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照らせるように

 あるサパークラブでシンガーとして活躍している彼女。
 コロナ禍に入ってからは店の休業や営業時間短縮により、予定されていたディナーショーが中止になったり勤務時間自体減ってしまったりと、厳しい状況に晒されてきました。そのためおそらく活動のメインは17(イチナナ)ライブでのほぼ毎日長時間に渡る配信となっており、自宅の部屋で防音設備を整えて歌い続けています。
 毎日、違う衣装を用意して髪型とメイクを完璧に整え、画面の向こうの不特定多数のファンのために、気の利いた声かけも交えながらリクエストに応えて歌い続ける彼女。一人ずつリスナーの名前を呼び、「ありがとう」「ありがとう」と画面の向こうに声をかける様子は、彼女の人柄を知らない人にもその誠実さが伝わり応援したくなってしまうのがわかります。

 銀座でクラブ経営をしている彼女。
私より2歳年下の彼女は、いつも多くは語らないタイプではあるけれど、発する言葉一つ一つが丁寧で、声を聞いているだけで心地良くなってしまいます。堂々としている、というよりは凛としている、という言葉がぴったりで、なんだか「この人は大丈夫だ」と思える不思議な安心感を醸し出しています。「新しく挑戦したいことがあってわくわくしてる」「感謝する気持ちはいつも忘れないようにしたい」いつもそう純粋に語る彼女は、ずっと見守っていたい気持ちにさせられます。そして実際見守っているお客様がたくさんいらっしゃることも納得できます。

 彼女たちに共通しているのは「私が勝手に応援したくなってしまう」という点です(私一人の応援など微々たるもので何の足しにもなりませんが)。眩しいくらいに輝いている彼女たちですが、彼女たちなりに悩むところや辛いことなど、こちらの想像もつかないものを背負っているかもしれません。

 辛い時は少し休憩すれば良いし、自分を犠牲にしてまで他人を気遣う必要もありません。「こんなにがんばってるのー!」とアピールしても、本当にがんばっている時しか伝わりません。
 ただ、いつも当たり前のように毎日起こっていることに対して「ありがとう」と言い続け、輝いている彼女たちをみていると、その輝きを浴びている自分にハッとします。

 今は輝きを発しているのではなく、照らされている…

 少しの不安を抱えつつ、湧いてくるわくわく感を大切に、恐がらず受け止めたいです。そして純粋に「ありがとう」と口にしていたいです。


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