配置だね。」すぐさま審議だ。妻夫木くんか、佐藤隆太か。

「私、佐藤隆太だけでいいや。一番後ろの席で、隣ならそれだけでいい。」
「えー!!!謙虚ー!!!イケメンパラダイスの恩恵を、それっぽっちで良いの??」
その欲のないママ友に一同驚愕した。

続いて担任は誰にしようかという話になった。西島秀俊が良い!いやいや、竹野内豊でしょう!竹野内といえば、反町隆史も捨てがたい!わぁー!GTOだ!!結局固定担任を決められず、全員採用の教科担任制という事で落ち着いた。

みんな、自分の夫のことは完全に脳裏から忘れ去って、乙女に戻りキャイキャイしていた。

盛り上がりのさなか、ママ友が胸を押さえて言った。
「ちょっと、想像したら、周りイケメン過ぎて苦しい。疲れたから、浜田岳入れよう。」一同大きく頷いた。

余談の中の余談だが、女子は私たちのみだ。
「友だちにしたい女の子誰入れる?」という声が上がったとき、即座に却下が入る。
「女優なんて入れちまったら、この妄想は何の意味もなくなるよ!男子みんなキレイな人に持ってかれちゃうんだから!クラスにマドンナは置かない。気を付けよう。」
ほぅ~。。と一同感嘆した。

クラス編成の話で、こんなくだらない話を思い出してしまった。
ここで気が付くのは、『クラスの雰囲気って大事』ってことだ。
そして、私たちママ友には『クラス』という共通言語が存在してたことだ。

ママ友の出身地はみんなバラバラだったが、『クラス』という共通理解があったからこの話題は成立したのだと思う。

「隣の席にくる子は、話しやすい方がいい」「好きな人と隣の席になったら楽しい」「かっこいいけど、話しにくい人は見える位置が良い」「後ろの席には威圧感の無い人が良い」
そんな肌感覚を、みんなが共通して持っていた。

次女ちぃのことを思う。
小学校1年生から、兄と姉にならって不登校のちぃ。
席替えすらも、経験していない。恋をするにはまだ早いが、男女問わず、気の合う子と席が近いと毎日楽しい。

いつか、そんな体験をしてほしいな、とふと思う。
学校って、悪いことばかりじゃナイかもよ?絶対行かない!じゃなくてさ、選択肢として、一つには入れておいたら良いんじゃない?
そんな風に思う。

自分への教訓

  • クラスの環境はメンタルに大きく影響する。

  • 楽しい人、安心できる人、好きな人、に自分のできる範囲で近づく。



学校で生きずらさを抱える子どもたちのために何ができるのか。 たこ・ぴこ・ちぃだけではなく、不登校児の安心できる居場所づくりの資金にしたいと考えています。