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影響を与えない人

 今週末の10月12日(土)に、臨床心理士資格審査が東京ビッグサイトにて行われます。私も10年程前に受験した資格で、今年の審査日が迫っていることを最近知り、自分が受験したときのことを思い出しました。試験は一次試験(マークシート選択式と論文記述形式)と二次試験(面接)の二本立てです。

 さすがに一次試験でどんな問題が出されたかは覚えていませんが、二次試験については少し記憶があります。
 面接官は2名で、受験生は1グループ6人程でした。グループ毎に問われることが異なっていたようで、私のグループは確か「あなたにとってスーパーヴィジョンとは何ですか?」でした。
 心理臨床におけるスーパーヴィジョンとは、カウンセラーが担当しているケース(クライエントとのやりとり等)がどう進んでいるのか?何が起きているのか?などを客観的に見てもらい教育的な指導を受けるというものです。
  試験後のいつか、スーパーヴァイザーに「二次試験では受験生の何を見られるのですか?」と聞いたことがあります。するとヴァイザーから返ってきた答えは「クライエントさんを悪くしない人かどうか」でした。
 
 資質があるかとかではなく、悪い影響を与えない。
 
 確かに、10分程度の面接だけでは、能力や可能性など受験生ひとりひとりのすべてを見抜くことは、人をみるプロでも難しいと思います。しかし、クライエントをこれ以上悪くしないかどうかくらいは見抜く、ということだそうです。

 悩みや問題を抱えている人と向き合う職業って、扱う課題が違うだけで心理系に限らずたくさんあります。課題を持ち込むのはクライエントやお客や利用者であり、その人達の課題が解決されるよう、一緒になって試行錯誤します。
 
 まず必要なことは…とても基本的なことですが、とにかく純粋に興味を持ち、「もし自分がクライエントだったら?」と限界まで考えることができるかどうか、でしょうか。
 
 支えになりたいとか助けてあげたい、という動機は素晴らしいです。しかし支えにならなかったり助けられなかった時、自分や相手に対する「なぜできなかった?」「なぜ感謝しない?」という怒りと失望から攻撃に変わってしまう可能性も人によってあります。
 
 相手にとって、プラスになるかわからないけどマイナスにはならない。とりあえず、そう在れたらいいのかな…と思っています。


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